その手はどこでも繋いだままでピピピ、ピピピ、と聴き慣れた電子音にデュースのぼんやりとした意識が浮上していく。今日は部活だっけ、それともフラミンゴやハリネズミ達の当番の日だっけ。
(寝起きは良い方なのに今日はダルいなぁ…)
そんなことを考えながらデュースはベッドのシーツから腕を伸ばし、手探りで枕元のスマホを探る。シーツが重い。
ピピピ、ピッ。とアラームは途中で途切れ、デュースはあれ? と思う。デュースの手はまだスマホへと届いておらず、シーツの表面をパタパタと滑っていた。
「サバちゃん寝ぼけてんの?」
「ふあ…⁉ リ、リーチ先輩…ッ⁉」
頭上から降ってきた声にデュースは思わず飛び起きた。別の寮生である声の主がデュースのベッドまで来ることなどないからだ。ガバリと起き上がったものの、腰に走った鈍い痛みに思わず小さなうめき声が出る。
「うぅっ……って、あれ、何で先輩が…?」
「マジで寝ぼけてんのウケる〜、この時間には起きなきゃってあんだけ言ってたのに」
ケラケラと先輩────フロイド・リーチに笑われ、デュースは回らない頭で考える。見下ろしたベッドはハーツラビュル寮の自分のベッドではない。かと言ってベッド脇から自分を見下ろすフロイドの所属するオクタヴィネル寮のベッドでもない。周りを見回してもシンプルな内装にこじんまりとした部屋。まるでビジネスホテルのような。そこまで考えてデュースは「あ、」と声を上げた。
『デート行こ』
とデュースがフロイドから誘いを受けたのは一ヶ月ほど前、フロイド(とジェイド)の自室で勉強を教わっている時だ。ウィンターホリデーに入るより前、肌寒さが日々加速していく頃だった。二人は所謂恋人同士というやつで、学生らしく授業や部活の合間を縫ってささやかな逢瀬で愛を育んで……というのはある意味正しいのだが、年相応の性への興味と人魚の旺盛な繁殖欲求が重なった結果、ステップアップは非常に早かったということは付け加えておく。
まぁそんな二人は連れ立って遊びに出掛けたり週末を共に過ごすことも多かった。それが改まってデートのお誘い。最初にそう告げられたデュースはキョトンとしながら『どこですか?』と聞き返した。
『もうすぐウィンターホリデーじゃん? だからいつもよりもっと遠いところにデートしに行きたいんだけど』
『遠いところ…』
『そ。でさ、ここ行こーよ』
デュースの勉強を見ながらポチポチとスマホを弄っていたフロイドは、そう言いながらデュースの方へとその画面を向ける。それはデュースの出身国にもある有名なテーマパークだった。2つのパークが隣接する形になっており、周辺にはホテルも多い。最近は少々チケットが取りにくいことでも有名だ。勿論デュースも行きたい。ずっとずっと昔に母に手を引かれて行った記憶が微かにあるくらいで、ヤンチャしていた頃には誘ったり誘われたりする相手もいなかった。
反射的に『行きます!』と言いかけたデュースだったが、直前で踏み留まる。行きたいのだが、生憎デュースには先立つものが乏しい。チケット自体も学生にはなかなか高額だし、園内に入ってからも飲食やお土産を考えれば多めに持っていきたい。交通費まで考えると胃がキリキリする。視線を左右に動かしながら何やら難しい顔をするデュースにフロイドは『別にお金の心配しなくていーけど。全部オレが出すし』と言い放つ。そんな訳にはいかない。デートに行くのに恋人に全部負担して貰うなんてさすがのデュースでも気が引けた。そう伝えればフロイドはちょっと不満そうに唇を突き出したが、ちょっと考えてからこう切り出した。
『えーじゃあさ、アズールに相談してラウンジのシフトがっつり入れる? ラストまで週5くらいで入れば今からでもそこそこ稼げると思うよ〜? 給料も即日払いですぐ貰ってさ』
本来はそこまで勝手に好き勝手組めるシフト事情でもないし、給料日も毎月一回の固定が基本なのだが、フロイドと交際を始めたデュースに対してアズールは随分と寛容で甘くなった。まだまだ品定めをしている様子ではあるが、若干の身内扱いとでもいうのだろうか。金欠のデュースの為にシフトを組んでくれることも度々あった。非常に魅力的ではある。ラストまで入っても寮の消灯時間には間に合うし、週5ともなればそれなりの金額を稼ぐこともできる。
『勉強だって課題も復習も予習もぜーんぶオレが見てあげるし。ま、バイトのし過ぎで授業ついてけないとか話になんねーから』
先程から全く進んでいないデュースの課題のノートを覗き込み、フロイドは『ここ数値が間違ってんだけど』と指で2箇所を指し示した。慌てて確認するデュースの耳にフロイドは内緒話でもするように吹き込む。
『バイトでも勉強でもいいから、オレにもっとサバちゃんと一緒にいる時間ちょーだい』
ひゃあ、とデュースの口から悲鳴があがった。ズルいと思う。一個年上のこの恋人は、変に甘え上手なのだ。顔がじわじわと赤くなるのを感じながら、デュースは何度もこくこくと頷いた。
行くにしても遠方、せっかく行くのだから前の日に一泊して当日の朝はゆっくりできるようにしよう。疲れるだろうから翌日とその次は空けといてどっかでのんびりしよう。フロイドのスパルタ勉強会のお陰でホリデー中の課題は少なく済んだし、ガッツリ組まれたラウンジのシフトにより恋人との二・三日の宿泊旅行に耐えられるだけの賃金をデュースは手に入れた。
ホリデーに入りデュースは帰省、フロイドは学園に残ることになっており、『じゃ、連絡してね』と言うフロイドに手を振り別れたのは数日前。約束の日まで毎日そわそわと過ごし、その日はあっという間にやってきた。冬場でちょっと質の悪いウイルス性の風邪が流行り始めており、二人はしっかりマスクをしている。デュースの家の最寄り駅までやって来たフロイドと落ち合って、電車を乗り継ぎ、バスにも乗って、昨日二人はテーマパークの外までやって来ていた。駅を降りて少し歩けば遠くに片方のパークのシンボルである城が見える。やや夕方にも差し掛かろうという時間だというのに駅とパーク間の人の往来は多い。パークの外だというのにキャラクターの耳がついたカチューシャや帽子を被っている人もかなり見掛け、デュースはわくわくとした気持ちでそれを見ていた。ちょっと近づいてみよっか、というフロイドに腰に手を添えられ駅を出て右手に向かえばグッズショップがあった。
お土産を買うにはまだ早いがデュースがあまりに気にするのでするりと入店する。デュースもフロイドも普段そこまでそのテーマパークのキャラやグッズに興味があるわけではないが、こうして店内が丸ごと一色それに染まっているのを見ると楽しくなってきた。店内もそこそこ混んでおり、大荷物や買い物カゴを手にした客とぶつかりそうになる。それとなくデュースの腰や肩に手を回しそれを回避させるのはフロイドの仕事だった。店内をぐるぐると回り、カチューシャが沢山掛けられた棚の前でデュースは随分と悩んだ。悩みに悩んで『とりあえず明日で良くね?』というフロイドに促されて退店した。
さらに道を進むとテーマパークの入場口が見え始めた。今はすっかり列が捌けているが毎朝かなり長い列ができるというのを前情報で教わった。そして残念だが明日入るのはこちらのパークではない。ゲートの向こうに城が見える。天気もよくやや日の翳り始めた薄橙の空に白い外壁の城は非常に映える。小さい頃にデュースが母と来たのはこちらのパークだ。記憶の中に父親の影は出てこないが、楽しそうに笑う母と白いお城は印象的だった。今度泊まろうね、なんてすぐ向かいにあるホテルを見上げてフロイドが言う。宿を探すに当たり勿論併設のホテル料金もチラリと検索したのだが、とてもじゃないが泊まれる金額ではなかった。今日は近場のビジネスホテルだ。
駅へと戻り今度は反対側へと向かうと、パークをぐるりと囲むモノレール乗り場、そしてその奥には複合施設のショッピングモールが見えてきた。ホテルのチェックインまでここで少し時間を潰し、ついでに夕飯を食べることにしている。地元でもあまり見ない大型のショッピングモールにデュースはかなり興奮していて、フロイドもあまり見ないファッション系のショップにテンションがあがっているようだった。映画館もあったが残念ながらが二人の琴線に触れるような作品は上映しておらず、それでもアチコチのショップを回っていると時間はあっという間に過ぎてしまった。
フロイドが『おもしれーレストランがあるってカニちゃんが言ってたんだけどぉ』とデュースを連れてきたのはジャングルをモチーフにしたレストランだった。そういえばカニちゃんことエースは、自分よりもこのテーマパーク寄りの場所に住んでいたのをデュースは思い出した。何度か行ったことがある、と聞いていたので成程と思う。お調子者だがフロイドに変な情報を掴ませるほどの度胸はないだろうから間違いはないだろう。
グッズショップの入口でレストランの受付をすると、階段を降りた下へと案内される。ショップの内装もかなり拘っていたが、レストランの方もかなり本格的だ。入り口には大きな円柱型の水槽にカラフルな魚が泳ぎ、ジャングルを模した木や蔦が至るところに配置され、なにやら猿や象の大きな模型もある。二人が案内された席は象の前だった。
『小さい頃に動物園で見たっきりですけど、近くで見るとけっこう怖いですね』
『オレそもそも本物見たことねー。今度は動物園一緒に行こっか』
やたらリアルなこの象が動き出すのは数分後で、驚いたデュースが悲鳴をあげるのも数分後だ。ちょっとリッチな夕飯ではあったが、モタモタしているデュースを置いて席を立ったフロイドがさっさと会計を済ませてしまったので、暫くフロイドの横でデュースは頬を膨らませていた。
すっかり夜になり建物の最上階に向かうと屋根が無い造りで、ライトアップや電飾で飾り付けがされており、ちょっとロマンチックでデートを楽しむカップルも多かった。そして二人は熱い視線を向けられていた。黙っていれば二人共かなり整った顔立ちをしている。フロイドは垂れ目の優しげな雰囲気(口を開かない態度に出さない前提)に高身長にスラリとした体型、デュースも身長は人並み程度だが一年生の美形ランキング(非公式非公認上級生調べ)のトップ争いに名を連ねている。そんな二人が連れ立って歩いているのだ。このテーマパークは女性利用客も多く、女性だけのグループで来る人も多い。声を掛けるか迷っている様子の女性もちらほら見受けられるが、二人が仲良く手を繋いでいるのを見て次々と撃沈した。
いくつかのショッピングバッグを手にそのショッピングモール後にすると、歩いて少しのところにあるビジネスホテルにチェックインした。なんだかんだと半日ほど歩き回り、そもそもテーマパークまで来るのに長距離移動もあったので、疲れた体を休めるために浴槽に湯を張り、ビジネスホテル特有のちょっと狭いそこへ一緒に入り、戯れるように体を洗い合い、なんだかお互いにちょっとそんな気分になって。
「思い出した?」
「………思い出しました」
なんなら腰の痛みの原因まで思い出してデュースは赤面した。見下ろす体ははだけたバスローブに噛み跡やら鬱血やら。乱れた記憶の片隅に見えた時計の表示は日付が変わっていた。今の時刻は6時、寝不足とまではいかないが十分に睡眠がとれたかは怪しい。それでも開園前には列に並んでおきたいので、デュースはのろのろとベッドから脚を下ろすと「ちょっとシャワー浴びてきます」とシャワールームへと消えていった。
遠くでシャワーの音を聞きながらフロイドはテレビの電源をつけた。リモコンでチャンネルを変えていくと天気予報を放送している番組が見つかった。今日の天気は一日晴れ。午後からは多少の風がでる予報で、乾燥注意報が出ている。スマホでテーマパークの専用アプリを弄りながら、フロイドは朝から上機嫌だった。
身支度を整えてデュースとフロイドはホテルを後にした。デュースの腰はしくしくと痛むがシャワーで身体が温まると少し楽になったように思える。7時前にはチェックアウトを済ませ、二人は前日のショッピングモールの近くまで戻ってきた。昨日は横切るだけだったモノレール乗り場が目的地だ。駅からは電車が到着するたびに沢山の人が流れ出てくる。今日の開演時間は9時からだが、人気のアトラクションや園内限定のグッズを求め既にゲートには列が出来始めているだろう。
券売機でチケットを購入してエスカレーターを昇り、乗り場の列でモノレールを待つ。デュースは乗車券を嬉しそうに眺めている。今日の日付にテーマパークのメインキャラクターが印刷された乗車券は、デュースの心をくすぐった。一日の始まり、最初に手にしたテーマパークのカケラだ。2つのパークをぐるりと囲むように走るモノレールはすぐにやって来た。席に座ることも出来たが窓からの景色を眺めたいというデュースの提案で二人は吊り革へと手を伸ばす。
「僕モノレールっていうの初めて乗るんですけど、電車と違ってけっこう静かなんですね。それに振動も殆どない」
「オレも初めて。つーか電車もバスも滅多に乗らねーからめっちゃ新鮮」
「海の中には電車もバスも無いですもんね」
「泳いだほうが速いし」
動き出したモノレールは緩やかに駅を出発する。女性客が割合多く見られるが、カップルであったり男子学生と思われるグループがまとまっていたりと意外と男性も乗っていた。カバンやトートなどにキャラクターのキーホルダーやぬいぐるみを下げている人が多い。斜め前で楽しそうにお喋りしている女の子たちはモコモコとした薄茶色のパーカーのようなものを着ている。確か今日これから向かう方のパークでは、くまのぬいぐるみキャラクターがとても人気らしい。
思わずデュースが自分の服装へと目を落とすも、浮かれたい気持ちとはと裏腹に当たり障りのないシャツとニットベスト、パンツにコートだ。フロイドだってゆるめのパーカーにロングのダッフルコート、ゴツめのスニーカーは意外とバランスが良くて長身に映える…、そこまで考えてデュースは頭をブンブンと横に振った。そうじゃないだろう。
モノレールはたまに左へとカーブを描き、ホテル前の駅に停まると乗客がどんどん乗り込んでくる。ちょっと混み始めた車内だが、もっとこっちに寄ってとフロイドに肩を抱き寄せられてデュースの頭はそれどころではない。
窓の外には隣接しているテーマパークの入場ゲートが見えた。まだ疎らではあるが既に待機列が形成され始めている。ゲートの向こうには建物、その向こうにはアトラクションと思しきものもあり、そしてパークの中心にはシンボル城が朝の光の中でキラキラと輝いていた。それを見ると『来たんだなぁ』としみじみと思ってしまう。デュースの小さい頃の記憶ではもっと大きなお城だった。テーマパークはどこまでも広く続いているようなふわふわとした記憶しかない。風船、ポップコーン、夜に見たピカピカのパレード。
「いつかこっちにも来たいですね」
「なぁに、デートのお誘いとかしちゃうわけ? 積極的じゃん」
「えっ⁉ 別にそんなつもりで言ったわけじゃ…!」
「違うの?」
「……あー…、デートはしたい、です」
そうデュースが言って見上げれば、フロイドは満足そうに「オレも」と返す。母と来たときの思い出はぼんやりで、それに身長が足りなくて乗れなかった乗り物だってたくさんある。今度は恋人と。
電車は海の近くを通り、今度は火山のような山が見えてくる。高い建物や船、それらの裏をぐるりと回りモノレールは駅へと滑り込んだ。乗客の殆どはこの駅で降りる。ドアが開くとフロイドはデュースの手を引き、人の波に呑まれないようにとそばを歩かせる。なんだかちょっと恋人っぽいな、とデュースはちょっと頬を染めた。駅から出るとそのまま人の流れに沿ってゲート方面へと向かう。海が近いせいか少し風がありデュースはコートの前を合わせて少し首を竦めた。
「先輩は寒くないんですか」
「んー、まぁちょっと寒いけど凍えるほどじゃねーかなぁ」
そう言ってデュースと繋いでいる手の親指でデュースの手の甲を撫でる。お互いに指先は少し冷えているが手のひらはフロイドの方が温かい。入園に不要な荷物はまとめて外のロッカーへと預け、二人は入場待機列の最後尾につく。ちょっと寒そうに指先をさするデュースに、フロイドはおもむろに繋いでいたデュースの手を自分の上着のポケットに引き込んだ。
「えっ! な、何です……って、あれ、暖かい。これカイロっすか?」
「そ。朝ホテル出る時に開けてきたの。朝晩は冷えるからこういうのあったほうがいいって」
デュースの手にカイロを握らせ、ポケットから追い出す。デュースは渡されたカイロを頬や耳に当てて幸せそうにへにゃりと笑った。それを見てフロイドは『可愛いなぁ』と思う。歳の差はたった一歳。あのNRCの在学生とは思えないほど単純で純粋で、ちょっとバカで正義感は強い。普通そんな奴はフロイドにとってイライラするだけな筈なのに、これがデュースであれば全部『可愛い』『オレが面倒見てあげなきゃ』『守ってあげたい』に変換されてしまうのだから不思議なものである。
「先輩の耳、めっちゃ冷てぇ」
暖まった両手を伸ばしてフロイドの両耳を塞ぎ、デュースは笑った。フロイドの死因:恋人の笑顔による心臓発作。開園までの1時間半、二人はイチャイチャしながらくっついていた。
9時。今日のパークの開園時間だ。そうは言ってもすぐに列が動き出すわけではない。入園前に不審な持ち込みが無いか荷物検査でカバンの中身を確認され、金属探知機のゲートを潜らなくてはいけない。二人の荷物はそれぞれボディバッグくらいなので、順番が回ってくればすぐに通過できた。
「はい、じゃーチケット送ったから」
「ありがとうございます」
チケットは事前にフロイドが購入してくれていた。人数制限でかなり倍率が高くなっている時期で、それでもなんでもないように『チケットとれた』と言われた時にはデュースはかなり驚いた。チケット代を受け取ろうとしないフロイドにどう代金を握らせようかと随分と頭を悩ませたのだが、一晩身体を好きにしても良い権利でチャラということになりデュースは死にかけ、今ではなかなか良い思い出であった。
メッセージアプリで送られてきたオンラインチケットを登録し、デュースはスマホに表示されたQRコードを入場ゲート横の読み込み画面に向ける。緑の光が灯ってキャストのお姉さんに「いってらっしゃい!」と声を掛けられ、デュースは元気に「いってきます!」と律儀に返事をして回転バーを押して進む。
先に通り抜けたフロイドはスマホをポチポチと弄っていたが、デュースが駆け寄ればニコニコ笑って「アレ」と言ってある方向を指差した。その方向を見てデュースの顔がパッと明るくなる。大きな噴水の中心で、巨大な地球儀がゆっくりと回っている。朝の陽光の中でキラキラと輝いて、ネットやSNSで何度も見たことがあるはずなのにデュースは初めて見たくらいの衝撃を受けた。
「すごい、こんな大きな地球儀初めて見ました!」
「そりゃあそうだろねぇ」
「写真撮りましょうよ先輩!」
そう言ってパタパタと小走りで地球儀に近寄るデュースは小さい子供のようだ。地球儀を見上げながら感動したようにスマホのシャッターを切るデュースの後ろ姿をフロイドも撮影する。入場ゲートからはどんどん人が入ってきて、殆どは早足でアトラクションへと向かう。おかげで地球儀の周りはそこまでの混雑がない。
「サバちゃん一緒に写真撮ろーよ」
二人は並んで地球儀の前に立ち、スマホのインカメでパシャリと一枚シャッターを切る。頬がつくほどピタリと寄り添い、有名テーマパークの地球儀前で撮った写真は実にリア充だ。デュースの顔は若干固いがフロイドは満足そうだ。その場ですぐにマジカメを開いて早速投稿する。あまり更新頻度の高くなかったフロイドのマジカメは、最近はもっぱら恋人の惚気アカウントと化していたりした。
「じゃ、行こっか」
「うっす! あ、先輩あの街灯の飾り、星送りの願い星みたいですよ!」
そう言って今度はその街灯に走り寄るデュース、フロイドは『稚魚じゃん。まー可愛いけど』と思いながら追い掛けるのだった。
石造りの大きな入り口へと皆吸い込まれていく。その流れに乗って二人も中へと入った。左右にはショップが並び、ショーウィンドウにはシーズンのグッズや大きなキャラクターのフィギュアが飾られている。綺麗に照明で照らされたそれらにも写真を撮ろうとする人々が集まっていた。デュースは歩きながら口を開けてホワッとした顔でショーウィンドウを眺めている。フロイドが手を繋いで引っ張っていないとすぐにそちらへ行ってしまいそうだ。
建物を抜けると一気に視界が開けた。その光景にデュースの口からは思わず感嘆の声が洩れた。遠くに異国の街並み、海賊船でも思わせるような外国船、その向こうには火山、足を止めて左右をみればそれぞれ違った趣きの建物が並んでいる。まるで闇の鏡を抜けた時のようにまるで違う世界に迷い込んだみたいだった。
「うわ、うわ…っ! 先輩、なんかこう、来たーって感じがしますね!」
語彙力が無いのはいつものことだが、嬉しそうにデュースがはしゃいで言うものだからフロイドも「そうだねぇ」としか言えない。海を模した大きな水場を囲んで左右にぐるりと通路が分かれている。左手側の遠くにはモノレールの中から見えた客船や、縦に長い洋館のようなものが見える。あれも確か人気のアトラクションだ。
「サバちゃんこっちこっち」
「うえっ?」
クンと腕を引かれてデュースの体は右へと折れた。引かれるままに歩き出せばフロイドが「あっちは後で」と続けた。そう言えばこっち側には今一番人気のアトラクションがあった気がする。乗り物に乗って世界中を旅するような体験ができるとか。歩きながらデュースが左手側を見れば、中央の海は太陽の光で水面が輝いており、反対側には石造りの通路が掛かっている。
「なんかレジャーシートに座ってる人けっこう多いですね」
「そこで水上ショーやるから、それの場所取りらしいよ〜。アトラクションよりもショー目当てで来る人もけっこう居るんだって」
「水上ショー……」
「ま、時間があればちょっと見てみよっかぁ」
そう言いながら二人は右へと逸れ、階段を登って行く。左右に花壇を備えた階段は今はあまり花が咲いていない。春になればここにはチューリップなどが咲き誇るらしい。隣のパークではバラがあちこちに植えられているというのも聞いた。バラの王国出身で、尚かつハーツラビュル寮生であるデュースはバラもその以外の花もけっこう好きだったりする。
「花が咲いてる時にも来てみたいですね」
「オレはいつでもいいけど、暑い時はやだなぁ」
階段を登りきればすぐ右の方に例のアトラクションがある。既に長く列ができており最後尾は左の方へと伸びている。白っぽい壁の向こうには真っ白な建物があった。あの中にアトラクションがあるのだろうか。
「あれ、並ばないんですか?」
「今は並べなーいの」
「ん? そうなんですか?」
「ホラ」
そう言ってフロイドが案内をしているキャストの方を示す。若い男性キャストが「現在この時間のスタンバイパスをお持ちの方をご案内しております」とアナウンスを繰り返している。
「スタンバイパス…?」
「人気のアトラクションは並ぶために予約みたいなのが必要なの」
「えっ、並ぶだけなのに⁉」
「そ。だから」
フロイドはポケットからスマホを出して顔の横で振ってみせた。
「朝パークインした時にここのスタンバイパス取っちゃった♪ 昼過ぎだからそれまで他のアトラクションまわろ」
マスクの上からでもニンマリと笑っているのが分かる。気まぐれでやる気の波の上下がとんでもないフロイドにしては仕事が早い。それだけこのデートが楽しみということだ。そしてデュースのことが好きということでもある。
「じゃ、このまま向こう側行こっか」
そう言って今度は腰を抱き寄せられ、デュースはスマートな恋人にちょっと、いやかなり惚れ直してしまうのである。
中央の海を回り込んで、二人は反対側までやってきた。入ってきた時に正面に見えた外国船が近い。かなり精巧に造られているし、本当に海に浮いているようだ。そして石造りの要塞のような壁が……と思ったところでまたデュースは右へと引っ張られた。つい左へと視線が向きがちだったが、慌てて右へと顔を向けると一気に視界が暗くなった。あれ? とデュースは思うがどうやら火山に開いていた横穴のような通路へと入ったらしい。
「うわぁ…中ってこんな風になってたんすね……」
ついキョロキョロと中を見回してしまうデュース。火山どころかこうして洞窟のような場所には入ったことは無い。入学直後のシャンデリア事件で廃炭鉱へと赴いたことはあったが、あれとはまた違った雰囲気だ。
「ここの火山ってメッチャリアルに造られてるらしくて、こうして中の岩の造りも、流れて冷えた溶岩とかも本物と遜色ないくらいなんだってぇ」
「へぇ、すごいですね」
薄暗い天井はかなり高く、見上げながら歩いているとフラついてしまいデュースはフロイドに何度も腰を抱き直される。
まっすぐ歩いてよ、と言われているようでデュースが申し訳無さそうに見上げればフロイドは何でもないように前を向いていた。
そのまま通路をまっすぐ抜けると、岩の壁に囲まれたポッカリと空が見える場所だった。これまた中央に大きな湖のような海があり、時折ゴボゴボと泡が吹き上がったり、不思議な形の潜水艇のようなものまである。おお、とまたデュースの口から驚きの声があがった。
「サバちゃん朝から驚いてばっかじゃん」
「だってどこ見てもすごいんですよ! あ、ほらあの上の方見てください、なんか壁にドリルがついた機械みたいなものが突き刺さってますよ!」
「ほらぁサバちゃん、他の人にぶつかるって」
「うっ…、先輩はもっとこう驚いたりはしゃいだりとかしないんですか? 先輩だって初めて来たんですよね?」
「うーん初めてだし見てて楽しいけどぉ、オレは楽しそうなサバちゃん見てる方が楽しい」
ポンとデュースの顔が赤くなる。マスク越しでも分かる茹だり具合だ。恥ずかしくなると途端に無口になるのはデュースの癖でもある。勿論そんなこととっくにフロイドは知っているので、機嫌良さげにまたデュースを抱き寄せて歩き出した。
緑の柵沿いに今度は左周り。時折後ろの方から絶叫が聞こえる。確か人気のコースター系アトラクションの最後の落下ポイントが火山の上の方にあった。振り向いて見上げてみればちょうど山頂付近の穴からコースターが飛び出してくるところだった。きゃあああ、という悲鳴は一瞬で落下と共に吸い込まれていく。
「あれも乗ろーね」
「良いですね、すごく楽しみだな」
右手側を見下ろすと、一階層下に何かお店のようなものが見えた。たしか飲食店だったか、フロイドは覚えていたマップを頭の中で広げる。あの店には確かギョウザドッグといったか、このパークでのオススメメニューのひとつが取り扱いになっていた。残念だが朝イチのこの時間はまだ営業時間外だ。というよりも殆どのレストランや軽食店はまだやっていない。朝食がまだなのでどこかで何かしらは食べたいところである。レストランの営業時間を思い浮かべながら、デュースなら何を食べたいだろうと考えるだけでフロイドはワクワクした。
そのまま進んでいくとまた岩壁を抜けるように穴が開いている。こちらは半円の鉄骨が連なる通路でまた趣きが違った。吊り下げのランプのような照明も雰囲気がいい。トンネルを抜けると何かの建物の裏側のようだった。その建物の隣には鉄道の乗り場がある。これに乗ってしまうとかなり入り口のほうに戻ってしまうので今はスルーだ。鉄道越しに違うエリアが一瞬見え、デュースは小さく「海がある」と呟いた。実際にその近未来エリアのパーク敷地の向こう側には海がある。本物の海で、知らない海だ。
「この辺って人魚いるんですかね」
「どーだろ。ちっさいコミュニティとかはあるかもだけど、珊瑚の海ほど大規模な街とかは聞いたことないよ」
そんな話をしながら道なりに進んでいく。ちょうど売店のある場所で道が合流しており、またエリアが変わったようで地面の色も違った。ああそういえば、とフロイドはデュースの頬に手をやり撫でる。
「サバちゃん寒いでしょ?」
「え? まぁ、寒いといえば」
「首元スカスカだし」
「ひゃっ」
ちょっと冷たいフロイドの指先がデュースの首元へと滑り込んだ。コートを着ているとはいえその下はシャツとベストだ。首元はあまり寒さ対策が出来ていない。たまにポケットから取り出したカイロを首や耳に当てているのをフロイドはさっきから見ている。目の前の売店に近づくと何やら並んでいるグッズをふむふむと眺め、
「じゃーサバちゃんにはコレ!」
そう言ってデュースがなにか言う前に商品を1つ手に取るとレジカウンターにヒョイと向かってしまった。え? とデュースが思う前にフロイドはちゃっちゃと会計を済ますと、タグを切ってもらったそれをデュースの頭にすぽりと被せた。急に視界に飛び込んできたふわふわとした明るい紫。えっ? えっ? と混乱するデュースが頭のそれを触ると何やら丸い耳が2つ、そのまま手を下げていくと両耳の横を長く垂れるふわふわ、両の先端部分は手袋のようなポケットになっていた。
「これならちょっとはあったかいでしょ」
ふわふわとした長い部分をくるりと首元にマフラーのように巻き付け、デュースの首から上はすっかりモコモコに埋もれてしまった。なんだか一気にパークの雰囲気に呑まれてしまった気分だ。ちょっと擽ったい気持ちになる。
「えっと、じゃあ先輩はコレ…っ!」
貰ってばかりでは悪いとデュースも商品を手に取り会計に突っ込んでいく。これもタグを切ってもらい、腕を伸ばしてフロイドの頭にえいやと被せた。形はデュースと同じ、丸い大きな耳のついた帽子つきマフラーだ。ただし色は黒、色違いのお揃いである。
「なんかデートっぽいかもぉ。サバちゃんありがと♡」
「先輩も、ありがとうございます」
二人のやり取りを横目で見ていた他のゲストが通り過ぎながら『リア充だ』『バカップル』『お幸せに』と内心投げ掛けていることなど、当の本人達は勿論気づくことなどなかった。
川に架かった橋を渡っていると蒸気船がゆっくりと進んでくる。手を振る乗客に向かってデュースも手を振り返した。左の川岸にプロペラ機が設置されていて、橋の向こう側の鬱蒼と茂る木々のさらに先には大きな遺跡のてっぺんがチラリと見える。この辺りのエリアはそういった古代の遺跡と発掘現場をテーマにしたようなエリアらしい。
「冬なのにまるで熱帯の森みたいですね」
「ここまでちゃんと創られてるテーマパークってすげー」
フロイドは歩きながらスマホでたまに撮影をしている。デュースは事前にフロイドから『アズールに何かネタになるかもしれないから写真や動画撮ってこいって言われたから、たまにスマホ弄るけどゴメンねぇ』と言われていたので、その時は邪魔しないように口を閉じる。
「なんですかねこの建造物。ピラミッド?」
「これは異国の古代文明が生贄を捧げる為につかってた祭壇っぽいもの。心臓を取り出したり首を切り落としたり、けっこうエグいことするよねぇ」
「うお……夢を壊された気分…って、なんで僕にスマホ向けてるんですか」
「んー? かわいーサバちゃん撮ってるだけ」
「…ッ先輩ってば!」
「あ~ほら、コレ乗ろ、コレ」
コレ、とフロイドがアトラクションの入り口の前で立ち止まった。デュースも立ち止まりそちらへと顔を向けると、考古学者が主人公のアドベンチャー映画のコースター系アトラクションだった。待機列はまだ20分程度。と言っても入場人数の制限がされている今日は、おそらく人気アトラクションでも90分超えるかどうかだろう。
「最初からこういうの無理?」
「まさか。望むところです」
手を振るキャストに見送られ、二人は熱帯の森と足を踏み入れた。時折頭上から鳥の鳴き声が聴こえる。どこかにスピーカーがあるようだが、それを探すのは野暮な気がした。世界観に溺れたほうがこういう場所は楽しめる。柵とロープで区切られた通路をくねくねと進み、どんどん遺跡に近づいていく。
「僕このアトラクションの題材になった映画すっげー好きなんです」
「あー、毎回トラブルに巻き込まれてレアリティのあるお宝を求めて色々あって、結局いつも手に入れられないやつでしょ?」
「うっ、そういう言い方するとコメディっぽい…。でもその色々の部分が胸熱だったりじゃないっすか! 謎が解けていくのもワクワクするし」
「気分じゃねーときに観たのかも。サバちゃんがそう言うなら今度観直してみよっかな」
「ぜひ! あ、それなら一緒に観ましょうよ」
「いいよぉ、学校始まったらオレの部屋でね」
通路は遺跡の内部へと続いており、中へと進めば照明は控えめで少し足元も悪い。そのまま進んでいくと大きな空間に出た。遺跡の内部だ。大きな蛇のような石像、一面の壁画、発掘現場に組まれた木の足場のような通路。下を覗き込めば本当に発掘作業が行われているみたいだ。ただ石像の周りには骸骨が散らばっており、天井には穴があいている。時折照明が明滅して、まるで電力が不安定とでも言いたげだ。たまに水が滴っておりちょっと不気味な気配を感じる。左回りの通路を上がっていくと部屋を一周し壁画を見ながら次の部屋へと移動していく。壁画を見るに水晶のドクロが災いをもたらす…みたいな感じだろうか。次の部屋からはどんどんと暗くなっていく。乗り場に行くまでにもゲストを退屈させないように散りばめられた小ネタや映画ネタでデュースはテンションが上がった。
いざアトラクションに乗るとデュースはかなり騒がしかった。キャストからの指示で被り物を外し案内されたのは最前列。ちょうどハンドルのある席に案内されて意気揚々とハンドルを握り「あれ、これ動かないんですね」とちょっとガッカリしたが、車が走り出すと周囲の人間と一緒に随分と叫んでいた。それに合間合間で『ここは映画のこのシーンがどうのこうの』とフロイドに向かって説明しようとするのだが、元々頭の回転がそこまで良くないデュースの説明はなかなか理解が難しい。最後に車は大岩をギリギリ回避してアトラクションの一番の見せ場が終わり、あっという間に降り場へと車は停車した。
「………すごかった…」
「最後にひゅ~って落ちるの超おもしれー! また乗りたいかも」
「時間があればまた乗ってもいいですよね」
「あ、サバちゃんほら、写真撮られてる」
出口方向の流れに乗っていくと、途中に乗車中撮影されたらしい記念写真の案内スペースがあった。いくつかの画面の中から自分達が写っているものを探す。
「あった。あの左端のやつ。あは、サバちゃんメッチャ楽しそうじゃん」
「いや先輩はなんで僕の方向いてるんですか」
「落ちる時にサバちゃんどんな反応すんのかなーって思って見てた」
そんな瞬間をバッチリ写真に収められ、恥ずかしような嬉しいような。外に出ると急な明るさに目が眩んでチカチカとする。改めて帽子をかぶり直すと出口付近のお土産のワゴンスペースを過ぎ、そのまま左へと道を進めばまた違う遺跡へと続く。途中にレストランがありチラリとメニューを覗くと、グリル系のワンプレート料理だった。デュースのお腹がくぅと少し反応する。
「やっぱ腹減った?」
「う…さすがに少しは……。でもまだ開いてるレストランって無さそうですね…」
「10時過ぎればボチボチ何か探してもいいかもねぇ」
そう言ってまた二人は歩き出したのだが、すぐに道沿いにできた人の列に気がついた。
「これもアトラクションの待機列…ですか? たしかこの先もコースターのアトラクションあったと思いますけど」
「んーん、違うっぽい」
他のゲストより頭一つ以上高いフロイドからは見えるのだろう。少し背伸びをして列の先を確認したフロイドは、目を細めてから「サバちゃんお肉食べる?」とデュースに向かってニッコリ笑いかけた。
「えっ、これってフードの待機列なんすか!?」
「みたいだねぇ。この時間に営業してる店ってまだ少ないし、結構ここも人気っぽい。確かターキーレッグ」
「ターキーレッグ…」
それを聞いてまたデュースのお腹が小さく訴えかけてくる。
「先輩は?」
「オレ? んー……、オレも食べたーい♡」
ちょっと考えるような素振りをしてからフロイドはそう言ってデュースの手を取り列へと加わった。別にフロイドはそこまでターキーレッグに惹かれる訳ではないのだが、ちょっと遠慮がちで甘え下手なデュースに先回りする形だった。
順番はすぐに回ってきて、二人はそれぞれ一本ずつターキーレッグを購入した。近くに座れる場所もあり並んで仲良く食べ始める。わりと上手く食べるフロイドに対して、デュースは随分と悪戦苦闘しながらの食事だった。普通の骨付きの鶏肉と違って、ターキーレッグは細い骨が無数にあるのだ。食べ終わる頃にはデュースの両手と口の周りはベタベタになってしまっていた。
「もーサバちゃん稚魚じゃん〜!」
そう言いながらもカバンから出したウエットティッシュで拭いてあげるフロイドは楽しそうだ。そして甲斐甲斐しい。通行人から見てもフロイドから飛ぶ大量のハートマークの存在を感じてしまう。ああ、あの紺色の髪の子メッチャ愛されてるなぁ、なんて思えるくらいに。
「じゃあ次アレ乗ろっか」
食べ終わったゴミを片付け、フロイドはすぐ近くにあったアトラクションを指さした。流れる水と燃える炎に囲まれた遺跡のコースターアトラクションだ。360°回転するちょっとハードめなアトラクション。なお二人は食直後。
「いいですね、行きましょう!」
男子高校生のバイタリティは、その程度では止まらないのだった。
続く🎈