Heart雲の隙間から月光が漏れていた。
ほとんど隠された月を、俺の恋人はぼんやりと見上げている。
エメラルドの瞳はその月を映しているようで、何も映していないようだ。
「Ren?」
俺は緑茶が入ったマグカップを彼に差し出す。
「……お!ありがとう」
俺に気づくと、こっちを向き、微笑んでそれを受け取り、口を付ける。
口角は上がっているもの、やはり何か物思いに耽っているようだ。
彼の瞳は緑茶の水面を映していた。
俺はそれを眺めながら、グリーンティー(Renとは違って砂糖入りの甘いやつだ)の缶を傾ける。
「何かあったのか?」
それとなくRenに切り出す。
いつもと様子が違うのは明らかだった。
「…大したことじゃないんだけどね。ちょっと自信がなくなっちゃって。」
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