Line of sight「━━━…っ!」
アイツと目が合った瞬間、急に恥ずかしいという感情が込み上げた。女として、首に大きな傷があるなんてみすぼらしいよな…と、ふとそんな考えが頭をよぎる。そう思ったら、普段なら気にしない筈のその部分を咄嗟に手で覆ってしまった。
「…あんまジロジロ見んじゃねぇよ…。」
見られている。…と意識した瞬間、いたたまれない気持ちが込み上げて、ポツリ…とそんな言葉を口走る。微妙な空気が漂っているのを感じてしまった。
そんな黒曜の考えを他所に、目が合った瞬間に赤面しながら首筋に手を当てる彼女を目の当たりにした晶。普段なら絶対見ることの出来ないその表情に可愛いと思いながら、こんな表情が見られるのも、恋人という関係になったからこその特権だよなと優越感に浸る。
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