もうなんだっていい様子のおかしい人物を追って星拾いの崖の千風の神殿近くに掘られた洞窟まで来たデ。近くに落ちていた枝を拾って火をつけそれを片手に洞窟の中へと入る。中は格安アパートメントの一室程の広さで、洞窟内の1/3を占める大きな机とくたびれた毛布が2枚。机の上には薬剤がびっしりと並んでいて稲妻からやって来た商人が手土産にと渡してきた虫除けの道具に似たものがその中央にあった。道具からは細い煙が立っておりその煙は洞窟内を薄く覆っている。デは松明を持った手の袖口で口元を塞ぎ、細い煙が空気にとける様子を見ていた。辺りに人の気配は無く、今日はもう帰宅することに決めたデは踵を返し洞窟を出た。腕をおろし洞窟を振り返ったデはスンと鼻を鳴らす。木を燃やした匂いの中に、キツイ花の香りがした。