幸運のハガキ「おはようございます……」
初日の出が正中に昇って、さらに一時間ほど経った頃。2DKで一緒に暮らす同居人が、寝癖のついた細い栗毛をそのままに、ようやく自室兼書斎の小さな部屋から這い出てきた。大晦日の昨日も、自室に引っ込んだあと随分と遅くまで執筆していたらしい。もしくは、かつてのチームメイト二人と楽しく朝方まで通話でもしていたか。
兎にも角にも、シンジュクで独歩と暮らしていたマンションよりも格段に狭くなったダイニングのテーブルから、寝ぼけ眼の彼に手を振った。
「おそよー、ゆめのん! あけおめことよろ〜!」
「明けましておめでとうございます。新年早々、一言余計な人ですね」
「ええー、ホントのこと言っただけじゃん。もうとっくにお昼過ぎてっし!」
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