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    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

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    summeralley

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    荒野、星空めちゃくちゃ綺麗そうだな……

    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【星・願いごと】

    #二次創作BL
    secondaryCreationBl
    #飯P
    #腐女子向け

    【飯P】小石の環に星落ちる時 数日前までは心地よかった夜風に、やや寒さを感じるようになってきた。荒野の地面は夏の湿り気を失いつつあり、砂埃が容赦なく舞い上がる。草の匂いも、いくぶん渇いてきていた。
     悟飯は空を見上げて、欠伸をかみ殺した。パオズ山の自宅からも星はよく見えたが、ここから見る星空は更に明るい。
     「あ、流れ星だ!」
     焚き火に木の枝をくべながら、ピッコロもつられたように夜空に目を上げる。途端、また一つ星が流れた。悟飯は燥いで、ピッコロに笑いかける。
     「見えました? 流れ星!」
    「ああ」
     素っ気ないピッコロの返答にも、この数ヵ月ですっかり慣れた。何も、怒っていたり、機嫌が悪いわけではない。
     悟飯は立ち上がり、小石を拾いはじめる。ピッコロの膝の下から丸い小石を拾い上げると、静かな声が降ってくる。
     「何をしている」
    「おじいちゃんに聞いたんです、おまじない……」
     じっと見つめられていることも気にせぬ様子で、悟飯は拾った小石を円い形に並べた。ピッコロの片足で踏み込むこともできない程の、小さな円形だ。再び焚き火の側に座り込んで、悟飯は小石の環を振り返った。
     「こうして目印をつくると、流れ星がここに落ちてきてくれるって。願い事を叶えてくれます」
    「……何か願う事があるのか?」
    「大人になってもピッコロさんと一緒に過ごせますようにって! ピッコロさんは、お願い事、ありますか?」
    「星が願い事など聞くものか」
     ピッコロは答えたものの、悟飯の隣に拵えられた小石の環は、視界の中でやけに浮き上がってくる。揺れる灯影が、渇いた地面に小石の影を落としていた。


     あれから二十年ほど経つだろうか。悟飯に連れ出されて、ピッコロは夜の荒野を歩いていた。今夜は、流星群が見られるらしい。あの時と同じ、秋を目前にした過ごしやすい夜だ。
     「覚えてますか? ピッコロさん。流れ星のおまじない」
    「言っていたな……石を積むとか」
     無邪気な笑顔でかぶりを振る悟飯は、子供の頃と少しも変わらない。
     「積むのは賽の河原ですよ。小石を円く並べるんです、やりましょうよ」
     ピッコロの返事を待たず、悟飯は座り込んで、足元の小石を拾いはじめる。ちらと目を遣ると、ピッコロは黙して荒野を見渡していた。やはり昔と同じく、流れ星へ願い事など、する気にならないのだろう。声に出さず笑って、悟飯は片手で握れるほどの量の小石を拾い集めた。
     「あの高台の上に行きましょう、星空に近い方が、願い事が届く気がするから」
    「高台? ……どこでも一緒だろう、わざわざ上らずとも。そこに並べたらどうだ」
    「まぁまぁ、折角だから……良いでしょう?」
     渋るピッコロの手を引いて、悟飯は地面を蹴る。この荒野にいくつも存在する高台の内の一つ……よく休むのに使っていた高台は、もっと東の水場の近くだった。動物も殆どいない荒野のこと、懐かしいあの高台には、子供の頃に並べた小石の環がまだ残っているかもしれない。
     「あ、流れ星が見えた! 早く並べないと」
    「いいだろう、石など……空だけ見ていろ」
    「だめだめ、大事な願い事だから」
     高台へ立った悟飯が、慌てて地面を見回す。平らで、雑草に紛れてしまわず、小石を円く並べられる場所……ふと、気付く。既に、小石が円く並べて置いてある。
     「あれ……よく休んでたの、ここでしたっけ?」
    「……」
    「僕が昔、並べた石かな……水場の側の高台だった気がするけど」
    「……あれは、おれが置いた。お前に聞いた日に」
     驚いて振り仰ぐと、ピッコロはきまり悪そうに目をそらしている。
     「え、星は願い事なんか叶えないって」
    「そういうものに縋りたいくらい、お前の無事を願いたかったんだ」
     悟飯は言葉を失い、まじまじとピッコロを見つめた。不機嫌そうに眉根を寄せているが、これは恥じらっている時の面差しだと、悟飯は知っている。
     やがて来るサイヤ人たちに備えていたあの時、言葉は素っ気なくとも、似合わぬ「おまじない」などするほど、自分の無事を願っていてくれた……。そしてその願いは、ピッコロ自身によって、確かに叶えられた。それだけではない。悟飯の「大人になっても一緒に過ごしたい」という願いも、まさに今、叶えられている。
     「……ピッコロさんが、願いを叶えてくれる星だったんですね」
    「なんだそれは……ほら、並べるならさっさとしろ」
    「一緒に並べましょう。それで、一緒に願いましょう」
     悟飯が差し出したいくつかの小石を、ほんの一瞬の逡巡の後に、ピッコロも受け取った。
     秋の大気は美しく澄み、星は浚えば掬えそうなほど無数に輝いている。共に並べた小石の環に、きっと流れ星が落ちるだろう。これからも共にありたいという願いを、再び叶えるために。
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    Replies from the creator

    summeralley

    DONE急いで進めてるけど12話くらいにはなってしまいそう……少し先でベッドシーンで丸々一話使ったせいで……。
    ネイPのP、ちょっと子どもっぽく書いてしまう。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/04.聴診器の語るもの ネイルは殆ど、家へ帰らなくなっていた。職員がみな帰るのを待ってから仮眠室へ下りるので、それから帰宅となるとどうしても遅くなる。
     元々、仮眠室へ寝泊まりすることはそう珍しくなかった。同じフロアに、簡易的なシャワールームもある。食事は水で事足りる。コインランドリーは研究所の道向かいだ。
     ――家へ帰ったところで、仮眠室の様子が気になって眠れず、警備員が驚くような早朝に出勤することになる。
     自らが切り刻んだ研究対象への執着なのか、単純な個への執着なのかは、判然としなかった。それでも、寝袋を持ち込んで寝泊まりするようになるのは、ネイルにとって自然な選択だった。
     その日ネイルは、どこか浮き足立っていた。
     石室の標本に関する嘘の報告書は問題なく受理され、更に詳しく検査を進めるようにとの文言を添えた、検査項目のリストだけが戻ってきた。それも、時間がかかることを誰もが理解できる検査項目ばかりで、当分の時間は稼げそうに思われる。
    3016

    summeralley

    DONE10話くらいで終わりたいとか言ってたのに、少し先の話に性的なシーンを入れたので予定が狂って10話で終わるの無理になりました。ネイP次いつ書くか分かんないし、どうせならって……。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/03.新しいラベル 「石室の標本について、何か分かったか?」
    「報告書の通り、特段変わったことはありません……何しろ前例がないので、手探りで。慎重に進めています」
     ムーリは頷き、引き続き任せる、と研究室を出て行く。ケースの観察窓を覗かれなかったことに、ネイルは胸を撫で下ろした。研究者としては、それが正しい振る舞いだ。以前ネイルがそうせずにいられなかった、無闇に観察窓の蓋を開ける行為は、暗闇で保管されていた検体にどのような影響を与えるか分からない。
     ネイルの返答は、完全な嘘ではなかった。このような現象に、前例があるはずもない。腐敗せず、硬直もしない遺骸など……ただし「変わったことはない」という部分は、真っ赤な嘘だ。
     石室の標本はもう、標本ではない。さりとて、それを報告できようか? おそらく、上層部の判断で、もっと大きな研究所へ送られることになるだろう。戸籍もない古い時代のナメックが、「呼吸する標本」……良くて「実験動物」として扱われることなど、目に見えていた。
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