Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    ...

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    ...

    ☆quiet follow

    デトロイトパロ
    初対面な二人とかき氷のお話🍧

    *モブ同僚あり ほんのり血表現

    ##おかすて

    ブルーハワイ「今日もブルーハワイのかき氷食べてんのか?」
    「あぁ、この味が好きなんでな。お前も食うか?」
    「お気遣いなく…気温はもう熊が冬眠するぐらいだってのに、よく食えるもんだ」

     報告書出しに行ってくる、じゃあな、と同僚のいつもの文句もそこそこに。俺はブルーハワイのシロップを真夏の海ぐらい真っ青に氷を染め上げた。
     
     ♢

     俄然、俺はかき氷に夢中だった。
     いつからなんて些細な事は気にしちゃあいない。ザクザクと冷たい氷が削られていく。最近の機械は凄いもんで。人の手を使わずとも氷が一瞬で削れて、しかも粉雪のようにふわふわな仕上がり。女子供も好んで食べる人が多いらしい。
     それは初雪のようだった。

     ザクザク。

     自分の記憶では小さい頃、氷の粒が主流のかき氷が多かった。そんでもって手動で削ってたからか、溶けるのが早かったり粒が荒かったりで食べるのによく頭をキーンとさせた。
     その中でも俺は何故かシロップだけは拘りがあった。よく色や匂いが違うだけ、味は全部一緒だ、なんて科学的に証明した奴らはわんさかいる。同僚にも何回言われたか。
     だが、いちごやメロンの代表的なシロップを無視してまでも俺は、ブルーハワイには目が無かった。
     色が気に入ったのか味が気に入ったのかは分からない。きっと意味なんてないのだろう。

     ザクザク。

    「———警部補、私は×××。サイバーライフから派遣されました」
    「サイバーライフぅ?」
    「はい、ある事件のことで貴方に捜査のご協力を願いたく参りました」

     署に伺ったところ、近所の屋台でかき氷を食べているだろう、と言われたので。
     そう目の前の堅苦しい言葉を使うアンドロイドは言った。

    「ヤダね。なんで俺が行かなきゃならないんだ? 他の部署にも人はいるだろうに」
    「警部補、これは貴方の仕事です。私ではなく、署長に仰るのが筋かと」
    「はいはい、お前に言ったのは間違いですね〜。ったく、何が楽しくて、」
    「ではこうしましょう」

     アンドロイドはせっかちなのか、俺のお決まり文句は言わせてくれないらしい。
     ヤツのこめかみに青く光るリングが点滅する。

    「そのかき氷を一つ奢ります。
    味は…ブルーハワイを」

     ♢

    「おい! お前なに舐めてんだ!?」
    「あぁ、舐めると分析出来るんです。先に言っておくべきでしたね」
    「そうか…気持ち悪いったらありゃしないな」

     いつの間にかヤツが隣にいる。
     雛みたいに着いてくるようになった今日この頃。俺は変異体に襲われたとの通報を受け、現場に張り込みをしていた。年配の女性がアンドロイドと生活をしていたある日、逃げてきた変異体に襲われた、らしい。

     救急隊と共に現場に入ると、そこはもう酷い有様だった。辺りに散らばったガラスの破片、荒らされたであろう椅子や机、何度も殴られたであろう年配の女性の肌に残る青あざ。
     極め付けはアンドロイドが血を……いやブルーブラッドをちらほら傷から見える程、刺されたようで。主人を守る為だろうか、アンドロイドの表情は緊迫感を抱いたまま動かない。
     こめかみのリングを黄色、赤、黄色、赤と交互に点滅させている。
     それを視界に入れないよう、調べにきた刑事に話を聞いて持ち場についた。

     破裂音が鳴り響く。

    「警部補‼︎」
     同時に腹を蹴られたような痛みに片目から涙がこぼれ落ちる。
    「いっ……おい、なんだどうし、た……」
     目を開くと、そこは真っ青な視界だった。
     正確には銃で撃たれたであろう、ヤツの腹あたりの視界だろう。下敷きになった俺はヤツの肌の柔らかい感触を感じる前に、何かサラッとしているような、どろっとしている液体が顔に伝る。アンドロイドに痛覚はありません、そう言ったヤツの言葉は思い出せなかった。

     どうやら、変異体に打たれたらしい。
     俺を庇おうとヤツは覆い被さり、身を挺した英雄、との事で。周りの喧騒に耳が接続を切ったのかのように、ヤツと自分の呼吸音しか聞こえなかった。
     元から感じない体温が更に低くなっていくのを感じる。だらだらとブルーブラッドがヤツの白い肌を染めていく。
     まるでかき氷みたいに。その瞬間、心臓が鼓膜に移動したかのように耳が熱くなる。

     これは確認、そう、これは確認だ。
     おそるおそるヤツの腹に舌を伸ばす。

     「……はっ、」
     

     ザクザク。


    「聞いていますか、警部補」
    「聞いてる聞いてる」
    「摂食機能が付いたから沢山食べている訳ではありません。私はプロトタイプなので、色々テストする必要があるのです。決して僕が甘いものばかりを食べているわけでは、」
    「はいはい。そんなことよりドーナツ食べるか?」
    「いただきます」

     あれから流れるように事が進んだ。
     被害者の女性とアンドロイドは医療機関、サイバーライフへと回収手続きが完了したこと。
     変異体は資料部屋へと保管できたこと。報告書が山積みであったこと。
     そしてヤツはぎりぎり記憶まで、所謂データは壊れていなかったこと。……と言っても有難いことにヤツはその時、強制シャットダウンの手前で最後らへんのデータは無いらしい。

    「よう、今日はかき氷食べないのか?」
     久しぶりの同僚に顔をあげる。
    「食べてるだろ、ほら」
    「あーいや、訊き方が悪かったな。
    いつものブルーハワイはどこに行ったって話だ」
    「なんだそういうことか。今は———」

     ブルーブラッドで出来たドーナツを食べているヤツを横目で見ながら、ザクザクとスプーンで氷をピンク色に染め上げる。ほんのりといちごの甘い匂いが俺の周りを包んだ気がした。

     「ははっ、マイブームはいちごになったんだ」
     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤👏💙💙💙💙🌠👍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator