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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    ぼんど800字。チェズモク。モクにオーダーメイドのスーツを着せたかっただけなので細かいことは許されたい……

    ##BOND

    ■知らない


     チェズレイはモクマと共に、今夜は裏社会のパーティーに潜入することになった。そこにはマフィアのボスなども顔を出すそうだ。狙いはそいつらの尻尾を掴むこと。
    「ちょっとチェズレイ。おじさん、ネクタイの結び方なんてわかんないから頼んでいい?」
     ホテルのツインの部屋でスーツに着替えたモクマ。申し訳なさそうに、ネクタイを差し出してきた。モクマはチェズレイのボディガードという名目で潜入するので、それらしい身なりをしなければならない。チャームポイントの無精髭は綺麗に剃り落とされ、オーダーメイドの黒スーツを身にまとったモクマに、チェズレイはため息を漏らす。
    「あぁ……素敵です、モクマさん」
     そう言ってネクタイを受け取ると、チェズレイは手早くモクマの首にネクタイを巻き、結び目まで丁寧に整えた。
    「ありがとさん」
     モクマが礼を言うと、チェズレイはその額にキスを落とす。
    「ちなみに今夜はパーティーから帰った後に、そのままあなたを抱いても?」
     含み笑いでお伺いを立てるチェズレイに、モクマは苦笑する。
    「パーティー会場で何事も起こらなきゃね。無事に生きて帰るまでが潜入ミッション、ってやつだ」
    「それは確かに」
     うなずきながらチェズレイはモクマを頭から足の先まで検分するように眺め下ろす。いつものだらしない服装と違って、禁欲的なスーツはモクマの印象をがらりと一変させている。鍛え上げられた肉体がその布地の下に隠されている、それを知っているのは自分だけでいいと思ってしまう。
    「チェズレイ。お前さん、わざわざオーダーメイドで俺のスーツ買ってくれたけどお幾らくらいしたの?」
    「それは言わぬが花というものです」
     モクマはぽりぽりと後頭部をかく。
    「まあ、お前さん行きつけの仕立て屋だから相当に値が張るのは想像がつくよ」
    「――知ってます? モクマさん。焦がれる相手に服を贈るのはそれを脱がせたいからなんですよ」
    「それこそ言わぬが花じゃない?」
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    高間晴

    DONEお題箱より頂いた、「ひたすらモさんを褒めちぎるチェズ」。
    なんか手違いで褒めるというよりは好きなところを挙げていますがご容赦ください。
    ■このあと美味しくいただきました。


     チェズレイは目的のためならかける手間を惜しまない男だ、とモクマは思う。
     ふらりと出かけ、数時間ほどでセーフハウスに帰ってきたチェズレイを玄関で出迎える。その手にはケーキが入っているらしき箱と茶色の紙袋があった。甘いものに目のないモクマは嬉しそうに笑う。
    「チェズレイ。それお土産? ケーキ?」
    「タルトです。苺が旬なのも今のうちですし、買ってきました。一緒に食べましょう」
     そう言いながらキッチンのダイニングテーブルに箱と紙袋を置く。待ちきれずにモクマが箱を開けてみると、たっぷりの真っ赤な苺がクリームの上に乗ったタルトが二切れ入っている。テーブルに手をついて箱を覗き込みながらモクマはお伺いを立てる。
    「あ、おじさんコーヒー淹れよっか? タルト甘いだろうからブラックで――」
    「いえ、クリームを使ったタルトに合わせるなら油分のあるコーヒーより、口の中がさっぱりするストレートの紅茶ですね」
     それを聞いてモクマは首を傾げる。紅茶。コーヒー豆ならあったけど、茶葉なんてなかったはずだ。そこで隣に置かれている紙袋に目が行く。チェズレイはその中からアルミの小 2964