まだ原作等きっちりあたれてないので、イメージで読んでいただければと思います😶
丁度メインスト等読み返そうかなと思っていたのでその時にリベンジさせてください、、!
リク、ありがとうございます、、、!!!
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なぜ、こいつと天井を見上げているのか。
晴翔は眉間に皺を寄せながらじっと天井の隅を睨みつける。
「ねえ晴翔さーん。もう寝ました?」
「…寝た」
「いや、めっちゃ嘘つくじゃん。寝てる人は返事なんてしないもんっすよ」
隣でもぞもぞと動く音が聞こえ、常夜灯に影ができる。ため息をついて見上げれば、ひょいと覗いた志太の顔がある。
「邪魔」
「えー。寝ないならなんか寝落ちるまで話しましょうよ」
ごろりと布団に転がって、落ち着きなく手足を動かす志太。晴翔はわざとらしくため息をつくと志太の方に体を向けた。
「お前な」
晴翔の渾身の嫌そうな声も、志太には全く持って響かない。相変わらず晴翔が自分の方を向いてくれたことを素直に喜んでいた。
「こういうの、なんかドキドキするなぁ」
「は?」
「楽しいでしょ。ワクワクして」
「しない。僕はお前がいることにムカムカしてる」
「またまた〜」
志太はどこまでも明るくて人懐っこい。才能にも恵まれコンプレックスの一つも抱えずにそもそも悩みすらないような、過去も今も未来でさえ輝く道が示されているような。そんな、眩しい存在に晴翔の目には映っていた。
「おい」
でも、そうじゃないことを晴翔は知っている。決して楽だけで辿り着いた場所じゃない。羨ましい、嫉ましいの感情だけでは、あまりにも失礼だ。こいつにも、自分にも。
「なんすか?」
「早く寝ないと、肌に響く」
「えーー。あ、でもでも! 俺はまだ晴翔さんより若いし」
「やかましいわ!」
ぎゃんぎゃんと怒鳴り返すが、至太は嬉しそうに笑っている。晴翔はすっかり牙を抜かれてこれ以上突っかかる気もしなかった。
「晴翔さーん」
「なんだよ、寝ろ」
「こういうこと、丞さんとはしなかったっしょ」
志太が手を天井に伸ばしながらそう言った。
「はぁ? あいつとする訳がないだろ」
「つか、向こうが断るか」
「分かってるなら言うな」
なんだよ急に。そう、晴翔は布団を引き上げる。突然おかしなことを言う志太。
丞とは、一緒に寝ることどころかまともに喋ることさえしなかった。そもそもGOD座の雰囲気は、志太が来てからどんどん変わっていったのだ。毎日が、今までとは違うことばかりだった。
「…お前が来てから新しいことばっかだよ」
「そうなんですか? じゃあ初めて記念ばっかじゃん」
「…そのご機嫌な発想はどこから湧いて出てくるわけ?」
隣の志太が、がばりと起き上がる。
「え? だってそうでしょ。新しいことは楽しいじゃん」
「いやだから! ……変えられたり、周りだけ変わってくと怖いことだってあるだろ」
途端に小さくなった晴翔の声。弱音を吐いたようで恥ずかしくなり、早々に切り上げようとそっぽを向いた。何かを察したのか志太もそれ以上は追ってこない。
静かでいい。このまま寝よう。
「晴翔さんも変わってるよ」
「…は?」
「んー。俺が変えなくても、晴翔さんから変わってると思うんですけど。レニさんも、円も。…丞さんも?」
再び布団に転がりながら、そう志太が言う。
声の明るさに変わりはないが、それでも真剣に言っていることはわかる。
なんであいつの名前が…。そうぼやきながらも晴翔はちらりと隣を見た。
「俺も晴翔さんとかに色々教えてもらって変わるわけで。それがこう、巡り巡って? 全員変わってくんじゃないっすかね〜」
「…お気楽だな」
「えー。だめ?」
「別に」
巡り巡って変わってく。よくもまあそんなことを考えつく。
でもまあ、もし、こんな発想がもっと前からあったなら、もっと早く変わることが出来たのか。そしたら僕もレニさんも、GOD座全体も、今は居ないあいつらだって_____。
「…僕もお前も負けてんぞ。なあ元トップ」
ぼそりと、そう呟いた。
「え? 何か言いました??」
「言ってない」
「え、え。絶対言いましたよね」
「あーもう! お前にしてはいいこと言うなって言ったんだ」
「え、まじすか!? やった」
「はいはい、いい加減寝るぞ」
布団を頭まで被る。
まだ何か言いたげな志太だったが、しばらく無視すれば諦めて眠ったようだった。最後に小さくおやすみなさいと言い残して。
全く、人の眠りを邪魔したくせに随分と気持ちよさそうな寝息を立てるものだ。
晴翔は布団から起き上がると志太の寝顔を覗き込んだ。
「本当、…アホ面」
こう見れば、図体ばかりは大きいがまだまだ子供だな。そんなことをふと思う。
布団を軽く整えて、晴翔は眠る準備をする。
そして布団に潜り込むと、一呼吸のうちに目を閉じた。
今日は少し変なことに気を使いすぎた。弱気になったり甘い考えを持ってみたり、なんだか自分がくすぐったい。
さっさと寝て、明日に備えよう。
そう考えて晴翔もゆっくりと眠りについた。