四人の矢印「タイジュ、ちょっと……今良いか?」
シュミレーター終わりに、人目を気にしながらアブトがタイジュに声を掛けた。
「はい、構わねぇですよ」
アブトの部屋に入る。タイジュはなんだろうと思ってアブトを見た。何か言いたそうに、でも言い出せないような、そんな珍しい雰囲気だった。
「アブトくん、どうしました? 自分、何かやらかしましたか?」
タイジュは少し不安になって尋ねた。
「いや、タイジュの事じゃなくて……その、相談があって」
「相談……ですか、自分に」
タイジュは少し嬉しくなった。あまり人に頼らないイメージのアブトが、シンやハナビではなく自分に相談だなんて。
「どうぞ、なんでも言ってください」
タイジュに笑顔で促され、アブトは意を決したようにタイジュに顔を向けた。
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