改めて 火花の爆ぜる音で目を覚ます。暗い中に瞼を持ち上げれば先に起きていた浮竹が振り返る。
「よう。年明けてたな」
「……そうみたいねえ。お帰り、七緒ちゃん」
「ただいま戻りました。あけましておめでとうございます」
三人揃って頭を下げたところでまたパチリパチリと音が鳴る。蝋燭を神棚に上げると浮竹が腹の虫を鳴らすので、二人して笑いつつ、京楽は襷を探す。浮竹が雨戸を開けて回るので家中が賑やかになる。伊勢が先に台所へ入ってくれるので寝巻きに褞袍を引っ掛けると袖を片付けて後を追う。ちょうど、簡易コンロに残りの火をくれたところであった。夜道を共にした縄を水に漬けると伊勢は場所を譲る。京楽は代わりに頭芋や餅を取り出して、正面に立った。
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