空腹の竜 #1 オズは最近、世にも珍しい珍味の生き物を飼っている。その噂を聞いたとき、ミスラは腹が減っていた。
森の中では面倒なことに自らが狩りをしなくてはならない。竜の姿は強力だが機敏性にかけ、小さな生き物を捕らえることは至難の技だ。罠を仕掛けてもうまくいかず、木の実や果実を干したもの、きのこばかり食べる生活にはちょうど飽きてきたところだった。一族を破門にはされたけれど、向こうの都合など知ったことではない。ミスラはいつでも自由に桜雲街を出入りし、飽きれば出ていくのだ。そろそろ暇つぶしにオズと力比べをしたいとも思っていたため、都合がいい。ぐうぐうと鳴る腹を満たすためにその身を竜の姿に変えたミスラは、意気揚々と城へと飛び立った。
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