タイトルまだ決めてない〜!水曜日
昼間はあんなに暑くて夏の始まりを感じていたのに、部活から帰る時間になれば動かした体から吹き出した汗が夕方の風と共に体を冷やす。
大きな変化もない、いつもの帰り道。なんとなく空を見上げると橙色と紺色が混ざり合う中にぽっかりと薄く白っぽい月が大きくまんまるに浮かんでいる。
天体には興味のないジュンだが、今日は満月なのだろうか。普段見ない月の大きさに目を取られ綺麗だなんて思いながら、ひと気の少ない河川敷沿いにある寮に向かい足を進めていた。
「―――!!」
そんなゆったりとした帰路を楽しむ訳でもないジュンの耳に人の声が降りかかる。
何を言っているかまでは咄嗟で聞き取れなかったものの、大きな声なのにも関わらず声の主どころか野良猫も見当たらない。足を止め、改めてキョロキョロと辺りを見渡すが相変わらず目に見える範囲には自分しかおらず首を傾げながらも、再び美しい月を見上げると自分に向かって人が降ってきておりギョッと目を見開いた。
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