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    nekononora

    94とFGO。書くのも読むのも雑食でいきます。逆、リバ、R、G、などなど書きたいように書き散らかします。
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    nekononora

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    パーバソワンドロライ
    パー→←バソ、黒髭さんでます。
    お題:勉強
    時間:1h+1h

    #パーバソ
    #パーバソワンドロライ

    「人生に学びは重要だ」

     そんな事を海賊仲間であるバーソロミューが言い出した時、席を立っていればあんな事にはならなかったのではと、後に後悔を滲ませ黒髭は語ったという——なんてモノローグを勝手に付け加えつつ、黒髭はラーメンを啜ったまま顔を上げた。
     断りもなくテーブルを挟んで前に座ったバーソロミューは、野菜もローストビーフもたっぷり挟まったって、おい、それにしても挟みすぎだろというサンドイッチをトレーに乗せていた。
     キッチンにあの騎士様がいるのでおすまししてお上品に食べると思いきや、大口を開けて喰らいつく。
     歯形がくっきりとついたサンドイッチを皿に置いて、もぐもぐごっくんと飲み込んでから、「というわけで、出航だ」と、A4サイズの紙の束を投げよこしてくる。
     でかいクリップで閉じられたそれは何かの書類のようで、ズズズと麺を食べきって、スープも飲みきってから、パラパラと片手でめくった。
     それはどこかの和風の部屋の写真だったり、プール、滑り台、ゲーム、二頭だけのメリーゴーランド、潜水艦の内部のような写真が載せられ、各々の住所が記載されていた。
    「なんでつ? これ?」
    「私達がその背景を描くのは決定事項だ。資料集めも兼ねて、現地に行って勉強するぞ」
    「ほーん、オッキーのでつか。そんなのこうして写真があるんだから、後はネットでええでしょ。それに現地ってリソースはどうするんだよ」
     オッキーがリアリティを重要視し、原稿の為に毎回、現地に赴き、作品に登場させる食べ物も実食しとかなら分かるが、そうではない。
     リアリティは重要だよね、それはそれとして締め切りも大事だよね!! と幻聴が聞こえるぐらいだ。
    「それが聞け黒髭。今度の慰安旅行がこの施設がある日本で、一週間という休暇をもらえる。なのでこの機会を逃す手はない。お前もこの施設が気になると言ってただろうが。弾丸見学旅行といこう」
    「……拙者が気になる?」
     それに“この施設”と言った。つまり一見、バラバラに見える建物だが、全て同じ施設という事か? だが弾丸見学旅行と言った。つまりチェーン店もしくは、病院や学校のように共通の目的がある施設。
     黒髭は考えつつもう一度パラパラと紙を捲る。
    「ん〜? お?」
     ドピンクやエジプトっぽい建物の外観の写真もあるが、多くは後ろに壁が映っており、室内だとわかる。
     滑り台やメリーゴーランドの馬やプール、大きな鳥籠の中のベッドも室内ということ……あ。
    「おい待てやコラ。おめぇまさか、」
     確かに言った。
     マスターの国はこういう施設に力を入れているらしく、面白いのがあり興味があると。
     言いはした。茶化してくるバーソロミュー達に、本来の目的ではなく見学をしたいでつーとも。言いはしたが、この施設にオレを誘ったのか。よりによってお前にお熱の騎士が目を光らす食堂で。
     と、ちらりとキッチンの方に目を向ければ、やはり気にしていたのだろう、白光の騎士とバチリと目が合う。以前は気まずげに逸らされたり、自らを恥じるように伏せられたりしたが、開き直ったらしい騎士はにこやかに微笑んで目を逸らそうとしない。その手元は大量の芋をマッシュしており、自分がマッシュされないよう祈るばかりだ。
     冷や汗をかきつつ元凶に目線を戻せば、頬を膨らませてモッグモグとサンドイッチを頬張っている。愛しの彼が用意してくれて盛りに盛ったサンドイッチは美味しかろうと、その顔を殴りつけたい衝動を今は場所が悪いと後で消費する事を決めて、声をひそめて話しだす。
    「一人で行けや」
    「一人では断られる場所がある。勉強の為とはいえ、レディを誘うわけにはいくまい。その点お前なら、何か起こるはずもなく、背景担当だし、興味を持っていたし、いい事づくめだろう。このベッドに繋がる滑り台とか遊んでもいいんだぞ」
    「滑り台に命をかけられるか」
    「? 回れるだけ回ろうと思っているので移動に移動のスケジュールにはなるが、それほどタイトというわけでもないぞ?」
     周回の方がキツい。と、バーソロミューが少し遠い目をして語るのを、黒髭は頭痛がしてきそうな頭を抑えていう。
    「だぁかぁらぁ、オレを巻き込むなっていってんだ。そういうのは去年の夏に仲良しこよしになった騎士様と行ってこいや」
    「は!? なっ、ん、言って!」
     ボッとバーソロミューの顔が一気に赤くなる。
    「彼を連れて行けるわけがないだろうっ!」
     思わずといったふうに声を荒げたバーソロミューに、「あの」と声がかかる。
    「歓談中割り込んで申し訳なく。ですが漏れ聞こえる話の内容がどうしても気になってしまって……」
     いつの間にかキッチンから出てきたパーシヴァルが、バーソロミューの側に立つ。
    「ひょっとして、今度の休暇についてだろうか? バーソロミュー、もう予定は決まってしまった?」
    「あ、いや、」
     バーソロミューはパーシヴァルの登場に慌てる様子を見せたものの、ゴホンと咳払いして伊達男の顔を取り戻す。
    「まだ決まってはいないよ。今、黒髭を誘っていたところなんだが、」
    「私では!」
     パーシヴァルがバーソロミューの言葉を遮り、自分を売り込んでいく。
    「私ではいけませんか!? 旅には慣れているし、取材旅行の荷物持ちでも私にできる事ならなんでも言ってくれ!」
     ぐいぐいとせまるパーシヴァルに、バーソロミューは驚いた顔をしながらも、いや、その、と言いにくそうに言葉をつまらす。
    「場所が場所だから、君にはその、」
    「危険な場所なのかい? ならばなおさら貴方の側に、」
    「そうではなくてだね、その……」
     バーソロミューは指でちょいちょいと顔を寄せろとジェスチャーし、近づいてきた騎士の耳にこそっと話す。

    「ラブホテルなんだ」

     騎士はきょとんとした表情をしてから、数秒して、聖杯から知識を得たのか、ギシリと面白いほど固まる。
     十秒して石化がとけた騎士は黒髭を見た。その目に殺気がこもってたら一発ぶちかましてやるつもりだったが、ただの戸惑いだった為、あんたも大変でつねーと同情の視線を送っておいた。
     パーシヴァルはすぐにバーソロミューの横の席に腰を下ろした。そして黒髭の所にあった書類を引き寄せて、にこやかに微笑む。
    「問題ないよ。バーソロミューとの二人旅、楽しみだな」
    「私も楽しみだが……そうだ! 場所をかえよう!! この施設には他の機会に黒髭とでも、」
     オレを巻き込むんじゃねぇと睨みつければ、騎士がにこやかにそれでいて強く言い直す。
    「バーソロミューとこの施設を巡るのとても楽しみだな」
     バーソロミューは、それ以上は何も言わず、パーシヴァルが楽しみにしてくれていると、ふにゃふにゃと口元を綻ばせた。


     後日、バーソロミューが「どうしよう黒髭! こんな千載一遇の機会! 間違いが起こってしまう!!」と相談に来たが、「押し倒しとけ」と追い返した。
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