こんにちは。お話しませんか。メモで話す
世界史の授業で訪れた特別教室。週3回程訪れるこの教室は自分のクラスの教室と構造はなんら変わりない。ただ、世界地図が飾られていたり、地球儀があったり、長ったらしい年表があったり。大きなそれらに圧迫感を感じてしまう。
今日も授業の内容はそれなりに聞いてタブレットで纏め、テストに困らない程度にはしておこう。そう思いながら教師が話しているところを眺める。
脱線した雑学を話し始めたのでタブレットと一緒に持ってきた漫画を読もうと机の中に手を入れる。中から本を引き出すと、読もうとしていたパティバトではなく見覚えのない本が現れた。
「……?」
有名な書店の青いブックカバーが掛けられた文庫本。カバーが掛けられているためタイトルはわからない。この時代に文庫本を持つこと自体が珍しい上にこんなところに忘れるなんて、紙の本が好きなのかそうではないのか。
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