1歳 1歳。
いや、1歳と5ヶ月。
大人になったら微々たる差、なんて誰だったかが言ったけれど、俺にとっては大きすぎる、壁のようにたちはだかる数字。
3年生のあなたは、あと数ヶ月で中等部を卒業してしまう。
そして俺は、ただひたすら前を向いてもう一度全国大会を狙ってテニスの練習に明け暮れる。あなたのいない、ぽっかり空いた隣に、不安や寂しさを感じながら。
俺の誕生日を越え、そうして迎えたあなたの卒業の日。年の差は、1歳。
ひらきかけの梅の花の下で、珍しくネクタイをしっかりとしめて笑うあなたは、今までで1番遠い存在に感じた。
冷たい風に乗せて、第二ボタンください、写真撮ってください、と彼に求める声が聞こえてくる。
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