世界木3 自ギルド パン粥③ 黒い窓ガラスを雨が叩く。街明かりも消えた真夜中、雨のせいで少し肌寒い。海底にいるのではないかと錯覚し、部屋の内装を見て地上にいることを思い出す。
座っているベッドには男と少年が寝ている。少年の方はやっと寝付けたようだ。無理やり寝て休むように言いつけてからも、しばらくはもだもだと起きていた。窓を閉めて雨音を弱めた甲斐があった。
男の方はまだ起き上がれないだろう。胴に巻かれた包帯は手術の跡だ。今回は胴を強く打たれて血を吐いていた。いや、吐血は別の日だ。腹が痛くなったのだったか。内臓が破けたとかそのような話だったはずだ。調子がいい時はとことん波に乗るくせに、一度撃たれればすぐにへばる。
青年は溜息を吐いた。ベッドに座り込んで窓を眺めていた。部屋の中よりは外の方がやや明るい。雨はまだ止む気配はない。
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