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    muyouto

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    muyouto

    ☆こそフォロ

    るすぱる自陣の二次創作
    ねぼすけ探偵を助手が起こすだけ

    #TRPG

    朝のるすぱる自陣「あいつ…また寝坊かよ」
    セレネル探偵事務所の入口ドアは、まだ昨夜戸締りした状態のまま鍵が掛かっている。
    現在時刻は業務開始30分ほど前。早めに出勤してくる俊のためにも、いつもならもう鍵は開いているはずの時間だ。
    俊は慣れた様子で合鍵を取り出しドアを開け、事務所へ入ると一直線に奥の居住スペースであるせれるの部屋の方へと向かった。

    扉の前へ立つとコンコン、とマナーとしてノックをする。
    「おい、朝だぞ。また寝坊か?」
    中から返事は無い。入るぞ、とひと声かけドアノブをひねる。
    俊が部屋の中へ入ると、ベッドの方からゴソゴソと衣擦れの音が聞こえて来る。
    「いつまで寝てんだ。もうすぐ事務所開けんぞ」
    「んん〜~……」
    俊の気配で目を覚ましたらしいせれるは寝返りをうちながら返事とも取れない呻き声をもらしている。
    俊は扉の前からベッドの方へと近付くと改めて声をかける。
    「おい!起きろっつってんだろ!」
    せれるはうっすらと目を開け俊を見ると、うーんとまたひとつ呻きそのまま目を閉じる。これは二度寝に入る体制だ。
    「早く起きねえと身支度する時間無くなるぞ」
    「うん~…」
    せれるは睡眠欲と戦っているようだが負け続けているようで、時々身体を起こそうと身動ぎしては力尽きている。
    「なんで時々物凄く寝起き悪いんだよ…依頼がある時はちゃんと起きれてるだろ」
    今日は特に依頼が入っておらず暇な為、寝坊しても困らないという甘えがありそうだなと睨む。
    「これから依頼に来ようとしてる人が居たら困るだろうが!さっさと起きて仕事しろ!」
    「んあ〜~」
    せれるは何とか上体を起こす。やっと起きたかと安堵しかけるが、せれるはそのまま目を閉じ再びベッドへ身体を沈めた。
    「コイツ…」
    掛け布団に頭を半分埋めて眠るせれるに俊はいよいよ青筋を立て始める。
    「オラ!いい加減起きろ!!」
    手を伸ばし掛け布団を引き剥がした。
    布団が奪われたせれるはいつもの見慣れた私服とは違うルームウェアで身動ぎし丸くなっている。
    ボーダーの長ズボンに、ポメラニアンの絵が描いてあるプルオーバー。どちらもパステルカラーでフワフワな素材だ。整えられていない髪の毛が顔にかかっていて邪魔そうに見える。
    俊はフワフワなせれるの肩に片手を乗せて軽く揺すった。
    「おい!さっさと着替えねえとその格好で依頼人の対応させんぞ!」
    脅しのつもりで言ってはみたが、せれるだったら平気で部屋着のまま依頼人の前に出れそうだなとも思った。
    目を覚ましてはいるものの起き上がる気が無いのか、せれるは時々うっすら目を開けて俊を見てはまた目を閉じてを繰り返し、たまに唸り声をもらしている。
    「う〜ん……んふふ、ふふ」
    「何笑ってんだお前…事務所開ける気ねぇのかよ」
    「んん~……あける……」
    「ならさっさと起きろ」
    「…う〜ん……」
    せれるは寝転がったまま片腕を俊の方へ伸ばす。引き起こしてくれとでも言いたげだ。
    しかしそこまで甘やかす気もない俊はせれるの様子を見ると呆れて部屋を出て行ってしまった。


    あと5分経ったら…今度こそ起きよう…あと少しだけ…目を瞑ってるだけ…
    せれるは取り戻した掛け布団に改めて埋もれながら暫し微睡んでいた。
    しかし意識を現実に引き戻す、自分好みの香りが鼻腔をくすぐる。
    「コーヒーの匂い…」
    せれるが覚醒するのと同時に、ドアがノックされた。
    「おい、コーヒー飲むだろ」
    俊が扉から顔を出し声をかける。
    「…のむ~…」
    せれるの返答を聞くと、俊はそのまま部屋を後にする。
    「んああ〜~~」
    気の抜けた掛け声と共にせれるは何とか身体を起こし、ついにベッドから脱出した。

    ガチャリ…と控えめにドアが開けられる音が事務所に響く。自室から満を持して姿を現した部屋着姿のせれるの様子は何だかぽやぽやとしていて、いつもパッチリ開かれている目は半分程しか開いていない。寝癖のついた後頭部の毛束は明後日の方を向いているし、前髪は相変わらず邪魔そうに顔にかかっている。
    「コーヒーのむ…」
    寝起きで掠れ気味の声で呟きながらテーブルの方へ向かってくるフワフワな部屋着姿に、なぜ家の中でまでわざわざ可愛い服を着てるんだろうかと俊は頭の片隅で疑問に思った。
    「ほら、さっさと飲んで目ぇ覚ませ」
    覚束無い足取りのせれるに気を取られつつも俊はテーブルへ2人分のマグカップを置いた。片方はブラック、せれるへ差し出した方はミルクと砂糖が2つ入れてある。
    俊はソファへ座るとマグカップを口元へ運ぶ。コーヒーを味わい顔を上げると、同じくソファへ辿り着いたせれるがマグカップに口を付けようとしていた。前髪がコーヒーに浸からないか心配でその様子をつい見守ってしまう。
    「ぷぁ〜…おいしい」
    せれるが顔を上げる。前髪の無事を見届けた俊は視線を時計へと移した。
    「あと15分で事務所開けるぞ」
    のんびりコーヒーを飲んでいたせれるもようやく頭が起きたようで、時計を見ると目を丸くした。
    「たいへん!!もうこんな時間だ!!!」
    と言うと今頃になってバタバタと慌てて部屋へ戻って身支度を始めた。
    扉の奥から「も~!ちゃんと起こしてよ~~!!」だの「僕の靴下片っぽ知らない!?」だの騒々しい声が聞こえて来る。
    俊はため息をコーヒーで飲み込むと、一足早く業務を開始する事にした。
    今日もセレネル探偵事務所の1日が始まる。
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