バレッタが壊れちゃったんだ、と兄に言われたのは朝食の席だった。
「見せてみて」と言ってそれを受け取る。裏返すと、髪を留める金具の部分がぽっきり折れてしまっているのが分かった。ルタが子どもの頃から大切にしている、星がついたバレッタ。
「直せる…?」
「うん、たぶん大丈夫。ないと不便だろうからご飯を食べたら…」
いいかけた言葉は、鋭い警報音によって遮られる。僕たちは目を合わせることもなく、その場から駆け出した。
誰かに名前を呼ばれた気がして、僕はゆるりと覚醒する。自分の部屋だ、とベッドの天蓋に吊るした星を見て思い、それから頭と背中に痛みを覚えて、顔をしかめる。そうだシーズと戦闘していて、何かを庇った拍子に飛ばされたんだと気付いた。シーズはどうなっただろう。
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