そして二人の夜は明ける アシュラマンの眠りを妨げたのは、何やら長々と続く話し声だった。
誰の、かは分かっている。自分でないなら答えは一つだ。この部屋にはアシュラマンともう一人、相棒のサンシャインしかいないのだから。
そうなると湧き上がってくるのが、ほんのささやかな好奇心である。寝ぼけた状態ですることなど、おおよそ愉快であるに決まっているのだ。その内容によっては、眠りを妨げたことに対する罪を帳消しにしてもいい。
実に魔界の王族らしい理由で、未だに続く話し声へ耳を傾ける。起き抜けのはっきりしない頭でも、それが誰かへの語り掛けだろうということだけは分かった。二人きりの部屋で一体誰にという疑問を抱く前に、もう一つ信じがたい事に気づく。
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