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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    ロナドラ800字。

    ##94SS

    ■好きなひと


     今回もロナルドはフクマになんとか原稿を渡すことができた。ついでにフクマは原稿を持っていく代わりにファンレターの束を置いていった。それが現在机の上に数十通散らばっている。
     ドラルクはその中の一通の封筒を手に、事務所のソファにぐったり伸び切ったロナルドに訊く。
    「きみ、好きな人とかいないの」
    「……は? 突然何言ってんだよ」
    「だってこれだけファンレターもらってるし、気になる人の一人や二人いないのかって」
     ロナルドは体を起こすと、ドラルクの手から封筒を引ったくった。
    「いたらいたでお前に教えると思うか? 絶対ネタにして笑うわ引っ掻き回してメチャクチャにするわだろ」
    「おや、私の行動が読めるようになったか」
     おりこうさんでちゅね~。とドラルクがふざけた口調でロナルドの頭をくしゃくしゃに撫でる。ムカついたので反射的に殴ったらドラルクは死んだ。
     ロナルドは手にした封筒を開けて中身の便箋を取り出す。そこには熱烈なメッセージが綴られている。女性らしいやわらかな文字と文章に見覚えがある。あ、この人確かロナ戦一巻からファンレター送ってくれてる人だ。曰く、ロナ戦ブログ時代からのファンだとか。
     ドラルクは再生するとロナルドの隣に腰を下ろす。そうして呟くように言った。
    「まあ、冗談抜きで好きな人できたら教えて。そしたら私、すぐにこの事務所出ていくから」
    「なっ……に、バカ言ってんだ!」
     言葉に詰まりながらロナルドが食ってかかると、ドラルクは牙を見せて笑った。
    「だって私がいたんじゃ恋人を連れ込むことなんてできやしないでしょ?」
     そうしてどこか遠くを見つめる瞳になる。それを見てロナルドは手元の便箋を持つ手に力を込めた。くしゃりと紙がしわになる。
    「もしかして私のこと心配してくれてる? 大丈夫だって。行くあてならいくらでもあるし」
     そんなんじゃない。そんなんじゃないけど――。その答えを今のロナルドは持っていなかった。
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