『おい、要!自分のツレの手綱ぐらい、しっかり握っとけ──!』
「~~ッ!葵っち、声でかいって!いきなり何の話」
『桐島のことだよ!』
「桐島さん?え?葵っちっとマブダチだっけ?」
『んなわけあるか!』
「ちょ、落ち着いて。マジ話見えないからさ……」
『……っ。……ここんとこ頻繁に、千早と桐島が二人きりで会ってんだよ』
「へ?瞬ちゃんと?なんで?」
『こっちが聞きてぇよ!てか、一緒に住んでんだろ。どこに行ってるのか聞いてねぇのかよ』
「知り合いと飲んでくるとしか。あの人の交友関係、変に広いってゆーか、妙な繋がりあり過ぎて、圭ちゃんの頭脳をもってしても全把握は無理。」
『……お前に聞いた俺がバカだった。わりぃ。』
「怒りMAXからのガチ謝罪、傷つくからやめて……」
『あー。なんの話してたんだっけ?』
「瞬ちゃんが、桐島さんと会ってるって」
『そうだった。なんであの二人が繋がりあんだか分かんねぇし。性格も特別合う気、しねぇんだけど』
「たぶんそれ、半年ぐらい前の飲み会で連絡先交換したんだと思う。氷河の栗田くんって覚えてる?」
『千早と同じ富士見シニアにいたんだったか』
「そうそう。その栗田くんが、俺と桐島さんが知り合いなら、瞬ちゃんに会いたいって話になって。瞬ちゃんが俺も一緒なら会うって了承して四人で飲むことになって」
『……そういや、富士見の知り合いと飲むって、千早出かけてたことあったな。誰が一緒かまでは聞いてなかったわ。……話が盛り上がる面子かは知らんが、状況は分かった』
「俺と栗田くん、別件で遅れて行ったんだけどさ。俺らが合流したとき、瞬ちゃん、めちゃくちゃデキあがってて。桐島さんやけに面白がってて。桐島さんのツボに入ったかも」
『……』
「……どったの?葵っち」
『千早だけじゃなくて、俺込みで遊ばれてる気がする』
「そうなの?」
『あの人、千早と飲んでるとき、わざわざ俺に千早とのツーショット写真送ってくんだぞ』
「あー」
『千早のやつ、酔ってるのか何なのか知らんが、やけにいい顔で桐島の隣にいるし』
「それは……なんかスミマセン……」
『挙句の果てに千早迎えに来いとかメッセ飛んでくるし。迎えに行ったら、千早連れて帰るどころか絡まれるし』
「……全部初耳デス」
『だろうな。……まぁ、「俺は要クン一筋やから、安心しぃや」とか言ってたし、千早だから二人でいて何かあるとは思ってねぇけど。……面白くねぇじゃん。』
「ごもっともで。でもさぁ、そもそもなんで瞬ちゃんは桐島さんと会うわけ。付き合う人間は選ぶタイプだし、推しにも弱くないでしょ」
『いや、ああ見えて押すといろいろ許してくれけっど』
「……葵ちゃんのエッチ!」
『は?……いやいやいや、何想像してんだお前!』
「イケない話したのは葵っちじゃん」
『そりゃ、ちらっとは思い出したけどよ……って、この話はいいんだよ。とにかく!もっと桐島を見とけ!目を離すな!主導権を取れ!ヤられる前にヤれ!』
「…………俺の身体がもたないからムリ。」