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    @hi_maru_55555

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    アラサーさにが惚れ薬っぽいの買ってそれを水と麿に食べさせて俺に惚れるか?って試す話
    健全なところまで書けたのでポイする

    惚れ薬と水と麿「面白いものが入荷したのだけど」

     行きつけの雑貨屋で、顔見知りの店員の男にそう話しかけられた。何度も通ううちに歳も近いせいか気が合い、なんとなく仲良くなって、こんな風にたまに新商品を教えてくれる事がある。

    「面白いもの?」
    「惚れ薬だってさ。興味あるか? 本物かどうか保証はしないけど」
    「へぇ、惚れ薬……。今の時代にそんなものがまだ存在するとは驚いた」
    「だろう? ま、中身はただの砂糖菓子っぽいけどな。買うなら安くしておくよ?」

     馬鹿馬鹿しい。そもそも薬で人の気持ちを操ろうだなんて、そんなこと……面白すぎるだろう。



     本丸に戻り、すぐに水心子と清麿の部屋へと向かう。部屋の前で声を掛けるとふたりから入っていいと返ってきたので遠慮なく襖を開けた。

    「おかえり。外は暑かったかい? 冷たいお茶でもいれようか」
    「ああ、頼む。土産に菓子を買ってきたから食べてくれ。他の男士には内緒だぞ」
    「私たちだけに買ってきたのか?」
    「そうだ。お前たちだけに買ってきた。いつも世話になっているからな、ちょっとした礼だ」

     自分で言っていて少し照れ臭くなる。礼だなんて言われて、こいつらは驚くだろうか。
     
    「礼⁉︎ 君が⁉︎」
    「世話になっているだと⁉︎ 貴方が私たちにそんな事を言うなんて、熱でもあるのか⁉︎」
    「僕、体温計持ってくるよ」
    「頼む、清麿」

     かなり予想外の反応だった。清麿が部屋の外へ出ようとしたので、腕を掴んで止めた。

    「たまには言うだろ! なんだその青ざめた顔は! 驚くにも程がある‼︎ 失礼だろうが⁉︎」

     普段言わないような事を、迂闊に言うもんじゃないな。



     さて、俺の目的はさっき雑貨屋で買った惚れ薬であって、本当に効果があるのか確かめる事だ。水心子と清麿で試そうにも、もう既に互いに惚れ合っているので意味がない。よって、俺に惚れるのかどうか、試してみる事にした。
     使い方は簡単で、この砂糖菓子を相手に食べさせてから一番に俺の顔をみせるだけだ。

    「いいか?菓子を食べたら、俺の顔をじっと見るんだぞ?」
    「わかったわかった。わかったからそんなに顔を近づけないでくれ」
    「こんなに近くいられたら君の鼻しかみえないよ」

     水心子と清麿は砂糖菓子を口に放り込む。視線はじぃ、と俺に向けていた。

    「……主の顔を見ながら菓子を食べるなんて、なんだか変な感じだ」
    「そうだね。ところでどうして君の顔を見ながら食べなくてはいけないのかな?」
    「特に意味はない」
    「そうか……」
    「そう……意味はないんだね」

     こいつらがどうなるか、ワクワクしながらしばらく様子を見ていたが特に変化はなかった。
     やはりこの菓子はただの砂糖菓子だったようだ。信じていたわけではないが……少しがっかりしたような、ホッとしたような、複雑な気持ちだった。

    「……何か俺に対して、こう、感情はないか?」
    「かんじょう? 君に? どんな?」
    「その、好き、とかぁ? あ、あ、愛してる、とかぁ? うわ、俺、何言ってんだ?」
    「自分で言った事に照れてどうする」
    「うるさい‼︎」

     念の為に確認したが、こいつらの態度からして本当に効果はなかったようだ。これはただの砂糖菓子だった。

    「主、このお菓子、美味しいよ。ね、水心子」
    「ああ。甘くて、舌の上で優しく溶けていく」
    「そうか、全部食べていいからな。好きなだけ食べてくれ。はぁ、じゃあ、俺は部屋に戻るから」

     ふたりはこの菓子をかなり気に入ってくれたようだ。それだけでもよかった。
     菓子の始末はふたりに任せて、部屋に戻ろうと立ち上がると、

    「待て、部屋に戻るなら私も行く」
    「そうだね、僕も行くよ」

     菓子を頬張りながらふたりは俺の足首を掴んできた。かなり強く掴まれたので少し痛かった。

    「俺の部屋に? 何か用でもあるのか?あと、痛いから足首から手を離せ」

     水心子と清麿は言われた通りに手を離し、菓子を食べながら俺をじぃ、と見ているが返事は返ってこない。

    「特に用がないなら別に来なくていい。お前らはここで残りの菓子を食べておけ。じゃあな」
    「いや、貴方の部屋へ行く」
    「菓子を食べ終わったら行くから、待ってて」

     ふたりは変わらず、菓子を食べながら瞬きもせずに俺をじぃ、とみている。
     なぜだろう。冷や汗が出てきた。水心子と清麿の様子が変だ。

    「あのぅ……その菓子、口にするのそろそろやめないか? さっきからめちゃくちゃ食べまくってますけど…………」
    「全部食べていいって言ったのは君だよ」
    「そうだ。貴方だ。だからすべて私と清麿が食べる」
    「そっスか……」

     水心子と清麿はまだ、じぃ、と俺を見つめて菓子を食べ続けている。もう俺を見なくていいんだ。お互いに好きなように食べていいんだと言っても聞かない。
     俺を見ながら、菓子を口に運び、飲み下す。

     水心子と清麿の様子がおかしいが、俺は何も見なかった、何もしなかった事にして、部屋をダッシュで出て行った。

     明日、雑貨屋の店員にあの菓子のことについて聞いてみよう。
     いや、今すぐ聞いてみよう、電話という手段があるじゃあないか!

     部屋に戻り、すぐに店へ電話をかけた。呼び出し音が鳴り続けるが、誰も出ない。おかしい、まだ店は営業時間内のはずだ。接客やレジをしているにしても十分以上もかかるものなのか⁉︎ しばらく鳴らし続けたが、留守番電話にも切り替わらず、結局誰も電話に出ることはなかった。
     
     電話を切ると同時に、部屋の外から足音が聞こえた。足音はこちらに向かって歩いてくる。ひとりではない、ふたりだ。

    「あ……、そうだ。菓子を食べ終えたらこっちにくるって言ってたっけ……」

     足音はぴたりと止まり襖を叩く音がする。

    「我が主よ、入っていいか?」
    「砂糖菓子、全部食べたよ」

     ごくりと喉が鳴る。
     ……このまま、襖を開けてもいいのだろうか。


    つづく?

    このあとスケベ3pになるので続きまた書く

     

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