夢のような時間「エース」
「何してるんだゾオレ様待ちくたびれて帰るとこだったゾ。」
「デュース、グリム。」
「ボケっとしてんじゃねぇんだゾ。」
「あれ、あと一人…」
「フナッ」
「あと一人」
「……いたよな。」
「……いや、僕達は何時も二人と一匹だったぞ。」
「いたって」
誰か俺らにとって大切な…。
『………ス』
「ほら、聞こえる。あいつの声。」
オレらの知ってる、あの声。
『……ースッ………て、…が、……てる。』
『おき…っェースッエースっ』
「なんだよ、監督生」
そう、監督生、オンボロ寮の監督生…
「BADBOY、トラッポラ。クルーウェル様の授業はさぞかし心地よかったのだな。」
「げ。」
「あらら…」
「起こしてやってたのに、起きないのが悪いんだゾ。」
「…監督生、だ。」
クルーウェル先生が教卓に戻ってからオレはもう一度呟いた。
「そうだけど。」
隣りから、小さな声の返事が返ってくる。
「へへっ…監督生がいる。」
「変なエース」
近い未来、監督生はこの世界からある日突然消えてしまうかもしれない。
「帰らないよ」なんて監督生はきっと言ってくれないだろう。
だからオレも「帰んないで。」とは言わない。
ただ、監督生がいるこの時間を大切にさせてほしいと心のなかで願うのだ。