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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    敦太。フォロワーさんから頂いたネタで「ゲームをする二人」。

    ##文スト

    ハッピーエンドは何処に在る? 敦が太宰の部屋で使った掃除機を仕舞っていると、ぽんと肩に手が置かれた。振り返れば太宰が笑顔で立っている。
    「あーつーしーくーん♡」
     太宰の手にはゲームソフトのパッケージがあった。敦は孤児院育ちなのでテレビゲームの類には疎い。何かアニメ風の可愛い女の子がいっぱい描かれているなあ、くらいの感想しか出てこない。太宰は敦にソフトを渡した。
    「これは昔買った恋愛シミュレーションゲーム。
     でもどの女の子も誰も私と心中してくれないんだよ。ひどくない? みんな私と結婚しちゃうんだ」
    「ええと、少なくとも恋愛ゲームで心中がハッピーエンドになるものは無いと思います」
     ひどく真っ当な答えだが、太宰は笑うと人差し指を立てた。
    「というわけで敦君の初体験! 恋愛シミュレーションをやってみよう!」
     太宰がいそいそとテレビにゲーム機を接続すると、敦から受け取ったソフトを入れた。敦が座るとコントローラを渡される。太宰から大雑把に操作方法を教わると画面を見つめた。
     しばらくメッセージ送りをしてゲームを進めていくと、画面に一人の女の子が現れた。よく見れば選択肢が二つ表示されている。『一人で帰る』か『二人で帰ろうと声をかける』かだ。
    「さあ運命の分かれ道だ。敦君はどっちを選ぶ?」
    「ええと……恋愛ゲームならこういう時は『二人で帰る』ですよね」
     敦がその選択肢を選ぶと、女の子からの好感度ゲージががくんと減った。
    「ええっなんで!?」
     その後も敦は見事にハズレの選択肢を選び続け、どの女の子にも振られ続けた。酷い時には横から割って入った女の子にナイフで刺されることもあった。
    「うわ~、私の知らないエンディングばっかり出てくる」
     太宰が興味深げに画面を見つめている。敦が涙目になりながら「もう心が折れそうなのでやめていいですか」と云えば、太宰はゲーム機の電源を落とした。
    「あ~面白かった。君は本当に期待を裏切らないよねえ」
    「太宰さんってば酷いですよお」
    「別にいいじゃない」と太宰は笑う。「現実では私を落とせたんだからさ」
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。チェズが悶々としてるだけ。■最近の悩み


     ミカグラ島での一件が落ち着いた後、チェズレイとモクマは二人で世界征服という途方も無い夢を目指すことになった。
     まずは下準備から、というわけで今はヴィンウェイのセーフハウスでゆっくり計画を練っている最中。だが、チェズレイの頭の中は相棒のことでいっぱいだった。
     あァ……あの人を抱きたい。
     あの指切りの時に生死を共にする約束を交わしたとはいえ、あの時には心の触れ合いさえあればよかった。それが二人で暮らすうちに、どういうわけか直接もっと肌で触れ合いたいと思い始めてしまったのだ。この、自他共に認める潔癖症の自分が。
     そこまで考えて、チェズレイは書斎の陽光射し込む窓辺に立つと、さきほどモクマが淹れてくれたカフェオレを一口飲んだ。それはこれまで飲んでいたブラックコーヒーにはない優しい風味で、神経が和らぐ気がする。
     あの人はファントムに似ている。だが決定的に違うのは、あの人は自分を裏切らないという確信があるところ。
     でも――あの人はヘテロだし、誰が見ていてもわかるくらいずるくて逃げ癖がある。いっそのこと自分が女装して抱かれればいいのか、なんて考えるが問題はそこじゃない。 871

    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。チェがモの遺書を見つけてしまった。■愛の言霊


     ヴィンウェイ、セーフハウスにて。
     昼過ぎ。チェズレイがモクマの部屋に、昨晩置き忘れた懐中時計を取りに入った。事前にいつでも部屋に入っていいと言われているので、こそこそする必要はない。部屋の中はいつもと同じで、意外と整理整頓されていた。
     ――あの人のことだから、もっと散らかった部屋になるかと思っていたけれど。よく考えればものをほとんど持たない放浪生活を二十年も続けていた彼の部屋が散らかるなんてないのだ。
     ベッドと机と椅子があって、ニンジャジャングッズが棚に並んでいる。彼が好きな酒類は「一緒に飲もう」と決めて以来はキッチンに置かれているので、その他にはなにもない。チェズレイはベッドサイドから懐中時計を取り上げる。と、ベッドのマットレスの下から何か白い紙? いや、封筒だ。そんなものがはみ出している。なんだか気になって――というよりは嫌な予感がして、半ば反射的にその封筒を引っ張り出した。
     その封筒の表には『遺書』と書かれていたので、チェズレイは硬直してしまう。封がされていないようだったので、中身の折りたたまれた便箋を引き抜く。そこには丁寧な縦書きの文字が並んでいて、そ 827