光瞬く(カルナ×ぐだ子×ジュナオ)―マスター。
「んー……?」
声をかけられたぐだ子はうっすらと目を開けた。
「……えっ? ここは?」
ぐだ子は辺りを見回す。空には満天の星空、足元は水面が広がっていた。
「特異点じゃなさそうだけど……マシュ達もいない……」
恐る恐るぐだ子は前に進む。彼女が歩く度に水面が揺れていく。
「あのー! 誰かいますかー?」
ぐだ子の問いかけは満天の星空へと消えていった。
「…………」
(……進むしかないか)
導なき道をぐだ子は進んで行った。
☆
時計がないためどのくらい歩いたか分からない。
ぐだ子はただひたすら前へと進む。
(……何でだろう。お腹が空いたり喉が渇いたと感じない。歩き疲れたも感じない。この空間の影響なのかな?)
彼女は空を見上げた。
満天の星空は目を覚ました時と変わらず輝いている。
星を見ていると赤と蒼の星が急に輝き出し―ぐだ子の前に降り落ちた。
「わっ!?」
あまりの眩しさにぐだ子は一瞬目を瞑った。
「大丈夫ですか、マスター」
「すまん。こんなに眩しくなるとは思わなかった」
「……アルジュナオルタ? カルナ?」
目の前にアルジュナオルタとカルナが立っていた。
「えぇ。マスターとお会い出来て良かった」
「あぁ。お前の知っているオレだ」
「どうしてここに……? あれ、2人とも服装がいつもと違う?」
カルデアでみる姿ではなく、催事で着る衣装を着ていた。
「気づいたか。実はオレ達も何故特別な衣装を着ているのか分からないんだ」
「……マスターならご存知なのでは?」
「えっ。わ、わたしが?」
「……はい。この空間はマスターが作ったものです。マスターは私とカルナを呼んで何かお祝いをしたかったのでは?」
「むっ? そうなのか?」
「ご、ごめん……わたしもよく分かって…………あ」
ぐだ子が何かを思い出した。
「マスター?」
「大丈夫ですか?」
「……う、うん。思い出したの。2人にね、ありがとうって言いたかったんだ」
カルナとオルタが首を傾げる。
「いつもわたしが忙しくて、2人にちゃんとありがとうって言えないってずっと、ずっと思ってたの。多分それがこうして現れちゃった……かもしれない」
「……成程。マスターの想いが具現化されたということか。フッ、マスターらしいな」
「……言葉だけでなく、貴女の想いも私には伝わっています」
「ほ、ホント?」
「あぁ、こちらこそいつもありがとう」
「えぇ。私は貴女と共にあります」
カルナ、オルタがぐだ子の手をそれぞれ握った。
(……2人とも手が温かい)
「心配するな、マスター。オレ達はいつどんな時でもお前の傍にいる」
「そうです。悲しい時、辛い時、嬉しい時、楽しい時、どんな時でも空を見上げてください。私達が貴女をいつまでも見守っています。ですから―」
「お前は1人ではない」「貴女は1人ではない」
☆
「…………はっ!?」
ぐだ子は目を覚ました。
「……あれ? ここは……?」
辺りを見回すと満天の星空ではなく暗い曇り空、砂嵐が吹雪く荒廃した場所だった。
「…………何だろう、夢を見たような……?」
つー……と涙が頬を伝わた。
「えっ? 涙? 何でわたし、泣いてるの?」
ぐだ子は涙を拭うがどんどん涙が瞳から溢れていく。
(……分からない。なんで泣いてるの?)
ぐだ子は空を見上げた。
空は暗い曇り空が広がっていたが、突然一筋の光がぐだ子に注いだ(終)