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    penpen_gusa57

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    penpen_gusa57

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    あんまり明るくないヨシフツ18禁。

     彼女を救った後、一人にして欲しいと言って離れてから数時間。その気持ちを汲んで…自分も暗く沈んだ気分を落ち着かせる為に…暫く辺りを彷徨いていたフツオは、ふと気になって彼を探していた。
     一途に想い探していた彼女が、三十年も経過した世界で死霊化していた——想像以上に惨く悲しい現実に打ちひしがれて、自らも死を選んでしまうのではないか。無いとは言い切れない不安が、フツオに焦燥感を与えていた。
     六本木の中でも、彼の行きそうな場所は当たったが何処にもいない。彼女と死に別れた場所でさえ姿が見当たらなかった。
     まさか、そんなはずは…嫌な予感と最悪の事態に、疲弊して思考が鈍った頃。ぴたりと、ある店の前で足が止まった。
     まだ探してはいない…というよりも、未だ抜けきれていない未成年という概念から、探す対象に入っていなかった「バー」が、フツオの目の前で看板を掲げている…。
     しかしフツオですら忘れていなかった常識を、真面目だった彼が破るだろうか…疑問符を浮かべながら、フツオは中に入った。
     …そんなフツオの疑問は間もなく消えた。探していた彼の姿は、思ったよりもすぐに見つかった。
     彼はカウンターで、グラスを空けて項垂れ、突っ伏している。自分よりも幾ばくか高い背中が丸まっている事に驚いて、立ち尽くしたままのフツオに、横から客が話しかける。
    「あの兄ちゃん、君の知り合い?」
     頷くと、客は彼を一瞥して、こそりと
    「ありゃヤケ酒だね、彼女がなんたらって言いながら、酒の飲み方すら知らないまま飲んだくれてる。」
     と、フツオに打ち明けた。
    (…ヨシオ君…)
     一層、不憫に思えて、フツオは眉を寄せてその背中を見つめる。真面目で常識ある彼…ヨシオが、バーにいる事はもちろん、そこで酒を飲んでいる事は、少なからず衝撃だった。
     歩み寄り、フツオは隣に腰掛けた。進めかけるバーテンに手を振って、飲む意思がない事を告げる。
    「…ヨシオ君。」
    「………」
     声をかけても、返答がない。どれくらい飲んだのかはわからないが、伏して僅かに覗いた横顔は赤みが差していて、酔っている事は明白だった。
    「…ヨシオ君、そろそろ戻らないと…」
    「……うるさい……」
     聞こえてきた拒絶の声は低く、いつも向けられる優しいものではない。息を呑み、フツオは目を逸らす。普段からは考えられないほどの暗さに、どう接していいかわからず戸惑う。
     仕方ない、自分だって母親を亡くした時はそうだった…思い返して、フツオは恐る恐る声をかける。
    「…お店の迷惑になっちゃうから、一旦、出よう…ね?」
     返事はない。仕方ないと、尚も立ちあがろうとしないヨシオを、半ば強引に立たせて店を出る。肩を持ちあげて、重く脱力しきった体を引きずるように並んで歩く。一体、何杯飲んだのだろうか…平時ではあり得ない酒臭さが鼻につく。
     どれほどまでに彼を追い詰めたのだろうか…どれほど彼女の存在は重かったのだろうか…どこまでも一途に追い続けた結果と思うと、考えるまでもない。
    「ヨシオ君…あそこで、ゆっくりしようか。」
     店を出て少し歩いた先の区画には、何か会社名の書かれた看板が朽ちかけていた。三十年前にはオフィスだったのだろうか、中に入れば廃墟同然ではあるが、デスクが乱雑に並んでいた。主なきフロアは静かだ。
     ここなら、悪魔も寄っては来ないだろう…酒気を帯びたヨシオを手近な場所に座らせて、フツオも床に腰を下ろす。
     …痛いほどの静けさが、沈黙を重苦しくさせている。隣に座ったフツオは、項垂れるヨシオを見る。
     …世界で唯一人の母親が惨殺されたと知った時、今この場にはいないもう一人の友人ワルオと、二人でいたく気遣ってくれた事を思い出す。当時の記憶は曖昧だが多分、どちらも違う形で励まそうと、慰めようとしてくれたのだろう。
     こんな時に、いて欲しい人がいない事が悔しかった。自分には何が出来るだろう、彼はどうしていただろう…考えたところで言葉は浮かばない。
     言葉の代わりに、力無く投げ出されたヨシオの手を握って寄り添った。握り返される事は無いが、人の温もりがあると言う事だけでも知って欲しかった。
     逝ってしまった彼女は自分にとっても家族同然の幼馴染なはずなのに、涙すら出ないのは、もはや感覚が麻痺してしまっているからなのかもしれない。
     …時間の流れがわからない。ハンドベルトコンピュータを使おうとした時、不意にその手が握り返された。かと思うと、強い力で引き寄せられる。
    「ヨシオ君——」
     何かを言おうとした時には、唇を塞がれていた。近付いた荒い吐息には、酒の匂いが残っている。何が起きているのかわからないまま、堅い床の感触が背中に伝わる。視線は体ごと天井を仰いでいる。
     床の冷たさで、フツオは何が起きているのかを漸く理解した。唇を貪るヨシオの端正な顔が、鬼気迫る表情で自分を見つめていた。
    「っ…ふ、んんぅ……!」
     抵抗しようと試みるが、力は思った以上に強く、いくら踠いても離れない。
    「んぐっ……はぁ…っん、待って…っヨシオく——」
     フツオが制止する間もなく、服を脱ぎ始めた。真紅の革のジャケットとシャツを脱ぎ捨てて、裸体を露わにしたヨシオが、目の前の人を征服しようと跨る。勢いよく塞がれた唇と生まれたままの姿に、フツオは成す術もなく委ねる。
    「んっふ……ぅ……んぅ……っ…」
     柔らかな肉を味わうように唇が重なる。噛まないようにと開かれた口内では舌が絡み合って、唾液の濡れた音が響く。
     熱い吐息と大きくなる水音が、脳髄に甘い痺れを齎していく…全身に熱が滾る頃、フツオは片手でハンドベルトコンピュータを外した。諦めて委ねる選択をした事の、何よりの証だ。
     相方を傍らに置いて、自分の身につけていた装具を全て解いた。解いて、ベストのボタンを順々に外していく…その間にも接吻は続いていて、理性など溶けて無くなってしまいそうだった。
    「あ…っ」
     ベストを脱いで見えた上体に、唇がそのまま移る。首筋を甘く吸い噛まれて身を震わせると、その反応に刺激されたのか、胸の突起まで舌を這わせる。這わせた舌が突起を飴のように先で転がして、強く吸う。初めて味わう快感に戸惑いながら、本能が喘がせる。
    「んっ、ぁ……っ、はっ……んんぅっ……」
     熱い…全身の熱が、下腹部に集中している事を意識すると、止まらなくなった。目の前の果実を貪る事に夢中な、獣となった彼の後頭部を、抱き寄せてもっと喰らうように誘う。誘われたヨシオはそのまま更に激しく貪り始めた。首筋から始まり、鎖骨、胸元、裸体の至る所に痕をつけては、赤くなった果実を痛いくらい指で摘み立たせ、甘く噛む——繰り返される度に、切ない嬌声が漏れる。次第に艶かしく、嬌声は禁断の楽園に誘う甘い音になっていった。
     どちらともなく、下着ごと脱いだ。屹立している下腹部が露わになると、密着して再び唇を貪る。手探りでお互いのものに触れて、熱を持つ部位に指を這わせる。性的興奮から発せられた透明な粘液が伝っている…その粘液を潤滑油に、包んだ指を上下させる。
     柔らかな肉を貪る唾液の絡まる音が、熱を昂らせた。次第に速くなっていく指の動きにつれて、接吻も荒くなる。
     絡み合う舌先が離れて、唾液が糸を引くと同時に果てた。熱い精液が二人の体を汚す。
     …強い快感と虚脱感に脱力したフツオの裸体に、温かい雫が落ちた。はっとして見ればそれは、ヨシオが流した涙だった。
    「……」
     顔を歪めて、嗚咽を漏らすヨシオを、汚れていない片手で抱き寄せる。大丈夫だよと、胸に寄せて抱き止めると、そのままヨシオは泣き出した。

     …どれほど時間が経過したのか、気付けばヨシオはそのまま眠っていた。酒の力か泣き疲れたのか、熟睡していて、フツオが動かしても目が覚める気配はない。
    (…ヨシオ君、傷つくだろうな)
     真面目な彼の事だから、目が覚めてこの光景を見てしまったら余計にショックを受けるだろう…せめて、格好だけでも直しておくか。
     気怠い体を起き上がらせて、フツオは手近にあったぼろぼろのカーテンらしきものだった布を身につけると、フロアの西側にあった給湯室に向かう。水は出るようだ。手を洗いながら、手近なタオルを濡らして持っていくと、眠っているヨシオの体を同様に拭いてやる。触れて起きないかと思っていたが、目の覚める気配がない…よほど眠りは深いらしい。
     運が良い、とフツオは思った。痕跡を全て消してしまって、なかった事にしてしまえばいい。
     脱ぎ捨てた服を探して、ごめんと言いながら最初にヨシオに着させると、自分も着替える。外しておいたハンドベルトコンピュータを身につけて、最初に来た時と同じ格好に戻す。
     …元通りにした瞬間、何もない空間の静けさが、フツオにも眠気を齎した。疲労した体に襲う睡魔には勝てず、フツオはそのまま眠りに落ちた。

     …次に目が覚めた時、時刻は朝の十時を過ぎていた。学生だった頃にはあり得ない起床時間だ。いつの記憶かと苦く笑ってみると、同じようにヨシオも目を覚ました。
    「…おはよう、ヨシオ君…」
     大丈夫かと、心配して見ているフツオの目の前で、ヨシオは暫く呻いていたが、やがてのろのろと起き上がる。
    「…頭が痛い…」
     掠れた声でぽつりと呟かれた一言に、フツオは苦い笑みをそのままヨシオに向ける。
    「昨日、凄い飲んでたもんね。」
    「え…」
     フツオの一言に、間抜けた声が返ってくる。
     これは、もしかして…
    「…覚えてないの?」
    「……」
     目を瞬かせていたヨシオは、フツオの一言で頭を抱えた。
    「…バーに行って飲みました。」
    「うん、そうだよね。
     一人になりたいって言っていなくなった後、未成年だからまさかとは思ったけど、探したら泥酔してたから。」
    「…ああ、記憶がない…連れてきてくれたんですね…」
     …酒を飲んで泥酔してこれだ、その後に起きた事は、言わない方がいいだろう。元通りにしたのは、正解だったかもしれない。
     カーテンを無くした窓から差す光が眩しい。大丈夫と笑って言うと、フツオは一つ伸びをした。

    「………」
     頭を抱えたまま、ヨシオは顔を顰めた。鈍い頭痛はいわゆる二日酔いだろう。大人達の言う不快な症状を、こんな形で味わいたくはなかった。
     首を横に振ったところで、不意に何か違和感を覚える。襟元が開いていた。泥酔した時の息苦しさで、自分で開けたのか、介抱してくれたフツオが開けてくれたのかもしれない…閉めながら、そう考えていた。考えようとしていた。
     襟元に手を伸ばした時、僅かに何かが頭を過った。閉めようとした手が止まる。そのまま、窓側に座ってハンドベルトコンピュータを弄るフツオを見て——ヨシオの中で時間が止まった。
     紫か、赤にも似た痕が、フツオの首筋に生々しく残っている。昨日…少なくとも記憶の中に残るフツオの首筋には、そんなものはなかったはずだ。
     いつ、何が起きてついたものか——泥酔していた昨晩の抜け落ちた記憶、覚えていないのと問うフツオの言葉…冷たく鋭い刃先を、突きつけられたように動けない。
    「…ヨシオ君、どうしたの?」
     窓側でコンピュータを弄るフツオが、心配したのか声をかける。何もなかったように振る舞う少年に、何があったのかを問う勇気は出なかった。
    「………いえ……」
     悟られないように顔を逸らして、首を横に振る。さほど気に留めていないのか、フツオはコンピュータを弄りながら、こんな時間だからご飯は昼と兼用かな、などと呟いている。
     …必死に思い出そうとするも、頭痛が酷く悪化するばかりで、心臓は早鐘を打っている——取り返しのつかない罪を犯した事だけは、理解してしまった。
    「行こうか、ヨシオ君。」
     戻らない記憶の欠片を嘲笑うかのように、フツオは何もなかったように言う。
     …ああ、それが、僕への罰だと言うのか。
     自ら犯した罪の重さに唇を噛み締めて、ヨシオは笑う。謝罪する事すら許されない、それが自分に課された罰だと言うのならば…受け入れる他、なかった。
    「…はい。」
     何もなかったように、ヨシオは表情を繕ってフツオに頷いた。安心したのか、フツオの笑みは深くなる。それでいいと、手を握り締めて苦痛に耐える。ヨシオは、背を向けたフツオの後についていった。
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