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    珠鬼緤萩(たまきせっしゅう)

    @tamaki_sessyu

    Xにて掲載できないイラストと小説を投げます。
    七灰メインでクロスオーバーとか色々雑多。

    現在、喫煙者灰の小説執筆中。
    喫煙描写多く発生します。

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    POIPOI 66

    第53回「いただきます」

    原作軸。
    灰がお料理男子。
    第42回「おかえり」から数週間後のお話です。

    #七灰
    #七灰ワンドロワンライ

    七海が単独任務で遅くなる時によく聞く言葉。
    ただいま。それと、いただきます。
    ただいまは最初は出なかったのに、いただきますは結構すんなりと出る。
    きっと七海のご両親はその挨拶の大切さをしっかりと教えていたんだなぁと思いながら、夜食であるおじやを作っていく。
    残っていた野菜と豚肉を入れて、味噌で味付けしたおじやは七海からのリクエスト。
    風邪の日に作ったものが気に入って、何か気が滅入るような任務がある日はこれかかきたまうどんをお願いされる。
    今日は呪霊はそんなに強くなかったらしいけど、数が多くて大変だったようだった。
    大きめの丼2つに出来上がったおじやを移して、リビングの方に持っていけばすでに待機している七海が目を輝かせていた。
    「おまたせ〜!」
    「今日もいい匂いですね」
    「ありがとう。リクエスト通りに短く切ったうどんも入っているよ」
    「いつもありがとうございます。いただきます」
    「いただきま〜・・・ぁえ?」
    いつものように一緒に手を合わせて、いただきますと言い切る前にいつもと違うことに気がついた。
    なんか・・・・七海、僕の方を見てる?
    「えっと・・・・??」
    「?どうかしましたか?」
    「いや・・・・なんで僕の顔見て、いただきますって言うの?」
    今まで料理から目を離さないで言ってるのに、今日はどうしたんだろう?
    僕自身を指さしながら首を傾げると、心底理解できないという顔で見つめる七海が僕の顔をじっと見つめてから口を開いた。
    「灰原が私のために作ってくれているのに、灰原に言わなくてどうするんですか」
    「・・・・・え!?」
    「違うんですか?」
    「ちっ、違わない・・・けど・・・・」
    確かに七海と一緒に食べたいから連絡してって言ったり、こうして七海からのリクエストも出来うる限りは答えているつもり。でも、それは全て僕のわがままだからさり気なくやっていたつもりだった。
    全ては七海に一目惚れした僕自身が七海の胃袋を掴んで、離さないように必死になっているだけで、七海に言ってないはずなのに、どこで気付いたんだろう。
    「あの・・・・七海からそう言われると、少し期待しても良い・・・かな・・・」
    「期待?」
    「あ・・・・ううん。なんでもない」
    小首を傾げる七海にそう言って、小さな声でもう一回いただきますと言ってからおじやを口にする。
    なんだかいつもより、味が薄く感じた。

    「期待なんて、いくらでもしてください」
    「?なにか言った?」
    「いいえ、なにも」
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    nononoko1996666

    MOURNING呪詛師灰原②(前の話とはまったく続いていません)。
    自分に出来ることを精一杯やっていたら、呪詛師になってしまった灰原。呪術師の七海は灰原くんの邪魔ばかりしてる。
    明るい灰原くんはいません。酷い灰原くんはいます。
    あと激重七海はいます(七海視点)。

    別に灰原くんに呪詛師が似合うとかじゃなくて、完全な私の趣味です!書きたいとこだけ!
    暗転「………ぁ」

    「灰原っ!!!」

    必死に腕を伸ばすも届かず、名前を呼ぶことしか出来なかった。
    一瞬にして鉄骨が崩れ落ち、コンクリートの破片が辺り一面に飛び散る。
    灰原と依頼主が中に取り残されてしまい、焦りながら私が鉈を必死に振りかざしている間に、もう一人の依頼主が居なくなっていた事に気付けなかった。

    「どうか、生きていてくれ…」


    ✳✳✳


    縋るような灰原の泣き顔を、初めて見た。
    見開いた瞳からは止めどなく涙が流れ、腕に抱えている依頼主を見詰めている。

    「ねぇ、…あの当主って言ってた人、この子置いて逃げたんだ。…ねぇ、どうしてかな?」

    「考えるな灰原、こっちへ来い…早く」

    今回は嵌められたのだ。私達はあの当主という男に、2級に依頼する任務にしてはおかしいと感じていたというのに。
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