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    るすぱる自陣の二次創作
    ※助手の秘匿内容含む

    #TRPG

    たこぱするるすぱる自陣「たこぱしてみたい!」
    目を輝かせながら突然言い放つ、やたら顔が良い探偵。
    今は平日の午後3時、セレネル探偵事務所は思いっきり業務中の時間である。…とは言え、特に依頼の無い今日のような日は依頼人を待ちながら書類を整理したり掃除したり、はたまた暇を持て余して散々読み返したお気に入りの小説を改めて読み耽るくらいしかやる事もない。
    簡潔に言えば暇をしていた。
    「…はぁ?なんだよ急に…」
    暇な探偵事務所の中でも常にやるべき仕事を自主的に見つけ忙しなく働く目付きは悪いが優秀な助手は、手元の書類から顔を上げ声の主であるせれるの方へ目をやる。
    せれるは来客用ソファに寝転がったまま見ていたスマホを指さし、画面が見えるように差し出す。
    「たこぱ!みんなでお家に集まってたこ焼き作って食べるんだって!!知ってた!?」
    スマホの画面には日常系アニメか何かのワンシーンが映っている。どうやらたこぱをしているところらしい。
    「そういや白蛇会のやつらでもやってるやつがいたかもな…でもたこ焼き焼いて食うってだけだろ?んなもん買った方が早いんじゃねえか?」
    そう言ってまた手元の書類へ視線を戻そうとする、が。
    「も〜~シュンてば何言ってるの!!!一緒に作るのが楽しいんでしょ!?!?」
    と突然怒り出すせれるに驚き再び顔を上げる。
    せれるは怒った勢いで寝転んでいたソファから飛び起き、身を乗り出すような体制で座っている。
    「あ?…そう言うもんか…?」
    俊はせれるの勢いに押され困惑気味になる。と言うか、たこぱとはそこまで熱意を持つべき物なのだろうか?
    「でもお前、ここにたこ焼き器ねえだろ」
    事務所の奥、来客時にコーヒーを入れたりするのに使い慣れたキッチンを指さし指摘する。
    「フフフ。こんな事もあろうかと…」
    含み笑いをしながらせれるは奥の居住スペースである自室へと引っ込む。ほどなくしてそこそこ大きなダンボール箱を抱えて戻って来た。
    「実は買って置いたんだよね!Amazonで」
    ダンボール箱には「ホットプレート」と記されている。プレートを付け替えることでたこ焼き器としても使える仕様だ。
    「ってお前、思いつきで言ってたんじゃねえのかよ!」
    てっきりいつもの思いつきの発言のたこぱだと思っていた俊は予期せぬ計画性に思わずツッコむ。
    「えへ。実は2、3日前からやりたいな~と思ってたんだよね!その時勢いですぐたこ焼き器注文しちゃった!」
    「はぁ…」
    短絡的すぎるだろ、と呆れたが、まあその好奇心や行動力がせれるの長所でもあると言えなくも無い…と俊は批判的な言葉を飲み込む。
    「まあ別にたこ焼き焼くってのはいいけどよ。拒否る理由も無いしな」
    「やった〜〜!!じゃあさっそく今日はたこぱだね!!」
    「今日かよ!?」
    ここでやったら絶対事務所がたこ焼きの匂いになるだろ…と思ったが、今日は偶然金曜日だったのでまあ換気する猶予は十分か…と言うことで。
    「…まあいいか」
    俊も了承し、今日の業務終了後はせれると2人でたこ焼きパーティーが開催される事となった。


    「たこ焼きって何入れるのかな??」
    「お前知らないで作るとか言ってたのかよ…」
    業務終了時間を過ぎ、2人は近所のスーパーへ食材を買いに来ていた。
    本当は買い物なんて1人で行けば良いと俊は思ったが、パーティーはもう始まっているんだよ!というせれるの強い主張により結局引きずられるように連れて来られた。
    「たこ焼きは俺も作った事ねえし知らねえけど…まあたこ焼き粉とネギと紅しょうがと…天かすとかは使うんじゃねえか?」
    「なるほど!さすがシュン!!お料理に詳しい!!」
    そう俊を褒めると、まずは粉だ~!と何処にあるのかも分からないたこ焼き粉を探しに勝手に歩みを進めていく。
    「あ、待て!ちゃんとレシピ調べてから…っつーか粉類がある棚はそっちじゃねえよ!!」
    せれると違って自炊に慣れている俊はスーパーの配置もある程度把握している。結果的にコイツ1人で買い出しに行かせなくて正解ではあったな…と思いながら俊ははしゃぐせれるを捕まえに行った。

    「たこ焼き粉、ネギ、卵…うん、生地に使う物は揃ったね!あとは具かな!」
    せれるはカートに入れた食材と俊が共有してくれたレシピを見比べ確認する。
    「そうだな。…あ、たこ焼きソースも入れとくか」
    俊は通りすがりに目に止まったたこ焼きソースに手を伸ばす。
    「調味料くらいはうちにもあったよ?」
    「あれは中濃ソースだろ?」
    「んえ?ダメなの?」
    「ダメじゃねえけど、こう言うのはそれ用のやつ使った方が美味いんだと」
    俊は白蛇会のメンバーがたこぱをしたと話していた時のことを思い返した。やっぱり粉もソースもケチらない方が良いですね!味が全然違うんスよ!なんて熱く語っていた。当時は聞き流していたが今となっては良い情報かもしれない。
    「さっすがシュン!!詳しい〜!!」
    せれるは大げさに感動した様子で俊を褒め、甘える様に俊の腕に抱きつく。
    「引っ付くな!!カート押しづらいだろうが!!」
    毎度の事ながらいちいち距離が近いせれるに抗議する俊だが、なるべく人目を引かないようその抵抗はささやかなものに留める。俊は気付いていないかもしれないが、2人がそんなやり取りをしている時は大抵通行人の2.3人は振り返っているし、女性は思わずSNSに呟いたりしている。
    「っつーか俺も白蛇会のやつの受け売りでしかねえぞ…んで、具はどうすんだよ?普通にタコだけで満足って訳じゃねえんだろ」
    「やっぱりせっかく作るんだから色んな具で試してみたいよね!!タコはもちろん入れるとして…あとはソーセージと~チーズと〜キムチと~…あ、甘いヤツも良いなあ」
    「デザート系なら生地もホットケーキミックスとか買っとくか」
    「いいね!たくさん作って無限に食べよう!!」
    「お前の場合マジで無限に食いそうで怖ぇよ」


    ひと通り買い物を終え、2人は事務所兼せれるの自宅へと戻って来た。
    「いや〜たくさん買っちゃったねえ!」
    せれるはそれなりの重さのある買い物袋をがさりとテーブルに置いた。
    「だな。とても2人分の量には見えねえよ」
    俊はふ、と小さく口角を上げる。手に持った買い物袋はそのままキッチンへと持っていき、冷蔵のものは冷蔵庫の中へとしまっていく。
    手際良く食材の準備をする俊を見習って、せれるも1度テーブルに置いた買い物袋をキッチンまで持って行き、指示を仰いだ。
    俊はせれるの袋も受け取り、整理していく。
    「じゃあまずは生地作りだな。包丁使うもんは俺がやっとくから、お前は粉を混ぜといてくれ」
    そう言ってボールと泡立て器とたこ焼き粉の袋を渡す。
    「りょーかい!」
    せれるは元気良く返事をすると、受け取った粉の袋に書いてある作り方を確認する。
    俊は慣れた手つきで食材を切っていく。その横をせれるが卵を取りに来たり水を汲みに来たりしていた。
    「あ、ダマにならねぇように水は少しずつ入れろよ」
    俊は手を止め振り返りせれるにアドバイスする。
    その瞬間、ちょうどせれるは汲んで来た水をざばっとボールへ全てぶち込んでいた。
    「んえ?」
    「……ダマにならねぇように頑張って混ぜろよ」
    アドバイスの方向性を変え、俊は自分の作業へと戻った。
    せれるはおっけー任せて!と景気良く応えて頑張って混ぜているようだ。

    「よし。こんなもんだな」
    俊は生地に入れる食材、具に使う食材の準備を終えるとせれるの様子を見に行く。
    「こっちは準備終わったぞ。そっちはちゃんと混ざったか?」
    「うん!こっちもちょうどいい感じだよ~!」
    せれるはひと仕事終えた顔でボールを見せる。
    多少ダマは残っているが、まあこんなものだろうと言う程度だ。
    「よし。じゃあここに刻んだネギと紅しょうがを入れて…お前はたこ焼き器の準備しといてくれ」
    「あいあい!」
    テーブルにたこ焼き器を出し、具に使う食材たちを並べ、生地の入ったボールを置く。取り皿やらソースやらも準備すればテーブルの上はいっぱいになった。

    たこ焼き器のスイッチを入れて、温まったところで油を塗っていく。
    「じゃあ生地入れてくぞ」
    俊は抱えたボールから生地を掬ってプレートへ流し込む。
    「この列はタコ入れて〜こっちの列はソーセージ入れて〜こっち側はチーズもかけとこう!」
    せれるは迷いながら具をあれこれ入れていく。今回用意したのはタコ、チーズ、ソーセージ、キムチ、ツナマヨ、明太子。
    せれるが具を入れ終わると俊は揚げ玉を全体にかける。
    たっぷりの具や生地ですっかり見えなくなった窪みの境目を探すように竹串で生地を切り分けていく。
    「結構すぐ焼けるもんだな。この辺とかもうひっくり返せそうだぞ」
    そう言って俊はくるりと生地を掬うようにひっくり返す。きつね色の生地が丸く焼き上がっている。
    「わぁ!すごい!丸くなった!!」
    せれるは大げさなほど楽しそうにその様子を見ると、僕も僕も!と竹串で生地をつついた。
    「あれ〜?全然丸まらない…」
    「ん?…ああ、火加減にムラがあるみたいだな。こっち側ひっくり返してみろよ」
    俊はせれるの様子と生地の加減を見ると、自分の近くの辺りを指した。
    せれるはしょぼんとした様子で、言われるがまま俊の近くの生地に手を伸ばした。
    「あ!丸くなった!!」
    「だろ。こう言うのは上手い下手じゃねえんだよ」
    「えへへ。シュンはやっぱり優しい~!」
    せれるは嬉しそうに笑う。
    そんなせれるを見て俊は、そんなに上手くひっくり返せたのが嬉しいのか…なんて考えている。
    「こっちと場所入れ替えるか?」
    「ううん!こっち側も真ん丸なたこ焼きに育てて見せるよ!!」
    「おう、頑張れよ」

    部分的に苦戦しつつも、ひと通り焼き上がったたこ焼きはなんだかんだでみんな丸く焼き上がり美味しそうな出来栄えだ。
    それぞれ取り皿に乗せソースやマヨネーズ、かつお節に青のりをかける。
    「わぁ〜美味しそう!いただきまーす!」
    「いただきます」
    俊は行儀良く手を合わせていただきますをし、せれるは何枚かスマホで写真を撮った後箸を持つ。
    「熱そう」
    せれるは冷まそうとフーフーすると、上にかけた青のりやかつお節がフワリとテーブルの上を舞う。
    「あっバカ散らかすな」
    と俊は注意するが、せれるはフワフワと空中を舞うかつお節たちに謎にウケている。
    俊はたこ焼きを半分に割って冷まし、頃合いかというところで口へ運ぶ。まだ少し熱いのか、はふはふと口から湯気を吐きながらゆっくり咀嚼する。
    「…ん、美味いな」
    「うん!おいひーね!」
    せれるも熱そうにはふはふしながらも俊の方へ頷きながら目を輝かせている。
    「これは…ソーセージだな。変わり種だけどやっぱり美味いな」
    「はふはふ…こっちはね~明太子!」
    「明太子ってどうなんだ?」
    「火が通ってる明太子も美味しい!たこ焼きにも合う!」
    「こうなってくると逆に何なら合わないのか気になってくるな」
    「確かに…!?たこ焼きに入れたら合わなそうなもの…」
    「……海鮮系は割と何でも行けそうだよな…肉も合わねえ事ねえだろうし…」
    「野菜もキノコも合うもんね、お好み焼きだって割と何でも入れるし……まさかたこ焼き、万能説…!?」
    「なんだかとんでもねえ説が爆誕しちまったな…」

    焼いては食べてを何度か繰り返したところで、俊は箸を置いた。
    「は〜…俺はもう腹いっぱいだな」
    「え~?もう?」
    ボールにはたくさん用意して置いた生地がまだ残っている。
    「甘い方もやろうよ~!ホットケーキのやつ!」
    「あ~…」
    無限の胃袋を持つせれると違い、俊はもういいかな…という様子で気だるげに背もたれに寄りかかっている。
    俊のそんな様子を、せれるは少し残念そうにしながら笑って見る。
    「ホットケーキのやつはまた今度にしよっか!」
    「あー…悪いな」
    別に1人で食べても良いんだぞと言おうかと思ったが、さすがにもうせれるがやりたい"たこぱ"がそういう事ではないのだろうと理解した俊は謝罪の言葉だけ口にした。
    「いーよいーよ!残りの生地だけ一緒に焼こ!食べるのは僕に任せてね!」
    「おう。焼くだけでも結構楽しいもんだな」
    「だね!」
    2人笑い合って残りの生地も焼いていった。


    「ふい~。美味しかったね!」
    作ったたこ焼き全て平らげるとせれるは満足そうにしている。食べようと思えばまだまだ食べられるのだろうが、食べなくても満足出来ない訳ではないらしい。
    「んじゃ片付けるか」
    俊は取り皿や箸を集め流しへ運んだり、余った具にラップを掛けて冷蔵庫へ閉まったりしている。
    せれるにはウェットティッシュやら台拭きを渡し、青のりやらかつお節やら色々散らかったテーブルを拭くように指示する。
    ある程度時間も経ち熱くなくなったたこ焼き器のプレートを俊が外し、他の食器類と共に洗う。
    「たこ焼き器のこの辺とかも拭いとけよ」
    とプレートをはめる縁の部分やプレートの下に零れて固まった生地を指してせれるに伝える。
    「ふわ〜い」
    せれるはお腹が満たされて眠くなっているのか、気だるげな返事を返す。
    「たこぱは楽しいけど片付けがめんどくさいね〜」
    綺麗になったホットプレートを箱にしまって片付け終えると、ソファで寝転びながらせれるがこぼす。
    「ならもうやらねえか?」
    洗い物も終わり、食後のお茶をいれた俊がソファへ座る。
    「やる!!」
    俊が置いてくれたお茶にせれるは身体を起こしながら元気良く答える。
    俊は予想通りの答えに小さく笑った。
    「ま、こういうのはたまにやるから良いんだろ」
    「だね!またやろうね~!」
    2人は淹れたてのお茶をすすり、体の芯まで温まるのを感じた。
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