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    ZH短編
    皆既月食みてる時に思いついて突発で書いた。

    皆既月食 湿気混じりの空気に、秋を感じる軽やかな風が腕をなぞる。もう日付が変わって、1時間も経つというのに、ベランダから見える街並みの灯りは賑やかで、それでも、夜空に浮かぶ満月の光は一等眩しく見える。あと少し経ったら、この月はちょっとずつ地球の影に隠れていく。

     まんまるなメガネ越しに、まんまるな月をぼんやりと眺めているひびやちゃん。
     ひびやちゃん、と名前を呼ぶとベランダの手すりを握ったまま俺の方を向いて、まんまるなメガネの奥にひびやちゃんの真っ黒な目が見える。
     手すりをぎゅっと握るひびやちゃんの手にそっと手のひらを重ねると、びっくりしたように少し肩が跳ねて、重なった手のひらをみる。もう一度名前を呼ぶと、なんだよって少し戸惑った声がする。肩が触れるように、ぎゅっと距離を縮めるとひびやちゃんは、また月の方に視線を戻した。

    「ひびやちゃん、月、ちょっと欠けてきたね」
    「そうだね」

     ひびやちゃんの声が月明かりと街の灯りと、濃くなった暗闇が混じる中に溶けていく。ひびやちゃんのシャンプーの香りがする。重ねた手のひらから、少し触れた肩や腕からひびやちゃんの体温を感じる。少しずつ、月の光が小さくなっていって、暗闇に溶けていく。それでも、月の輪郭がわかる。

     ひびやちゃんは、今何を考えているのだろう。欠けていく月を眺めて。俺たちは太陽の光を一身に受けていた月が、少しずつ地球に隠れていって、明かりを失っていくのをみている。

     手すりを握っているのを剥がすように、手を握りなおす。重ねていた片方の手のひらだけじゃなく、両手を握って、ひびやちゃんと向き合って、少し遊ぶように腕を揺らす。突然、握っていた手すりから手を剥がされ、両の手が俺の手で握られていることにびっくりしたのか、ひびやちゃんからは戸惑いの声がこぼれた。

    「ね、ひびやちゃん、俺の顔みて。俺の体温感じて。俺がここにいるよ」

     ひびやちゃんは、少しだけ困ったような顔をして、それで、ちょっと笑った。

    「半蔵門は、眩しいね」
    「そうでしょ!俺はひびやちゃんを照らすんだよ」

     月は、地球の影にまるまる入って鈍い赤になる。手を握ったまま、ゆったり踊るように腕を揺らす。ひびやちゃんのまあるい眼鏡の奥に吸い寄せられるように顔を近づけると、唇が触れた。
     そこから、何度も唇に触れるだけのキスをした。



    「半蔵門、もう眠い?」
    「そんなことないよ、最後までひびやちゃんと、月食みる!」
    「そんなこと言って、もう目が開かなくなってるじゃない」

     ひびやちゃんは、そういって軽く握り返していた手に、ぎゅっと力を入れて歩き出す。

    「ひびやちゃん、ベッドの中でみようね」
    「はいはい」

     ベッドに寝っ転がって、眼鏡を外して近くのローテーブルに置いたひびやちゃんを自分の腕に招き入れて、一緒に夏用のタオルケットの中に入る。
     ベッドの中からは、月は見えなかった。ひびやちゃんの、おやすみという声が、目をとじた暗闇にきらきらと溶けていく。











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