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    chrosite_10

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    chrosite_10

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    葉流圭。みんな20歳以上。小手っ子の飲み会。
    清峰・藤堂はプロ。要・千早・山田は大学生設定。
    細かいことは気にしてはいけない系。
    はるけいというより、ただの飲み会。

    #葉流圭
    yeRyuKyu

     都内某所の個室の居酒屋。
     要は小手指高校野球部の同期と集まっていた。
     清峰と藤堂は高校卒業後野球プロ入り、要・山田・千早は大学進学と、特に社会人2人組との日程の擦り合わせが難しく、直接会えたのは久々だ。
    「みんな、何飲む?」
    「生!」
    「俺も」
    「俺も生で」
    「意外。瞬ちゃんビール飲むんだ」
    「最初ですし。ゑビスですしね」
    「俺はアサゐ方が好きだな」
    「藤堂くんにビールの違いなんて分かります?紅茶と水の違いも分かんないのに」
    「紅茶と水はさすがに分かるわ!」
    「葉流ちゃんはどーする?」
    「……ビール、飲んだことない」
    「先輩から飲まされないの」
    「この前のチームの飲み会で勝手に注文されてたけど。口つけなかったら隣に座ってた先輩が全部飲んでくれた」
    「……それ、清峰くんが飲めないと思って気を遣ってくれたんじゃないかな」
    「清峰、その先輩大事にした方がいいぞ」
    「せっかくだし、ビールデビューしちゃう?飲めなかったら俺飲むし」
    「うん」
     そんなこんなで、五人分のビールを注文し、目の前に置かれたところで。
    「ヤマちゃん、乾杯の音頭をどーぞ」
     我らが小手指野球部主将の挨拶がなければ、始まらない。
    「うん。じゃ、久々の再会を祝して」
    「「「「「かんぱーい」」」」」
     ジョッキをぶつけ、ただ会えた喜びを分かち合う。全員とグラスを重ね合わせる。それだけで楽しい。うまくグラスがぶつからなかった千早とだけ、改めてグラスを合わせる。
     一口ビールを飲む。運びたてのビールはふわふわの泡がまだ残っているので、飲み込むというより、口で泡を楽しむに近いけれども。
     まだ寒さが残る季節だから、この泡の温かさがちょうどよい感じがする。
     ラブアンドピース。
     ただ、この空間に皆がいることを楽しむだけの時間。
     それを噛みしめながら、隣に座る清峰を見る。
    「どう?葉流ちゃん。初ビールは」
     金色の輝く液体を口に含んだ清峰。意外に、その味をまじめに判定しているようだ。
     首を傾げなら、ビールを味わう清峰。
     それを静かに見守る、山田と二遊間。
    「苦い」
     眉も顰めての感想。初めてなら、そうだろうな、と納得する。
    「んなもん、慣れだ慣れ」
    「酒は個人の嗜好ですので、飲みたくなければ飲まなくていいと思いますよ。シーズン中は、飲まないにこしたことはありませんし」
    「初めてなら、そんな感じだと思うよ。僕もまだ慣れてないし」
     それぞれ、らしい感想を口にし。ジョッキと一緒に運ばれてきた鳥皮ときゅうりの和え物のお通しを口にしたり、何を注文するか相談する。「何頼むよ?」「おまかせ七本じゃないですか。焼き鳥が売りの店ですし」「早出しメニュー頼もっか。うずらの卵のにんにく醤油漬けとか」「鶏白湯ラーメン食べようぜ」「締めでしょ、それ。早くないですか」「締めは焼きおにぎりだろ」
     紙のメニューと睨めっこする三人。話はまとまったようで、呼び出しベルを山田が押そうと手にかけたところで、清峰が要の顎に手をかけ。
    「」
     目の前というよりゼロ距離にある清峰の顔。唇にあたるのは、慣れた触感の清峰の硬めの唇。しかも、驚きのあまり口を開けた要の口に舌まで入れて、要の舌に絡めてくる。舌に僅かに残っていたビールの苦みが、清峰の舌で消えていく。
     あ、だとか、息を吞む音がテーブルを挟んだところから聞こえ。遠くで、店員の呼び出しベルが鳴った音と、「はい、ただいまー」と、女性店員の声も程なくして聞こえ。
     慌てて清峰の胸を押して、唇から唇を離させる。
    「ちょっ、葉流ちゃん!もう酔ったの」
    「口直し」
    「へ」
    「苦かったから」
    「だからってベロチューは!みんないるのに!」
     黙り込む清峰。ムーミン顔にはなってないので、不機嫌度は低い……はずだ。
    「いや何、その何か問題あるの?みたいな顔は!」
    「問題あったか」
     大アリです。
    「相手の許可なく、しちゃだめだと思う」
    「普段からしてても?」
     首を傾げる清峰。あざとい。本人にそんなつもりなくても、そんな首の角度と綺麗な目で見つめられたら何でも許してあげたくなる。──けど。そのためには乗り越える壁が高すぎた。元チームメイトの呆然としつつも、生温かさといたたまれなさと、見なかったフリを必死にしようとする気遣いが混じりあった視線と空気。
     ──ここに居続ける勇気は、要にはない。
    「俺、おうち帰る!」
    「落ち着いて、要くん!パイ毛よりは恥ずかしくないから!」
    「推測が確信に変わっただけですので今更です」
    「清峰、外ではやるなよ。チームメイトと球団とスポンサーに迷惑かかっから」
     三者三様の感想。どれも一切合切フォローになっていない。いや、どれほど適切なフォローであっても、今の要を救ってくれなかっただろう。
     ──個室の戸が軽くノックされ、横開きの戸が開かれる。接客用の笑みを浮かべた店員が、手元に注文用の端末を構えている。
    「お伺いいたします」
     疾しいことは何もありませんよ、とばかりに山田が注文する。おまかせ七本を三つと、うずらの卵のにんにく醤油漬けが二つ、鶏白湯ラーメンが一つ。注文内容を店員が確認し、その場を去ると再び訪れる五人だけの空間。
    「……だれか、俺をころして」
    「慣れておいた方がいいですよ。次は生中継の時ですかねぇ」
    「清峰。どんなに頼まれてもCMは受けんなよ」
    「あんまりこういうことは言いたくないけど。要くんにキスしたりとか、抱きしめたりとか、好きって言ったりするのは、外ではしない方がいいと思う。清峰くんぐらい有名になると、いろんな人が見てるから」
     相変わらず容赦のない二遊間。清峰にでも分かるように伝えてくれる山田のアドバイス。
     そのどれもが、要の傷を抉るだけだった。
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    chrosite_10

    DOODLE桐智。
    大学生で同棲設定。ふんわり設定。
    大阪弁はふんわり。単語が下品です。
    キスの仕方なんて知らない「要クン。一年経ったし、そろそろ白状してもらうで」
     圭と秋斗が二人で暮らすアパートのダイニングキッチン。そのダイニングテーブルで圭と向かい合い、秋斗はにこやかに笑いかけた。
     テーブルには酒を注いだグラスが二つある。グラスを満たしているのは以前知り合いから譲り受けて飲んだところ、圭の反応がよかった桃の果実酒だ。今日のためにわざわざ通販で取り寄せたその酒は、圭が白状しやすいようにとの秋斗なりの気遣いと、尋問するのは多少心が痛むのでその詫びを兼ねたもの。
     とろりとしたクリーム色の酒をグラスに注いだときの圭の目は、少しばかり喜色を帯びていたが、秋斗の言葉で一気に真顔に戻った。口が引き攣らないように努力している様子さえある。圭と大学野球部で共に過ごすようになってから早三年。二人きりのときはこうして表情が表に出るようになった。圭の思考は表情に出ていなくても概ね分かるが、出ている方が秋斗の好みだ。秋斗以外は圭のこんな感情を知らないという軽い優越感が理由の一つ。あともう一つは、本人が秋斗の前だけ表情筋の動きが違うことを理解していないのがオモロ……ではなく、可愛いからだ。
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