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    Rhea_season

    @Rhea_season

    短文練習場and長文の呟き置き場
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    Rhea_season

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    ディミレト です。
    さらっとお読みください。
    メモ帳からコピペしたので改行などおかしいところがあるかもしれませんがご容赦ください。

    #ディミレト
    dimSum

    夜の静寂、光の端で 定刻になると、セイロス教の大司教であるベレトは、聖堂の傍らにある個室で人々からの相談を受けていた。
     その部屋は静謐な雰囲気に包まれ、柔らかな灯りが温かさを添えていた。毎週決まった時間に開かれるこのひと時は、限られた人数しか受け入れられないが、大司教自らが時間を割いて話を聞いてくれるということで、希望者は常にあふれていた。

     その日も、多くの相談が終わり、個室には静かな余韻が残った。
    ベレトは窓の外に広がる夜空を見上げ、星々が瞬く様子を眺めながら深呼吸をし、軽く伸びをした。肉体的な活動による疲労とは異なり、多くのなやみを聞くことで心に負の感情が折り重なる。思っていたよりも疲れるが、それでも自分に助けを求める者の思いを受け止めたいと思う。
     個室の中は薄暗く、部屋の片隅でろうそくが揺らめいていた。それだけに窓から差す月明りがとても美しい。その光が揺れるたび、窓から差す月明かりが、より一層白く美しく見えた。
     ベレトはしばらくその光を見つめていた。
    何も語らない月の光は、ただそこにあり、心に静けさを落としていく。
    「戻らないと……。」
     そう呟くと、ベレトは手を伸ばし、ろうそくの火を消した。細く立ち上る煙がゆらりと揺れ、闇の中へと溶けていく。


     扉を開けると、聖堂の空気がひんやりと頬を撫でた。
     誰も来ないようにと伝えてあったため、広い聖堂は静寂に包まれている。その中で、ベレトの足音だけが響いた。
     暗闇を怖がる人は多い。けれど、ベレトにとって闇は心地よいものだった。とはいえ、暗さをただの暗さとして受け入れられるのは、この日々がどこか満たされているからだろう。そんなことを思いつつ静寂の中を歩きながら、ふとそんな気持ちを教えてくれた想い人の顔が浮かんだ。
     普段、自分のほうが遅くまで執務をしているというのに、今頃きっと「帰りが遅い」と、心配しているだろう。
     自分のことをとても大切に思ってくれるその人のことを思うだけで、頬が自然と緩み、暗い聖堂の中で響く自分の足音が、やけに軽く感じられる。
    こういう感覚を知ったのもつい最近のことだった。


     聖堂の入り口に差し掛かると、フェルディア司教区の司教が不安そうに立っていた。ずっと自分のことを待っていたのだろうか。
     ベレトは申し訳なく思い、眉を寄せながら声をかけた。
    「待たせて済まない。私のことは気にしなくてもいいのに……。」
    ベレトが鍵を返すと、司教は深く礼をした。しかし、どこか落ち着かない様子で、ちらりと扉のほうへ目をやる。
    「それが……その……陛下がそちらでお待ちです。」
    司教の少し困ったような焦りの表情に、ベレトは思わず眉を上げた。そして、促されるまま扉の向こうに視線を向けると、そこには暗がりの中で佇むディミトリの姿があった。
     黙して何も語らないその大柄な姿は、どこか近寄りがたいその威圧感を帯びている。
     彼の佇む姿は相変わらず堂々としているが、その沈黙が何を伝えたがっているのか、ベレトにはわかる気がした。
    「……ディミトリ。」
     ベレトが名前を呼ぶと、その声に応えるようにディミトリが一歩、静かに前に出た。
    暗闇を背負いながらも、彼の瞳には月光が反射し、どこか憂いを帯びた輝きを宿していた。
    「待たせるつもりはなかったんだが……こんな時間に、どうした?」
     ベレトの問いかけに、ディミトリはわずかに息を吐き、静かに口を開く。
    「……お前が戻らないと聞いて、少し気になっただけだ。」
     その声には威圧感はなく、ただ深い静けさと、微かに隠しきれない優しさが混じっていた。
    「わざわざ迎えにきてくれてありがとう。ディミトリも忙しいだろうに。」
     ベレトは微かな笑みを浮かべ、ディミトリの肩を軽く叩く。まるで長年の戦友にするような、自然で親しげな仕草だった。その一瞬の触れ合いに、ディミトリは驚くでもなく、ただ少し目を伏せて静かに頷く。
    「忙しいのはお互い様だ。」
     短く返す彼の声には、わずかに照れと安心が滲んでいた。
    「さあ、戻ろうか。」
     ベレトは淡々とした調子で言い、フェルディア城へと続く道を促すように歩き出す。
     聖堂は王城の敷地内にあるとはいえ、王がこうして足を運ぶことなど滅多にない。
    そのため、突然の訪問に司教は終始驚きを隠せず、どこか落ち着かない様子だったが、ベレトが戻り、ディミトリがその後ろを静かに歩き始めたのを見届けると、ようやくその表情にも安堵の色が浮かんだ。


    「こんなに遅くまで相談を受けなくても……」
     少し不服そうなディミトリの声が、夜の静けさに響いた。その顔にはどこか心配の色が浮かんでいる。
    「とはいえ、1日だけのことだ。毎日しているわけではない。」
     ベレトは歩を進めながら笑う。その軽やかな声に、ディミトリも少しだけ肩の力を抜いたようだった。
    「むしろ、お前のほうが頑張りすぎだ。」
     その言葉に、ディミトリはわずかに眉を寄せる。
    「俺はなんとでもなる。それよりも、フェルディアにいるときくらいは城でゆっくりしてほしい。」
    「お前がいないのに……?」
     ベレトが少し意地悪そうに返すと、ディミトリは口をつぐんだ。
     その沈黙に、ベレトはくすりと笑い、柔らかく肩をすくめた。
    「オレが働きすぎだというなら、たまの1日くらい、お前も休暇を取れ。」
     その言葉にディミトリは少し面食らったように目を見開き、しかしすぐに表情を引き締める。
    「俺が休むのは……難しいな。」
    「なら、オレも同じだ。」
     ベレトの返答は簡潔で、けれどどこか温かかった。
    「…なぁ先生、お前はどうして相談を聞くようなことを始めたのか?」
     ディミトリがふいに問いかけてきた。
    「それこそ司教や司祭に任せればいいだろうに。」
     ベレトは立ち止まり、少し考えるように目を伏せたあと、静かに答えた。
    「ああ……まぁね。でも、困っている人や辛い思いをしている人をそのまま放っておいて、後悔したくないんだ。ただそれだけだよ。」
     その言葉に、ディミトリは怪訝な顔をし、足を止めた。
    「……これ以上?」
     疑問を浮かべたその声に、ベレトは視線をディミトリに向ける。
    「なにか……困ったことでもあったのか?」
     ディミトリの表情は純粋な戸惑いそのものだった。まるで、自分が何かに関係しているとは思いもよらない、とでも言いたげだった。
     その顔を見た瞬間、ベレトはふっと微笑んだ。そして、歩み寄り、ディミトリの頬にそっと手を伸ばした。
    「お前のことだよ、ディミトリ。」
     その一言に、ディミトリは目を見開く。ベレトの手の温かさに触れながら、その瞳をじっと見つめた。
    「オレは、あの5年間、お前の傍にいてやれなかったことを、今でも悔やんでいる。」
     ベレトの声は穏やかだったが、その言葉には深い後悔と誓いが滲んでいた。
    「お前が何を抱えて、何を思い、どんな言葉を口にしようとしていたのか――そのどれも、聞いてやれなかったことを。」
     ディミトリは息を呑むように瞳を揺らした。
     その5年間、自分がどれほどの痛みと孤独を抱えていたかを知る人は少ない。だが、ここにいるこの人だけは、何も言わずともそれを理解している。
    「だから、これ以上……そういう思いをする人が出ないようにしたいんだ。」
     ベレトは少しだけ苦笑を浮かべた。
    「まあ、オレにできるのはほんの少しだけどね。大きなことをいったところで、数えるくらいの人にしか、手を差し伸べられない。」
    「……先生。」
     ディミトリの声は低く、それでも確かに震えていた。
    「お前は、いつも俺の予想を超えてくるな……。」
     ベレトはディミトリの瞳を見つめ、ふっと穏やかに微笑む。
    「オレはただ、できることをしているだけだよ。お前にとっても、他の誰にとっても。」
     その言葉に、ディミトリは何か言おうとしたが、口を閉じた。
     言葉が見つからない代わりに、ディミトリはそっとベレトの手を自分の手で包んだ。
     その手の温かさが、冷たい夜の空気の中で何よりも確かに感じられた。
     ディミトリがベレトを見つめると、ベレトは静かに微笑みながらその視線を受け止める。
    「まぁ、オレの行動は大抵、お前が起因する。はじまりも。おわりも。これからも。」
     その言葉は穏やかだったが、同時に揺るぎない確信に満ちていた。
     まっすぐで、何一つ誤魔化すことのない瞳でディミトリを見つめるベレトに、ディミトリは深く息を吐く。
    「でも、そう思うなら、5年分傍にいてくれるほうがありがたいのだが……。」
     その言葉に、ベレトは首をかしげ、少し意地悪そうに微笑んだ。
    「おや、 5年だけでいいのか?」
    「参ったな……。」
     ディミトリは苦笑し、肩をすくめた。
    「5年で済むわけないだろう。言葉のあやだ。」
    その言葉に、ベレトも小さく笑った。
    「わかってるよ。とりあえず、明日1日仕事を休むところから始めてくれ国王陛下。オレは街に出たい。」
    ディミトリは少しだけ考えるように目を伏せ、それからゆっくりと頷いた。
    「了解した。大司教猊下。」
     二人の足音が雪を踏みしめながら重なる。
    その静かな調和の中、ディミトリはそっとベレトの腰に手を回した。
     驚いた様子もなく、ベレトは自然にディミトリに寄り添い、小さく微笑む。
    「お前には本当に……いつも振り回される。」
     ディミトリが呟くように言うと、ベレトはそれを否定せずに笑みを深めた。
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