一時の休息をともに。ここを曲がったら目的地のすぐそば。
だったはず。
そう、そうだ。
「あれ?」
これはそう、完全に迷ったのだ。
先程から同じところをグルグル回っている気がして、信じたくなかったがトタンの崩れそうな煙草屋の角を曲がった時に疑惑は確信に変わった。
『ちょっと休むか、暁人。···ぷっ』
「笑うなよ···」
元々刑事として街を走り回っていたKKは、だいぶ前から暁人が道に迷っていることは分かっていたが、自身で解決させるために言わないでおこうと黙っていた。
でも、角を曲がった時の冷や汗が流れるだらしない相棒の顔を煙草屋のガラス越しに見ると、我慢していた感情を抑えきれずに吹き出すしか他無かった。
『わりぃわりぃ。さっき買ったお茶でも飲んで落ち着こうぜ』
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