Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    0091boya_MTC

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    0091boya_MTC

    ☆quiet follow

    ④ 自分自身を信じてみるだけでいい。きっと生きる道が見えてくるエピローグ
     
     「皆さん目が覚めたんすね!!」
     火貂組の本部の一室、三人が目を覚ましたタイミングで左馬刻の舎弟の一人が入ってくる。

     舎弟が言うには、ヨコハマの港近くのコンテナゲートで三人が倒れていたのを発見したという。
     徐々に記憶が蘇ってくる。
     朝、火貂組の敵対組織が違法マイクの裏取引を行うと銃兎、そして左馬刻の元へ情報が入った。警察と暴力団組織の利害が一致。となれば、MTCの出番である。
     三人は裏取引現場へ到着、もちろん「数だけの蛆虫共」に手こずるはずもない。特にダメージも受けることなく、任務完了、のはずだった。いつもの様に銃兎が応援要請のためスマホを取り出そうと、あるいは左馬刻がタバコを取りだし、理鶯が昏倒している敵対組織の団員を縛り上げようとした瞬間、背後から強く殴られた様な激しい頭痛が三人を襲った。
     そこからは記憶が途切れている。

    「思うに、奴らが起動した違法マイクの効果だろう」

     理鶯が冷静に状況を考察する。

    「ちっ……雑魚のゴミ虫共が……」
    「それで、その「ゴミ虫共」はどうしたんです?まさかそのまま逃げられてないでしょうね?」

     銃兎が舎弟を睨みつける。

    「ま、まさか!ちゃんとうちで処理しましたよ!!」

     どうやら、左馬刻の舎弟が駆けつけた際にはまだ敵対組織の団員も昏倒したままだった様だ。
     一先ず、目的は達成していた様だが、銃兎からすれば、ホシを上げられなかったのだからやや不満は残る。ふと、スマホの時刻を確認すると既に十八時を回っている。一度署に戻って報告をしなくてはならない。舎弟へ車を用意するように告げると、部屋には三人だけになった。

     先程まで見ていた夢を思い出す。もしも自分が戦わない選択肢を選んでいたら。そんなのは有り得ない。あってはならない。
     生涯戦い続け、最後に堕ちるのは地獄。そんな覚悟など等に終えている。否、恐れや迷いさえ既にないのだから覚悟ですらない。
     仮にそんな世界が来たとしても、自分たちは戦い続けるのだ。自らの理想、矜恃、あるいは守るべきもののため。

    「銃兎、理鶯」

     左馬刻が窓の外を真っ直ぐ見つめながら呟く。

    「地獄で生きて地獄へ行く準備はいいか」

     銃兎と理鶯も左馬刻と同じ方向を見つめる。
     日が沈み、やがて青い夜が来る。
     二人は口を揃えて答えるのだった。

    「「当然」」
     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works