Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 👏 💚 🎉 💯
    POIPOI 47

    summeralley

    ☆quiet follow

    荒野、星空めちゃくちゃ綺麗そうだな……

    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【星・願いごと】

    #二次創作BL
    secondaryCreationBl
    #飯P
    #腐女子向け

    【飯P】小石の環に星落ちる時 数日前までは心地よかった夜風に、やや寒さを感じるようになってきた。荒野の地面は夏の湿り気を失いつつあり、砂埃が容赦なく舞い上がる。草の匂いも、いくぶん渇いてきていた。
     悟飯は空を見上げて、欠伸をかみ殺した。パオズ山の自宅からも星はよく見えたが、ここから見る星空は更に明るい。
     「あ、流れ星だ!」
     焚き火に木の枝をくべながら、ピッコロもつられたように夜空に目を上げる。途端、また一つ星が流れた。悟飯は燥いで、ピッコロに笑いかける。
     「見えました? 流れ星!」
    「ああ」
     素っ気ないピッコロの返答にも、この数ヵ月ですっかり慣れた。何も、怒っていたり、機嫌が悪いわけではない。
     悟飯は立ち上がり、小石を拾いはじめる。ピッコロの膝の下から丸い小石を拾い上げると、静かな声が降ってくる。
     「何をしている」
    「おじいちゃんに聞いたんです、おまじない……」
     じっと見つめられていることも気にせぬ様子で、悟飯は拾った小石を円い形に並べた。ピッコロの片足で踏み込むこともできない程の、小さな円形だ。再び焚き火の側に座り込んで、悟飯は小石の環を振り返った。
     「こうして目印をつくると、流れ星がここに落ちてきてくれるって。願い事を叶えてくれます」
    「……何か願う事があるのか?」
    「大人になってもピッコロさんと一緒に過ごせますようにって! ピッコロさんは、お願い事、ありますか?」
    「星が願い事など聞くものか」
     ピッコロは答えたものの、悟飯の隣に拵えられた小石の環は、視界の中でやけに浮き上がってくる。揺れる灯影が、渇いた地面に小石の影を落としていた。


     あれから二十年ほど経つだろうか。悟飯に連れ出されて、ピッコロは夜の荒野を歩いていた。今夜は、流星群が見られるらしい。あの時と同じ、秋を目前にした過ごしやすい夜だ。
     「覚えてますか? ピッコロさん。流れ星のおまじない」
    「言っていたな……石を積むとか」
     無邪気な笑顔でかぶりを振る悟飯は、子供の頃と少しも変わらない。
     「積むのは賽の河原ですよ。小石を円く並べるんです、やりましょうよ」
     ピッコロの返事を待たず、悟飯は座り込んで、足元の小石を拾いはじめる。ちらと目を遣ると、ピッコロは黙して荒野を見渡していた。やはり昔と同じく、流れ星へ願い事など、する気にならないのだろう。声に出さず笑って、悟飯は片手で握れるほどの量の小石を拾い集めた。
     「あの高台の上に行きましょう、星空に近い方が、願い事が届く気がするから」
    「高台? ……どこでも一緒だろう、わざわざ上らずとも。そこに並べたらどうだ」
    「まぁまぁ、折角だから……良いでしょう?」
     渋るピッコロの手を引いて、悟飯は地面を蹴る。この荒野にいくつも存在する高台の内の一つ……よく休むのに使っていた高台は、もっと東の水場の近くだった。動物も殆どいない荒野のこと、懐かしいあの高台には、子供の頃に並べた小石の環がまだ残っているかもしれない。
     「あ、流れ星が見えた! 早く並べないと」
    「いいだろう、石など……空だけ見ていろ」
    「だめだめ、大事な願い事だから」
     高台へ立った悟飯が、慌てて地面を見回す。平らで、雑草に紛れてしまわず、小石を円く並べられる場所……ふと、気付く。既に、小石が円く並べて置いてある。
     「あれ……よく休んでたの、ここでしたっけ?」
    「……」
    「僕が昔、並べた石かな……水場の側の高台だった気がするけど」
    「……あれは、おれが置いた。お前に聞いた日に」
     驚いて振り仰ぐと、ピッコロはきまり悪そうに目をそらしている。
     「え、星は願い事なんか叶えないって」
    「そういうものに縋りたいくらい、お前の無事を願いたかったんだ」
     悟飯は言葉を失い、まじまじとピッコロを見つめた。不機嫌そうに眉根を寄せているが、これは恥じらっている時の面差しだと、悟飯は知っている。
     やがて来るサイヤ人たちに備えていたあの時、言葉は素っ気なくとも、似合わぬ「おまじない」などするほど、自分の無事を願っていてくれた……。そしてその願いは、ピッコロ自身によって、確かに叶えられた。それだけではない。悟飯の「大人になっても一緒に過ごしたい」という願いも、まさに今、叶えられている。
     「……ピッコロさんが、願いを叶えてくれる星だったんですね」
    「なんだそれは……ほら、並べるならさっさとしろ」
    「一緒に並べましょう。それで、一緒に願いましょう」
     悟飯が差し出したいくつかの小石を、ほんの一瞬の逡巡の後に、ピッコロも受け取った。
     秋の大気は美しく澄み、星は浚えば掬えそうなほど無数に輝いている。共に並べた小石の環に、きっと流れ星が落ちるだろう。これからも共にありたいという願いを、再び叶えるために。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    summeralley

    INFO6/15 星に願いを
    ゆ 28b Summer alley

    新刊『廃墟の灯』
    A5サイズ10章68ページ成人向け。

    廃墟となった無人の街に暮らす飯Pのお話の試し読みです。
    03章を途中まで載せます。NAVIOの方には別の章を載せてますので、興味があって見れる方はそちらもどうぞ~
    【飯P】廃墟の灯/試し読み03.廃墟の街

     砂の散ったアスファルトに、錆びた鉄骨とひしゃげた鉄パイプが転がっている。
     山々のように聳える工場群は今やその役割を終え、徐々に朽ち果てつつあるのが、この距離から振り仰いでも明らかだった。
     ひび割れた舗道には雑草が繁り、道の両端に並ぶ建物の外壁にも蔦が這いまわっている。ガラスはどれも汚れており、庇はことごとく破れて垂れ下がっていた。看板やシャッターの文字はほとんど消え失せ、赤茶けた錆だけが無闇と存在を主張している。
     ピッコロが姿を眩ませたのは、両刃の剣を二人で見た直後だった。
     はじめ数日は、悟飯もデンデたちも、どこかで修業に打ち込んでいるのだろう、と考えた。しかし一週間経ち、十日経ち……それでも戻る様子がない。流石に、こんなに長い期間を留守にするのに一言も告げていないのはおかしい。気が全く感じられず、意図的に身を隠していることは明らかだった。
    2764

    summeralley

    DONEこの人の内面はじめて書いた
    って思ったけどピアニスト飯Pの時に書いてました。あの時はネイPではなかっただけで。

    客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。
    【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/12ラストワード テーブル席にウイスキーを出すピッコロを、カウンターの中から見ていた。一気に入った注文があれで片付くから、暫くは落ち着くだろう。
     コリンズグラスに、切ったばかりのライムとスペアミントを入れる。バースプーンで軽く潰すと、やや窄まったグラスの口から、涼やかな香りがここまで上がってくる。
     ライムは、通常のレシピよりも少し多く入れる。それがピッコロの好みだと、分かっているからだ。砂糖は入れない。氷を入れ炭酸水を注ぎ、手早く混ぜる。ちょうどカウンターへ戻ってきたピッコロに差し出すと、両手で受け取って笑った。
     「ありがとう、ネイル。足りないものはないか?」
    「今はない。何かあれば声をかけるよ」
     頷いて、カウンター客の前へ戻っていく。読んだ本の内容について、尋ねているらしい。それを受けた彼は身を乗り出すように研究を語り、ピッコロも微笑みながら聞いている。
    4025

    related works

    recommended works