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    FuzzyTheory1625

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    FuzzyTheory1625

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    眠気MAXで書いたので面白くない

    疲労で全員の頭がイカれてる——補給から340時間経過。

    ウルリッヒの身体は明らかに限界に近づいていた。義体とはいえ、補給なしで動き続けるのには当然リスクがある。エネルギーが切れかけている今、彼の思考はまるで霧に包まれたように鈍重で、視界もところどころ霞んでいた。

    それでも、なんとか意識を保つためにウルリッヒは机の上のコーヒーカップをじっと見つめた。

    (……そろそろ補充しないとマズいな)

    カフェインが切れるとさらに判断力が落ちる。ウルリッヒはそれを本能的に理解していた。

    コーヒーを入れ直す、それだけのことを考え、力なく立ち上がる——

    その動作が、思いもよらぬ事故を引き起こすとは知らずに。

    ゴンッ!!!

    鋭い衝撃音が、室内に響き渡った。

    次の瞬間、アドラーの脳内が一気に真っ白になる。

    「——ッ!?」

    何が起こったのか、まるで理解できなかった。ただ、激痛とともに意識が一瞬飛びそうになり、全身が硬直する。

    鼻の奥で鈍い衝撃が炸裂し、骨の軋む感触と共にバキッという不吉な音が響いた。

    熱い。

    鼻の奥に広がる硝煙の匂い。

    そして——

    止めどなく流れ出すものがある。

    「あ……」

    アドラーはゆっくりと手を顔に添えた。自分の鼻の奥がじんじんと痺れるように痛い。 そのまま鼻を押さえると、どろっとした感触が指先に伝わる。

    「……え?」

    手をゆっくりと目の前に持ち上げる。

    そこには真っ赤な血がべったりと広がっていた。

    ウルリッヒはというと、まだぼんやりとしていた。

    (ん? 何か……変な音がしたような……)

    視界の端で、何かが赤く染まっていくのが見えた気がする。だが、疲労で思考がまともに働かない彼は、すぐにその違和感を理解できなかった。

    ただ、目の前のアドラーの様子が明らかにおかしい。

    「……アドラー?」

    ウルリッヒはまばたき(?)をした。

    アドラーは、呆然としたまま鼻血を垂れ流しながら立ち尽くしている。鼻の下どころか、口の端、顎の先まで赤い筋が伝い、滴となってポタポタと床に落ちていく。

    「……え、お前、今何した?」

    アドラーの声は、どこか遠くから聞こえるような響き方だった。

    鼻の奥がひどく痛む。

    骨がミシッと軋んだ感触がまだ残っているし、何より、熱を帯びた血が止まらない。

    しかし――

    アドラーの思考もまた、混乱でぐちゃぐちゃだった。

    普段ならすぐに「ウルリッヒの頭がぶつかったせいだ」と判断できるはずなのに、今の彼の頭は明らかにおかしかった。

    ウルリッヒのぼんやりした表情を見ていると、なぜか自分もつられて思考が遅くなっていく。

    「……あれ? 俺、なんで鼻血出てんだ?」

    「……ボクが知りたい。」

    ウルリッヒは疲労で磁性流体をしばたたかせながら、アドラーの顔を見つめた。アドラーもまた、ウルリッヒの顔をじっと見る。

    二人とも、異常なまでに動きが遅い。

    アドラーは鼻をすすろうとしたが、鼻の奥に違和感が走り、ズキッ!とした痛みが襲う。

    「いって……!」

    思わず顔をしかめる。
    でも、痛いだけでなく、頭がぼんやりしているせいで変に楽しくなってきた。

    鼻血を流しながら、アドラーはふと、目の前のウルリッヒの妙な耳に目をとめた。

    (こいつの耳……なんでこんなとこにあるんだっけ……?)

    普段なら当たり前すぎてスルーするはずのギアが、今のアドラーには新発見のように感じられる。

    「なぁ……」

    アドラーは、ウルリッヒの耳にそっと手を伸ばし――

    「……?アドラー何を——」

    ぴとっ。

    「……」

    「……」

    ウルリッヒの耳に、アドラーの血まみれの指が触れた。

    「…………」

    「…………」

    ……何してんだ?

    ウルリッヒが疲労で思考停止しているのと同じように、アドラーも頭がぼんやりしていた。

    だから、血まみれの指で相手の耳を触ることの意味を、一瞬考えなかったのだ。

    「あっ……」

    ようやく状況を理解した瞬間、

    「……オエエエエ!!!」

    アドラーは衝撃で変な声を上げ、全力で後ずさった。

    「な、なんで俺、お前の耳触った!? え、きもっ! 俺、きもっ!!!」

    一人で大混乱し、鼻血をさらに床に撒き散らすアドラー。

    ウルリッヒは、まだ″???″と磁性流体を変形させていたが、

    「……あー……」

    鼻血のついた耳を見つめ、

    「……これ、ちゃんと消毒しないとダメか?」

    と、実にどうでもよさそうな声で言った。



    §



    「……え?」

    その場の異様な空気を打ち破ったのは、唐突な第三者の声だった。

    「え……何これ……殺人現場?」

    振り向くと、ドアの向こうで、Xがドン引きした顔をしていた。

    「……いや、ミスター・ウルリッヒ、なんで耳血まみれなの?」

    「いや、ボクが知りたい……」

    「というか、ミスター・エニグマ、なんで鼻血ダラダラ流してるの?」

    「それも俺が知りたい……」

    「……えっと…喧嘩でもした?」

    Xの質問に、二人は沈黙する。

    そして、アドラーは改めてウルリッヒの義体の硬い頭と変な耳の位置を思い出し、

    「……やっぱ、お前の頭おかしくねぇ?」

    と、呆然と呟いた。
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