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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    九龍800字。クリスマス。

    ##九龍

    最初で最後のダンスをしよう ひゅ、と皆守が葉佩への距離を詰める。側頭部を狙って左脚が振り上げられるが、すんでのところで上体を反らしかわされる。次の瞬間、葉佩は持っていた荒魂剣を鞘から抜き放つと横一直線に薙いだ。皆守は素早くバックステップで距離を取ると、すうっとアロマを吸い込む。思考がクリアになる。葉佩のあの炎をまとった剣は厄介だ。攻撃できる範囲が広い。それに距離を取れば取ったでAUGの鉛玉が炸裂音を立てて皆守に向けて飛んでくる。何発か当たったが、《墓守》の力の前には銃など目くらまし程度にしかならない。が。皆守はその場でトントンと軽くジャンプして葉佩の様子をうかがう。長期戦になったら不利なのは皆守の方だ。怪我を治癒する術を持っていない。ここはやはり一気にいくしかない。そう思って皆守は葉佩の目の前にがむしゃらに飛び出した。やはり反射速度は皆守のほうが圧倒的だ。そうして地面に手をつくと、今度こそ顎を狙って下から上へ左脚で蹴った。ギィン、と鈍い音がして葉佩はそれもガードした。右手首と荒魂剣の鍔を蹴っただけで終わってしまう。
     ぶん、と荒魂剣が一閃する。またもや皆守は距離を取らざるを得ない。
     狂気的な笑みを浮かべる葉佩。奴は間違いなくこの戦いを楽しんでいる。そう思うと皆守の戦闘意欲が煽られる。思わず口の端が上がる。
     皆守は降り注ぐAUGの弾雨の中を駆け抜け、肘鉄で葉佩の顎を下からとらえようとする。当然のように葉佩が避けるために上体を反らすのを見る。皆守は今しかないと葉佩の背後を取り、延髄を蹴り上げた。確かな手応えがあって葉佩の体がぐらついた。最初から肘鉄はブラフだったのだ。葉佩は呻いて荒魂剣を取り落とす。膝が地面につくかという瞬間に体勢を立て直して立ち上がった葉佩は、ファラオの鞭を腰から引き抜いて振り回す。風切音がして皆守の頬を鞭の先が掠る。
     振り返りざまに葉佩が不敵に笑う。今夜は長い夜になりそうだ。
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