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    yu__2020

    物書き。パラレル物。
    B級映画と軽い海外ドラマな雰囲気になったらいいな

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    yu__2020

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    魔女っ子アズ(12歳♀)と、押しかけ使い魔の双子の商売繁盛記なイドアズのパラレル物。別名使い魔の魔女育成(甘やかし)記録。

    ##先天女体化
    ##パラレル
    ##魔女っ子

    僕達の小さな魔女    潮風が爽やかなその街は賑やかで、多くの人と物が行き交う交易の街だった。
     港に下ろされる多くの積み荷が運び込まれて市場に運び込まれていき、そのままあちこちの店で売られていく。
     活気に満ちているその街の、少しばかり静かな裏通りに入った男は、辺りに目をやり本当にここか? と首をかしげた。
    「合ってる合ってる」
    「あと少しですよ」
    「うわっ!」
     声が後ろからして、エースは飛び上がって悲鳴を上げた。
    「び、びっくりしたー!? いつの間に後ろに?」
     さっきまで誰もいなかったはずの場所に立つ、背の高い双子を見上げてエースはたじろいだ。二人はえー? とニヤニヤ笑って
    「内緒ですよ」
    「そうそう。ほら、さっさと店に行こうー?」
     肩を掴まれ、エースはいでで! と悲鳴を上げて半ば引きずられるように裏通りを歩き出した。
    「ほ、本当にこんな所に、そんなすげー店があるんですか?」
    「勿論、それは保証いたしますよ」
    「何しろ最近出来たばっかりでさぁ、今ならサービスってやつ」
    「はあ……」
     胡散臭い……。
     エースは頭に浮かんだ言葉を口にするのはどうにか抑え、引きずられるように路地を歩き続けた。
     そもそも、エースはこんな所に来るつもりは無かった。
     ――いや、なんか、飯食ってたらいつの間にか来ることになってたんだよな……。
     エースは記憶を思い返して考えた。
     食事のために入った店で、店主と学校の成績について喋っていたとき、中々記憶力が、なんて話をしていた所に、近くに座っていたあの二人が声をかけてきたのだ。
     ――それ、なんとか出来る人を知っていますよ
     双子の一人がそう言って、横に立ったもう一人が、今なら半額なんだよねぇ、とエースの肩を叩いたのだ。
     怖いけど、半額だし……。どれくらいが元値か知らないけど……。でも記憶力がめちゃくちゃ良くなって、テストの前に飲めば良いと言われたら興味が出てしまうのはしょうが無い。
     そういう訳で、エースは怖い双子二人に半ば抱えられて裏通りを歩き続けていた。
    「ま、まだっすか?」
    「もう少しだよ」
    「ええ、この角を曲がった、ここです」
     路地を曲がった先は海が目と鼻の先にある静かな通りで、殆ど人も居なかった。道の向こうにはぽつんと一軒だけ、こじんまりとした店が建っていた。
    「……こんなのあったんだ」
    「ええ、最近来たと申し上げたとおりで」
     一人が店のドアを開けて、薄暗い店内にエースを案内し、椅子の一つを勧めた。
    「お茶はいかがですか?」
    「あ、いや、ケッコウデス……」
     店の中は案外いかがわしい物も無く、本とハーブらしい物が並べられた棚と、ルーペやら何やら何に使うか分からない道具が並べられていた。
    「フロイド、アズールを呼んできてください」
    「オッケー」
     バタバタと店の奥に消えていく双子の片割れを眺めていると、残った一人が静かにエースの側に立った。
    「……。あー、今呼んでるのって」
    「店主です。薬を作るのもお客様の願いを叶えるのも、皆店主が行います」
     エースは、意外そうに顔を上げた。
    「へえ、なんか、二人が店をやってるのかと思った」
    「ああ、一応表向きはそういう体にしてたりはしますね」
    「ふーん? なんで?」
     エースはふと店の中になんだか妙な物を見付けて視線が釘付けになった。人形やぬいぐるみがしれっと分厚い装丁の本の合間に置かれている。よく見ると、棚に並んでいるカップや丁度も微妙に目の前の男達の趣味と言うよりは……。
     ――明らかに少女趣味、っぽいような?
     疑問を口にしようとしたところで、バタンと店の奥のドアが開いて、先ほどの、フロイドと呼ばれた男が戻ってきた。靴音はしかし二つだ。
    「……?」
     思わず立ち上がったエースは、カウンターの向こうからひょこっと頭が覗いて、出て来た店主らしき人物を見下ろして、は? と呟いた。
    「子供?」
     年の頃は十二、三と言ったところか、ウェーブの掛かった銀髪をまとめた、言ってはなんだが生意気そうな顔の少女が威厳を持たせるためか胸を反らしてエースを見上げた。
    「こんにちは、僕がこの店の主、アズールです。お困り事のようですね」
     さあ遠慮無く! と言いながら、アズールは双子の手を借りてエースの向かい側の椅子に座った。
    「……え、遠慮無くって言われても」
     この小さいのがどうやって? と思わず呟くと、アズールはむっと眉をひそめた。
    「本当なら蛙にされてもおかしくない無礼ですよ。まあ、僕は慈悲深いので良いですけど」
    「はあ」
     思わずぼりぼり頭を掻いて、エースは妙なのに捕まったなと、首をすくめた。
    「アズール、この方はテスト前の記憶力をなんとかしたいそうですよ」
     横に立っていた男の言葉に、アズールはぽんと手を叩いた。
    「なるほど。エースさん、でしたか? 貴方は学生ですか」
    「あ、あー、まあ。一応」
    「素晴らしい。この街で学生をやれるという事は、さぞ名のある家の子なのでしょうね。分かりました。貴方の願い、今回は特別に一つ、無償で叶えて差し上げます。ジェイド、三番目の棚の二列目にある瓶をとってください」
    「はい」
     ジェイドは指を差した先の棚から瓶をとって、アズールに手渡した。
    「どうぞ、これをテスト勉強の前に飲んでください。テストの前日に飲んで勉強をして、翌日テストを受ければきっとその効果に驚きますよ」
     渡された薄い緑色の液体に、思わず眉をひそめて、それでもエースは瓶を受け取った。取り敢えずこの場は流れに身を任せた方が良いだろう。そういう勘はエースは自信があった。
    「まあ、どうもありがとうございます」
    「試験の結果はいつですか?」
    「あ、あーっと、一週間後です」
    「なら、試験の結果が分かった来週、結果を教えてください。もしその薬を使わなかったなら、薬は回収しますので」
    「あー、なるほど」
     そういう事か、とエースは納得して
    「分かった。じゃあ結果出たら教えるから」
    「ええ、楽しみにしてますよ」
     アズールが手を叩くとカランとドアが開けられた。エースは立ち上がり、店を出て静かな通りを歩き出した。
    「――こんなので点数取れたら世話無いよなぁ」
     呟きつつ、エースはまあやってみるのはタダだしな、と瓶を空にかざしてにや、と笑った。



     ――嘘だろ
     試験が終わり、壁に張り出された順位を見つめてエースはぽかんと立っていた。
     今までで一番良い成績で、どうにか親にどやされずに済む成績だった。
    「エース、一体どうやったんだ?」
    「全然勉強してる風に見えなかったけど」
     仲間が口々に言う中、エースはあははは、と適当に答え足取りも軽く、約束を守ってあの不思議な店に行くことにした。
     カランとドアを開けて中に入ると、ジェイドがカウンターの向こうで作業をしていた。彼はエースに気付くと手を止めて、にこやかに微笑んだ。
    「ああ、こんにちは。エースさん。どうでしたか?」
    「いやー、それがバッチリ! 今回赤点だったら学校止めさせられるところだったからさぁ。本当に助かった」
     機嫌の良いエースに、ジェイドはそれは良かったと微笑んだ。
    「あれ、あのちっちゃい店主は?」
    「ちっちゃい……。ああ、アズールですか? 彼女は奥で薬の調合中です」
    「本当にあの子が作ってんの……?」
    「ええ、彼女は正当な魔女ですから」
    「……魔女」
     ぴしっとエースの動きが止まり、顔が引きつる。その様子を、ジェイドは面白がるように手を顎に当て
    「はい。エースさんのご実家は、確かそう言うのとの関わりはあまり良しとされない、のでしたか? おやおや、困りましたねぇ」
     冷や汗を流し始めたエースに追い打ちを掛けるように、ドアが開いて、塞ぐようにフロイドが立ってにこやかに微笑んだ。
    「あ、カニちゃんだー。どうだった? アズールの魔法薬。凄いでしょ?」
    「あ、はははは」
    「どうしました?」
     店の奥からあの小さな頭がカウンター越しに移動して、ジェイドがアズールを抱えてカウンターの向こうのエースにアズールを向かい合わせた。
    「ああ、エースさん! どうでしたか? 僕の薬の効果は」
    「あ……。はい、ばっちりでしたー……」
    「そうでしょう! 僕のお手製ですからね。本来なら十万マドル相当ですよ」
     ジェイドに抱えられたまま、腰に手を当てて胸を反るという、中々出来ない芸当をしながらアズールは答えた。
    「アズール、一つ問題があるのですが」
    「なんです?」
    「エースさんのご実家は、反魔女、だそうで。この間も使いの方が来ていたでしょう。僕達、このままだと街から追い出されてしまいます」
    「……。そういえば、あれはエースさんのご実家でしたか。困りましたねぇ」
    「息子がしれっと自分だけ魔法薬で成績上げたなんて、世間に知られたら大変だよねぇ?」
    「ねえエースさん、お互い、そういうのは困るでしょう? 今回僕らの調査不足でご迷惑をおかけしてしまいましたが……。でもおかげで助かった、んですよね?」
    「ええっと、まあ……」
     エースは冷や汗を流しながら、カウンター越しにじーっと見つめてくるジェイドとアズールから視線を逸らした。
    「なら、僕達の願い、叶えてくれますよね?」
    「……そうだよぉ、こんな可愛い子を追い出すなんて、しないよねぇ?」
     しくしく、と目を押さえるアズールを、嘘泣きだ! と腹では思いながらエースはガクガクと頷いて
    「わ、分かりました! はい! 親父に言っておきます!」
    「ああ、良かったですねアズール。ここで長く過ごせそうですよ」
    「良かったねぇ」
     にや、と笑う双子に、アズールは機嫌良く頷いて
    「ええ、お優しいエースさんに感謝いたします。お礼に、もしまた困ったことがあれば三割引でご対応いたしますよ」
    「免除じゃ無いんだ……」
    「当然です! 僕の力は唯一無二と言っても良いですからね。何しろ、当代海の魔女ですから」
     アズールはジェイドに合図を送って下に降りると、カウンターの扉を開けて、棚の一つから何かをとりだした。
    「とはいえ、エースさん、このあと少しばかり良くない星回りのようなので、これをお渡しします。まあちょっとしたお守りですが。これは魔女とかは関係無い品物です。教会でも手に入る物ですから」
    「え、オレそんなにやばいの?」
     エースの問いに、アズールはなんとも言えない表情を一瞬してから首をかしげ
    「魔物的な、いや、うーん……まあ、大丈夫ですよきっと」
    「アズール、占いはあまり得意ではないので……」
    「まあ魔女にも得意とか不得意あるらしいから! カニちゃん頑張れー」
     にこやかに蹴り上げ外に放り出されたエースは、そんなのありか? と頭を抱えていた。



     鼻歌を歌いながらベッドに転がって、アズールは手元のぬいぐるみを抱え直した。
     思いのほか、順調に店はスタートしていた。客の希望や願いを叶えてやったことで、既にじわじわと噂話が広がっているようだ。
     かちゃ、とドアが開いてジェイドとフロイドが入ってきて、ベッドに座りアズールに手を伸ばす。
    「機嫌が良いですね。アズール」
    「良かったねぇ」
     撫でる手にアズールはぱたりと機嫌良くうつ伏せになり、うとうととし始めた。
    「もう寝る? アズール」
    「んー」
     カーテンを閉めて、ジェイドとフロイドは戸締まりをするとしゅるりと輪郭が歪んで身体が縮んだ。
     大きなベッドに、アズールより少しばかり背の高い双子が飛び込んできて、シーツの中にすっぽり収まる。
    「なんで寝るときは子供の格好なんです?」
     アズールを挟んで横になったジェイドとフロイドは、言葉に窮して、あーっと思わず視線を逸らした。
    「大人になるまではその方が良いかなーって」
    「ええ、まあ、そういう……けじめ的な」
    「……偶に何言ってるのか分からないですねぇ」
     アズールはそう言って、二人の手を握って健やかに眠り始めた。

    「アズール、どうしてそっちの知識は引き継がなかったんだろうねぇ」
     フロイドのつぶやきに、ジェイドは悩ましげに首を振った。
    「まあ、そのうち。ですね」
     大事な僕達の魔女だから、とジェイドは囁き、フロイドはそうだねぇと呟いてうとうととし始めた。



     十二歳の魔女なりたてのアズ(女)の繁盛日記的な物。
     最初に書いたのは二人と会うこの話の前部分。こっち先の方が関係性分かるかなと言う感じで。
     僕とオレの魔女だから、とベタベタに甘いジェイドとフロイドが見たかった……

     この魔女アズはちっちゃいので当然バイコーンを呼んでも制御できないし、サバトには入場制限されるので、魔女だけど魔女じゃない微妙なライン
     なお、大人になるのは使い魔達の教育による物だし何だったらもうずっと使い魔達とイチャイチャ過ごす
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