Last song 何故、どうして?
繰り返す問いに、答える声は無い。虚ろな瞳は、己が信じる神の為と言って眼前の敵を一閃する。地底で交えた彼も同じ事を言っていたが、彼にはまだ情があり、理性があった…虚ろな瞳の見るものが本当に神なのか、それともまた別の何かなのか、フツオにはわからなかった。
放たれた斬撃を避けながら、その人の名前を呼び続けた。戻らない返事に、届かないとは知っていた。
それでも呼び続けた。崩壊した世界、荒れ果てた街に、その人を知る者はもういなかったから。
夢の中、磔にされたその人の名を呼んだ。魂を解放する為に、共に生き続けた勇敢で優しいその人ともう一度会う為に。
不意を突いて貫いた剣の柄をそのままに、血濡れた手で、その人の両頬を包んで名を呼んだ。止まらない雨に視界をぼやけさせながら、旅の道中でお互いに好きだと語りあった洋楽のフレーズを口ずさむ。苦痛に歪んだ唇が、微かに笑みを形づくって、そのままフツオの肩に埋められた。