六年後の夢 その姿を見た途端、思わず「きゃーっ!」と声が出た。
目の前にいたのは、自分の恋人である柳楽凌だ。日本人離れした体格で、とにかく顔面がいい。ちょっぴり神経質そうに寄せられた眉も、眼鏡の奥の目も、右目の下にあるあざも、高い鼻も、微笑んだ口元も。ぜんぶぜんぶ知里佳の好きな顔だ。
だが、今目の前にいる柳楽はふだんとは違う。知里佳のベッドに腰掛けた彼の顔は、ふだんより穏やかで、どこか渋みがある。
「もしかして、もしかして……六年後の柳楽さんでしょうか……っ」
「うん。たぶん、そうなるかな」
二十五歳の柳楽が、苦笑に似た笑みを浮かべながら答えた。
知里佳は枕をひっくり返し、「あのっ、あのっ」とそこからメモのような紙を取り出す。
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