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    くっく

    @jiaxququ

    固定創作夢主:九九···▸半妖(子狐系もしかしたら九尾説)の内気な女の子。幽霊などが視え妖術もボチボチ使える。耳は二種持ち。152センチ。差別社会で懸命に生きてる。
    三國志、エンパ、現代、など世界線色々。
    御相手は郭嘉くんと荀彧さんが主。
    (CP名:嘉九、彧九、嘉九彧)
    キャラ借りていくの大歓迎です!育ちがかわいそうな子なので、だいじに可愛がってくれると嬉しいです!

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    くっく

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    【嘉九彧現パロ】
    中学に進学した九九が郭嘉のことを郭嘉さんと呼んだ時、郭嘉はーー。

    #嘉九彧
    jiajiuYu

    閑話・さん付けとくん付け 桜が舞う季節。九九は中学に進級した。まだ伸びしろはあるだろうから、と仕立てた九九のセーラーの制服は少しブカブカだった。

    新しい学校は、幸か不幸か、小学生の頃の顔見知りはいなかった。周りもそうなのだろう、教室の空気はどこかぎこちなく、各所で個人的な自己紹介がはじまっている。
    名前は、呼び捨てではなく、"さん"や"くん"で呼びましょう。特に年上の人や目上の人は"さん"で。そんな担任の話を聞く。郷に入っては郷に従え、というの言葉があるように。九九は素直な子なので疑うことも無く吸収し、クラスメイトを"さん"や"くん"で呼んだ。

    学校が終わった九九は一人で帰る。入学式の時にいた母は普段は仕事があるので当然迎えはない。小学生の時もそうだ。朝はいつも郭嘉が居たけれど、帰りは授業が終わる時間も違うし、先に小学を卒業してからはすっかり一人だ。それでも寂しくないのは、帰ればまもなく会えるから。九九の帰りはいつも早足だ。

    「ただいま」

    九九の声がマンションの一室に響いて消える。返事は無い。母は仕事だからいない。
    手を洗ってから自室に入りカバンを下ろす。部屋着に着替えてしまおうかとリボンに手をかけるが、部屋にある大きな姿見に映る自分を見て動作を止める。まじまじと自分の制服姿を見て新鮮だなぁ、とその場で一回転してみせる。紺のプリーツスカートがふわりと揺れる。
    少し嬉しくなった九九はもう少しで訪れる予定の郭嘉をこのまま待とう、と決めた。

    「九九〜」

    数十分後、郭嘉が玄関を名前を呼びながら開ける。見慣れた光景である。
    靴を脱いで揃えていると九九がとたとたと迎えに来る。

    「郭嘉、さん。おかえりなさい」
    「……九九? 今なんて言ったの?」

    郭嘉は九九の言葉をきいて靴に手をやったまま停止した。九九は郭嘉の纏う空気が変わったのがすぐにわかった。

    「おかえりなさい、って……」
    「その前」
    「郭嘉、さん……」

    九九がそう言えば郭嘉は立ち上がり九九の肩を押して壁に押し付けると壁にドンと片手をつけた。

    「郭嘉さんってなに。今まで郭嘉、って呼び捨てだったのに? 俺の事嫌いになったの? 距離でもおきたいわけ? 言っておくけど、俺離すつもりないからね」

    初めて見る郭嘉の剣幕に九九は涙目になり、恐怖で何も言えない。男の人が怒るのは幼い頃のトラウマがフラッシュバックしてとても苦手だ。
    今日学校で先生に言われた言葉を素直に受け取り、郭嘉は年上だからさんをつけて呼んだ。ただそれだけの理由なのに。言葉にならず涙だけがぽろぽろと落ちる。
    どうにか、何か言わなきゃ、と必死に動かした口から出た言葉は嗚咽まじりのごめんなさい、ごめんなさい。そればかりだった。

    郭嘉はハッとした。守りたいと想う女の子を泣かせて、こんな狂ったようにごめんなさいと言わせたい訳じゃなかった。
    彼女はパニックになってしまっている。こんな責め方はどう考えても悪手だった。
    郭嘉は九九を優しく抱き寄せた。

    「怖がらせてごめん。ごめんね。どうか泣かないで」

    背中をポンポンと何回もあやす。過呼吸になりかけていた九九だったが優しくなった郭嘉の対応にやがて落ち着きを取り戻した。

    「がっこ、で、先生が、年上に、は敬意をはらって、名前にさん、をつけなさい、って言った、から、かくかは、すごいから、だから、」

    九九がつっかえながらも理由を口にすれば郭嘉は天を仰いで大きなため息をついて脱力した。

    「はやとちりして本当にごめん。九九」
    「ん……」
    「呼び捨てをやめて敬意をはらいたい九九の気持ちもわかったよ。でも俺は"さん"は嫌だな。折衷案として"くん"はどうかな?」
    「郭嘉、くん」
    「うん」
    「かくかくん」
    「うん」

    九九は馴染ませるように何度も名前を口にする。郭嘉は満足すると九九を横に抱き上げた。

    「さ。いつまでも玄関にいてもしょうがない。リビングいこう。今日は何して遊ぼうか」
    「う〜ん、一緒にテレビ見たい。こないだのドラマ、続き録画したのみよう?」
    「いいね。あ、九九」

    郭嘉はなにか思い出したようにして歩みを止める。九九がどうしたの、と郭嘉を見遣れば。

    「中学校の制服。似合ってて可愛いね」

    ちゅ。と首を伸ばして九九の耳にキスをした。
    不意打ちのそれに彼女は顔を赤く染めたのだった。





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