ALL その他 文スト 九龍 タイバニ APH TS 最遊記 94 BOND 94SS 松 1day1pict SS 高間晴DONE吸死ワンライ「風」。ロナ+ドラ。 3 高間晴DONE吸死ワンライ「思いがけない贈り物」。みっぴきのクリスマス。 4 高間晴TRAININGロナドラ800字。事後のひととき。■明かりを消して だいたい事が終わった後には、ドラルクはなかば気絶するように眠り込んでしまう。体力がないせいだ。だがこれでも真っ最中に何度も死ぬのを繰り返していた頃を思えば、進歩したほうである。 真っ暗な部屋のソファベッドの上で、ロナルドはドラルクの体に腕を回し抱きかかえるようにして横になっている。 そういえば、初めてした時もこいつに「電気消して」って言われたっけ。 恥ずかしいんだな、と思ってその通りにしたのはいいが、吸血鬼であるドラルクは夜目が効く。結局ロナルドの表情などで彼がどれほどドラルクを欲しがっていたかを見せつけられて、逆に死んでしまったのはそれなりに過去の話になる。 ロナルドはドラルクの髪を梳くように撫でて、その額に唇で触れる。愛おしさがこみ上げて口から少し笑いが漏れた。 初めて会った時はこの吸血鬼とこんな仲になるなんて想像もしていなかったのに、人生ってわからないもんだ。 すると、ドラルクが腕の中で身動ぎした。くあ、とあくびを噛み殺す気配がする。「……私、また寝てた?」 そう訊く声はかすれて渇いているようで、少し無茶させすぎたなとロナルドは少し反省する 832 高間晴TRAININGロナドラ800字。死別ネタ。■しょっぱいジャム 台所から立ち上るのは、煮詰められた甘い甘いジャムの匂いと湯気。それを嗅ぎつけたジョンが主人のもとへ駆け寄って足元で「ヌー」と鳴いた。「おや、ジョン。味見したいのかね? まだ煮詰めきれてないんだけど」「ヌヌヌーヌ!」 そう胸を張って言えば、ドラルクが笑ってシンクの上にジョンを持ち上げて立たせる。「こぼすといけないからな。 ――今日は特製クランベリージャムだ」 そう言ってひとさじ、大きな鍋から真っ赤なジャムをすくうと充分吹き冷ましてからジョンの口元にやる。すぐに食いつくジョンにドラルクは顔をほころばせた。「オイシー!」「はははっ。そうだろう。これだけ作り置きしておけば、あの若造にだっていくらでも――」 そこで思い出したようにドラルクの表情が曇る。「――……そうだ、もういないんだっけ」 もうロナルドが死んでどれくらい経つのだろうか。もう彼が死んでしまったことすら忘れるくらい長い時を、使い魔と二人きりでドラルクは過ごしていた。 その間ドラルクが感じたのは、空虚と退屈さだった。当然のことだが人間が一人死んだくらいではこの世界は変わらない。だがドラ 814 高間晴DONE吸死ワンライ「プレゼントを買いに」 2 高間晴TRAININGロナドラ800字。■両片想い 目が覚めたらどこか知らない部屋の中だった。ロナルドはあたりを見回す。白い壁と天井、床にはドラルクが倒れている。「おいドラ公、起きろ」「……ん……? なんだねここは」「『どちらかが相手の好きな人を当てられないと出られない部屋』だとさ」 出口らしきドアの上にはっきりと書いてある。ロナルドはドアノブをガチャガチャ回した。開かない。なのでドアや壁を殴りつけ、銃で撃ったりもした。しかしそれらは無駄な抵抗に終わった。「きみでも開けられないとは。また新手の吸血鬼か」「だろうな」 ロナルドはスマホを操作してVRCに連絡を取ろうとする。しかし圏外で繋がらない。思わず舌打ちする。「おい若造。こんなカードが落ちてたが」 ドラルクは部屋の中に落ちていた一枚のカードを見せる。『ルール:一問一答で交互に質問を行って好きな人を当ててください』「ハァ~~~~?」「それは私の台詞だ。……まあとりあえず私からいくぞ。 ――きみが好きな人は年上の巨乳か?」「……年上は合ってる」 今度はロナルドの番だ。「お前が好きなのは人間か?」「そうだが。 じゃあ次は私から。料理は上手 823 高間晴TRAININGロナドラ800字。■熱があるから ロナルドが風邪を引いた。先日の大捕物の際、川に落ちてずぶ濡れになったのが原因だろう。 今日は事務所も臨時休業。ドラルクはつきっきりでロナルドの看病をしている。「寒いし頭ガンガンする……」 ソファで毛布をかぶって丸くなっているロナルドの額に手を当てる。先ほど風邪薬を飲ませたのでそろそろ効いてこないかと思ったのだ。「うーん、まだ熱下がらないな」 体温が人間より低いドラルクにとっては、今のロナルドの肌は低温火傷するんじゃないかと思うくらい熱い。手を引っ込めようとしたところで手首を掴まれた。「どこ行くんだよドラ公……」「どこって、ちょっとあっちでリンゴでも剥いてこようと思ったんだけど」「いらないから傍にいろよ……」 掠れた声に熱のこもった吐息。それと潤んだ青い瞳に、ドラルクは胸が高鳴るのを感じた。それでも手首を掴む力は強くて離れられそうにない。仕方なくソファの前に膝をつく。 やれやれ。風邪を引いてすっかり弱ってるな。 額ににじむ汗で張り付いた銀髪をかきあげてやる。伏せられたまつ毛も同じ色で、改めてドラルクは思う。黙っていれば美しいのになあ。だが同時に 853 高間晴TRAININGロナドラ800字。■お手入れ ソファに座っていたロナルドは自分の唇の皮を剥いた。やっちゃいけないとは分かっているが、皮がめくれかかっているとついやってしまうのが人間の心理。「ッ、痛って」 そう言って自分の唇をぺろりと舐めると鉄錆の味がした。同時にその声で気づいたのか、傍にいたドラルクが携帯ゲーム機から顔を上げる。「何してんの、きみ」「唇の皮むいてた」 それを聞いたドラルクは「ハァ!?」と目を瞠って、信じられないものを見る目になる。続いて「ちょっとそのまま動くなよ」と言いおいてゲーム機を置くと自分の棺桶の方へ行く。蓋を開けてその中から何やら取り出した。何かの薬だろうか。小さなチューブを手にして戻ってくる。「なにそれ」「リップバーム。リップクリームより保湿力があるやつ」 ロナルドの隣に座るとチューブの蓋を開けて中身を人指し指に適量取った。そして反対側の手でロナルドの顎を捕まえてそれを唇に塗りつける。ドラルクの冷たい指先がロナルドの唇を数回撫ぜていって離れた。丹念に唇にそれを塗られたロナルドは半ば呆然とドラルクの顔を見つめる。「まったく、きみは外見に無頓着だから困る」 せっかく美しい 803 高間晴TRAININGロナドラ800字。■好きなひと 今回もロナルドはフクマになんとか原稿を渡すことができた。ついでにフクマは原稿を持っていく代わりにファンレターの束を置いていった。それが現在机の上に数十通散らばっている。 ドラルクはその中の一通の封筒を手に、事務所のソファにぐったり伸び切ったロナルドに訊く。「きみ、好きな人とかいないの」「……は? 突然何言ってんだよ」「だってこれだけファンレターもらってるし、気になる人の一人や二人いないのかって」 ロナルドは体を起こすと、ドラルクの手から封筒を引ったくった。「いたらいたでお前に教えると思うか? 絶対ネタにして笑うわ引っ掻き回してメチャクチャにするわだろ」「おや、私の行動が読めるようになったか」 おりこうさんでちゅね~。とドラルクがふざけた口調でロナルドの頭をくしゃくしゃに撫でる。ムカついたので反射的に殴ったらドラルクは死んだ。 ロナルドは手にした封筒を開けて中身の便箋を取り出す。そこには熱烈なメッセージが綴られている。女性らしいやわらかな文字と文章に見覚えがある。あ、この人確かロナ戦一巻からファンレター送ってくれてる人だ。曰く、ロナ戦ブログ時代からの 826 高間晴TRAININGロナドラ800字。※死ネタ注意。■ずっときみを待っている 私は夜更けに墓地を訪れた。さすがにこの時間帯となれば他に人影もない。ジョンを肩に乗せ、近くの花屋で買った百合の花束を手にして歩いていく。吸血鬼ゆえに夜目が効くおかげで懐中電灯なんてものもいらない。 やがて目指していたとある墓標の前に立つ。そこには彼が眠っている。「……こうしてここに来るの、何度目だろうね。ねぇロナルドくん」 そう墓石に問いかける。 彼はずっとずっと昔に死んだ。ひとつ言っておくけど、死因は老衰。最期は私とジョンと、彼と親しかった人々が看取った。 墓の前にひざまずいて白百合の花束を捧げると、月明かりが辺りをまばゆく照らし出す。空を見上げる。見事な蒼い満月。ああ、彼が空の上からこっちを覗き込んでるみたいだ。眩しくて私は目の上に手をかざす。「何度でも言うけど、きみと過ごした時間はとても楽しかったよ」 その昔に同じ台詞をベッドの上で意識が混濁し始めた彼に言ったら、こう返ってきた。「俺もだよ」って。「だから、きみも早く私のところに帰っておいで。そうしてまた私と馬鹿騒ぎしようじゃないか」 私はポケットから小さな箱を取り出す。そこには彼 808 1