火花 「アレイン様だ!」
「えっ、アレイン国王陛下?!」
沿道の人々から、歓声が上がる。コルニアの国王であり、国を救った英雄でもあるアレインが馬を連れユークイットの大通りをゆっくりと歩いていくからだ。騎馬隊数人を引き連れたアレインは人々の歓声に応えて手を振りながら領主の屋敷へ進んでいく。
ユークイットの街はだいぶ復興が進んでいた。人々からは悲壮感が消え、活力に満ち溢れている。その様子に満足しながらアレインはルノーのいる屋敷へ入って行った。
「!…陛下!このようなところへわざわざ…事前にご連絡頂けたらお迎えにあがりましたのに…」
突然執務室までやってきたアレインの姿に驚いたルノーはガタリと立ち上がる。
「いや、視察の途中でな、近くを通ったから貴方に会いたくなったんだ、気を遣わないでくれ。」
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