忘却の写真はじめが父親とツーショットで写真を撮る機会は稀だった。
小学校の入学式の写真も、卒業式の写真も、居心地の悪そうな顔をした自分が一人だけで写っていた。家族が二人しかいないのだから、当たり前だ。
稀に、親切な第三者が撮影してくれるときもあったから、二人で撮られた写真が全く無いわけではない。しかし、数は圧倒的に少なかった。
ある日、父の部屋の整理をしていると、引き出しの奥から、写真の束がでてきた。
十二歳くらいの自分が遊園地で遊んでいたらしいスナップショット。大きなソフトクリームを美味しそうに食べて、遊園地のマスコットキャラクターとぎこちなく笑って。
パラパラと写真を見ながら、こんなことあったかなぁと記憶をたどる。
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