付き合ってないけどやる事やってるダダ漏れ朝菊みたいなバレンタインの日にたまたま会議があったとして。
義理チョコ文化のあるアジア59は皆に配り、やっと落ち着いたと本田が自分のデスクに行くとそこに置かれたハート型のボックスと一輪のバラ。
「あら…」
添えられた手紙を開くと、ほのかに嗅ぎ慣れた匂いが香る便箋にはFrom secret admirerの一文が。
こんなことする相手もされるべき人も思い当たるのなんて一人しかいない。不器用な可愛いらしさにくす、と笑んでいると
「何だ、浮気か?」
と、狙った様にアーサーが隣に立ってくるので益々可笑しくなって
「っふふ、そうなのでしょうか?名乗りもせずお気持ちだけ伝えていくだなんて、なんて健気で可愛らしい紳士さんなのかと思いまして」
触れ合った肩を本当はもっとくっ付けたい。その気持ちをグッと我慢して笑いながら下から見上げると
「やめとけよ。正体も明かさず告白してくるだなんてろくでもねぇ奴に違いない。そんな腰抜けお前に愛を告げる資格も無いな。そんな奴より俺とディナーを楽しんだ方が100倍マシだと思わないか?」
とそっと胸ポケットにカードキーを落とされる。
きょとんとした後、普段見ない余りに堂々とした誘いに本田が照れくさそうに笑い
「はい、喜んで。──デザートは私が特別張り切りますので、余さず食べてくださいね──アーティ」
二人きりの時だけ使われる甘い呼び方でこっそり告げると不機嫌そうだった表情が爆発する様に真っ赤になった瞬間
「おーい!そこの島国!いつまでイチャイチャしてるんだい!もう会議始めるんだぞ!」
とアルの声が響く。
本田が席に着いたら隣の王から
「…本当お前の趣味には辟易するある…」
「あら、可愛らしいでしょう?…あげませんよ」
と僅かにちぎった花びらのかけらを上機嫌に唇に運ぶ本田。
っていうのを描きたかったな…行動と全身で愛情を告げてくるくせに、付き合おう、とか愛してる、が言えなくてまだ付き合ってない朝菊。(やる事やってるディーティング期間みたいな朝菊)
先は長いからね…お互いの視線が互いに向いてるなら焦らずこんな期間をゆるりと過ごしてても良い…。