桜遥が棪堂哉真斗に堕ちるまで - Day14 - ~ 2 weeks love progress ~下記のストーリーを埋めていく予定です。
※更新頻度とは連動していません
■ 1日目 来訪 ※公開済み
■ 2日目 烹炊 ※公開済み
■ 3日目 接吻 ※公開済み
■ 4日目 呼名 ※公開済み
■ 5日目 寝顔 ※公開済み
■ 6日目 逢瀬 ※公開済み
■ 7日目 未足 ※公開済み
■ 8-10日目 空白 ※公開済み
■ 11日目 残声 ※公開済み
■ 12日目 悋気 ※公開済み
■ 13日目 初夜 ※公開済み
■ 14日目 後朝 ※この話
■ 14日目 後朝
キラキラと光る陽光の中で目が覚めて、瞼を開ければ目の前に棪堂の顔が有って、棪堂は真っ直ぐな眼差しで桜を見詰めていた。
その眼差しはひたすらに甘くて熱くて蕩けそうで、見詰められているだけで桜の頬は熱くなる。
ちゅっちゅと触れるだけのキスをたくさん降らせながら、棪堂は大切に愛しそうに、桜の身体を撫でさすっていた。
「で、オレはどんなスタンスでいればいいんだ?」
棪堂の体温を心地良く感じていたところ、不意に投げられた問い掛けに桜はすぐに反応出来なかった。
「す、すたんす……?」
言葉の意味すらも解らずに棪堂を見上げれば、ずっと桜の瞳を見ていたらしいその顔が、ふにゃりと柔らかく笑み崩れた。
「えぇと、遥の彼氏ヅラしていいのか、『一度やったぐらいで彼氏ヅラしてんじゃねぇ』って思われてると考えるべきか……」
そうしてとんでもないことを言う。
「はっ?えっ、はぁ!?」
棪堂にとって、桜はどんな人間だと思われているのか。
それとも棪堂は、付き合っていない人間とでもセックス出来るのだろうか。
どちらにしろ不本意で、桜はムッと唇を尖らせる。
「つ、付き合ってもいねぇやつと、こんなことしねぇよ!」
投げ捨てるような桜の言葉に、棪堂の表情がぱぁっと明るくなった。
「ってことは、オレは遥の彼氏ヅラしていいの?」
『彼氏ヅラ』って何だよ、と思いながらも、桜の彼氏だと自覚した棪堂の、自重の無いアピールを想像し、釘を刺すことも忘れない。
「ふ、ふたりきりの時だけな……」
「……! あ、あぁ! もちろん!」
意外な返答が返って来たとでもいうように、一瞬びっくりしたような表情を経由してから、棪堂はニコニコの笑顔になった。
彼氏ということは、恋人同士ということでいいのだろうか。
そういった世事に疎い桜は、そもそも棪堂に恋人はいなかったのか?と、今さらながらの疑問が湧き上がって来た。
「お、お前は、こ、恋人とか居なかったのかよ……」
なんだか色んな順番をすっ飛ばしてしまったせいで、もし『いる』と言われた時に、どうすればいいのかまで頭が回らない。
「いないいない! いたら遥に手ぇ出さねぇよ」
その言葉を聞いて、桜は内心ほっと胸を撫で下ろした。
「意外とちゃんとしてんだな」
ホッとしたせいか桜の本音が無意識に口を衝くと、棪堂は困ったように眉を寄せた。
「遥ん中で、オレってどんな存在なんだよ……」
「そういう奴……?」
桜が笑いながら言えば、棪堂は困った顔のまま桜の首筋に額を捩じ込んでぐりぐりと擦り付けた。
「また明日からも、来ていい?」
顔が見えない状態で、初めて聞いた甘えたような棪堂の声。
「す、好きにすればいいだろ……。こ、恋人なんだから……」
勇気を振り絞って返した言葉は非常に小さな声になってしまったけれど、棪堂はちゃんと聞いていてくれたようで、デロデロに緩んだ表情を見せて桜を抱き締めた。
◆14日目 終了◆