気になる子の好きな人は同じクラス、見たことある人やなぁくらいの存在やった。それがいつしか気になり始めていた。これが俗に言う、【俺に興味を持たへんなんておもしれぇ女】ってやつなんやろう。
それなのに。
それなのに、や。
「…なんでなんっ」
「侑うっさい。」
「こんなかっこいいのになんで別の奴好きとか話ししてるん……はぁ」
「人の好みはそれぞれやろ。みんながみんな侑好きなわけ無いやん。」
「んー…………いや、好きやろッ俺やで」
「そういうとこやぞ。」
治に訊いたところで期待した答えなんて返ってこないことは分かりきっていた。それでも誰かに聞いてほしいとき治は俺にとって最高の相手や。
その時、治のスマホが震える。
「誰やねん」
「〇〇さん。」
「は」
「何」
「なんで、〇〇さんの連絡先知ってるん」
「去年同じクラスやったから。」
事も無げに言う治に腹が立ってくる。
「何、さっきの〇〇さんのことやったん」
「そうですけどっ」
「あー…」
「何やねん。」
「〇〇さんの好きな人、誰かまで聞いた」
「聞いてへん。」
「北さんやで。」
さらっと出た名前に、思考が停止する。
「そんなん…」
そんなん、勝てるわけあらへんやん。