臆病者の恋 大通りから一本入り、喧騒が薄れ、閑静な住宅街となる手前。
そこに紅茶を専門とする喫茶『ロイヤル・フォーチュン』はあった。
店内は洋風のクラシカルな店構えで、店主が自ら足を運んで揃えたという調度品は、どれも店を厳かに彩る事に成功しており、店内は落ち着いたおとなの隠れ家のような空気が流れていた。
そんな店のカウンター席。
しょぼんと肩を落とした白熊……ではなく、とても体格に恵まれた見るからに好青年という男性が肩を落としていた。
顔は落ち込んだ黄色いポ◯モンのようになっているし、背景に『ショボン』と効果音まで見える。
事情をしっている常連客の何人かが、同情めいた視線を青年に、そして非難まではいかないが、何かしてやれよ、という視線をカウンターの奥に送る。
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