一ノ瀬眠子夢小説今日は高校生活最後の1年が始まる日…、ドキドキが止まりません。幼なじみの○○ちゃんたちと一緒のクラスだったら良いのにな…。そんなことを思いながら、張り出されてあるクラス表を見る。
「誰も友達が…居ない。」
思わずそんな言葉が口から出る。何度見直しても、名前だけ知っているような知り合いすらいないのだ。元々友達は少なく、引っ込み思案で、男の子から少し嫌がらせを受けていた私。1、2年生の時の友達は向こうから話しかけてきてくれたから偶然できただけだし…。新しく友達なんて出来るのかな。はぁ…、とため息を吐きながら新しいクラスへと足を運んだ。
「晴吉!同じクラスじゃん」
「お〜、山田ぁ〜」
「ふるぴ!くあさん!同じクラス嬉しいよぉ!」
「よもちゃー!」
「また3人同じクラスだね!!」
まずい、辺りはもうグループが出来ている。私が入れる隙なんてどこにも無い。自分が座るはずの席に、カラフルな髪の毛の人達が集っている。銀、黒ベースに紫のグラデーション、緑、金色、黄緑…それから、ピンク。唖然として暫く扉の近くで立ち止まる。あんな集団に退いてください、なんて言える気もしない。
「…君、俺の隣?」
ピンク髪が私に向かってイケヴォで話しかける。綺麗な顔立ち、澄んだ瞳に真っ直ぐ見つめられて心臓の鼓動が高鳴るのを感じる。早く、早く答えないと、と口をパクパクさせるが、髪の毛カラフル集団にも見つめられて上手に言葉が出てこない。
「みんなー、席についてねー。」
「うわ、ジジイが担任かよ」
「ロエン先生ね。」
私の後ろからガチムチ坊主の先生…ロエン先生が入ってくる。担任はどうやら彼のようだ。温厚で優しい技術の先生だが、趣味は女装らしい。ロエン先生に対して、銀髪男子が悪態をつき、ロエン先生に訂正される。クラス内の生徒たちはくすくすと笑いながら席に着く。
「それじゃ、とりあえずお隣で自己紹介してね。」
隣はあのピンク髪…、なんか気だるげな人だ。片目界隈で如何にも漫画に出てくるクズ、といった印象。その為顔も整っている。ただ何も言わずに彼を眺めていれば、彼は流し目でこちらを見る。またその瞳にドキッとする。
「一ノ瀬眠子。よろしく。」
「あっ、えっと、愛佐礼 夢子(アイサレ ユメコ)です…!ニコッ」
「夢子ちゃんね、仲良くしよーね。」
しょ、初対面のクズ系統顔面国宝男子にいきなり名前呼びされちゃった…!?一気に顔に熱がこもり、眠子から顔を背ける。顔をパタパタと手で扇いでいれば、肩をつつかれる。
「夢子ちゃん!私、柏葉よもぎ!さっきは席にたむろしちゃってごめんね。」
「あっ、いえっ、大丈夫です…っ、よろしくお願いします、柏葉さん…」
「よもぎでだいじょぶ!これで友達だねー!」
「とも、だち……」
友達、という言葉が胸にじんわりと温かく広がり、頬を涙が伝う。私の涙に気づいたよもぎは、慌てた様子で勢いよく席を立ち、自分のカバンを漁っていた。
「あーあ、よもぎ、泣かせちゃったー。」
よもぎが慌て、私が泣いている間に、眠子の机に銀髪の男の子が腰掛ける。眠子が「おい。」と机から退かそうとするも、彼は退けなかった。
「晴吉さんうるさい!!!夢子ちゃん、はい、ハンカチ!」
「あ、ありがとうございます…。ごめんなさい、友達っていうのが、嬉しくて。」
銀髪の男の子はどうやら晴吉というようだ。晴吉の言葉によもぎは怒りながら、私にハンカチをくれた。その後発した私の言葉に、よもぎ、晴吉、眠子はきょとんとした後、晴吉が誰かを呼んだ。
「呼んだー?」
金髪美少女の後ろに続いて、黄緑髪のナイスバディ美女と、黒髪に紫グラデーションのクソダサ金魚アロハがぞろぞろとやってくる。
「この子、友達に感動してるからみんなで友達になってあげよ。俺は晴吉ね」
「あー、そういう事ね!私は金鎖ふる。
ふるぴって呼んでね〜♡」
「冥火くあだよん。よろしくね。」
「山田です!よろしく!」
「わっ…えっと……夢子です!」
「これでみんなと友達だね!」
次々と自己紹介をされ、よもぎに抱きつかれ、少しあわあわとしながら頭だけぺこぺことお辞儀をする。そんな私の様子を見て、眠子がくすくすと笑い出す。どうして笑われているのだろうか。そんなに変なのか。
「夢子ちゃんって面白いね。赤くなったり泣いたりぺこぺこしたり。可愛い〜」
このままだと吐きそうなので〆。