懐古邂逅言ったよね?ここに来ちゃだめだって。
二十年ぶりに故郷に戻ってきた。もともとここにある母の実家で暮らしていたが、父の転勤に合わせて引っ越し、その父が早死にしたことでまたここへ越してきた。あの頃は子供だった俺も、もう成人してしまった。すっかり変わってしまった街並みを惜しみながら歩く。
「うわ、この神社懐かし!まだあったんだ」
道路の脇から境内へ続く階段を見上げる。記憶の中よりもさらに古くなっているが、神社はまだそこにあった。別に今すぐ帰らなくてはいけないという訳でもないし、懐かしさに任せて階段を登った。
昔はよくここで遊んだものだ。爺ちゃんにはしょっちゅう怒られたけど。神社には物怪がいる、子供が一人で入っていったら攫われちまうぞって何回も何回も口酸っぱく言われた。それでも、こんな外見のせいで友達がいなかった俺は、毎日のように神社に行ってはそこで遊んでいた。
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