類司パラレル「けほっ、けほっ」
「大丈夫か?類」
「司くんは大丈夫なの?」
「あぁ、今日は調子がいいんだ。」
幼い時病室で出会った子はとても強くて優しくて類にとって光のような存在だった。過ごした時間は短かったけれど彼とのことは昨日のように覚えている。
時は流れて数年後類は自身の夢を叶えた。小さい頃からずっとなりたかった職業演出家。学生時代は色々とあって恵まれなかったが類は諦めなかった。今では新進気鋭の演出家として呼び名を欲しいままにしている。ふと思い出すのは小さい頃に出会った『司くん』の事。彼はスターになることが夢だと言っていた。どこかでまた会えたらと思っていたが未だ再会は叶っていない。探そうにも名前しか知らないのだ。たった一度病院で一緒になっただけ。たったそれだけなのに類は司の事を忘れられずにいる。
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